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リハビリ供給過多問題 資料を読んで思うこと

理学療法士のyokoです。

これは、患者さんと理学療法士(PT)の「より良い20分」を考えるブログです。
作業療法士(OT)言語聴覚士(ST)の方にも、多少は役立つ話ができれば嬉しいです。

理学療法士がワクワクできる未来を考えるシリーズ。
今回は現状を把握するために、PT供給過多問題を取り上げます。

今後のPTの未来に関わる内容なので、一次情報に触れるのが一番正確だと思い、厚労省のHPより理学療法士・作業療法士需要分科会の資料・議事録に目を通しました。

「PT・OTの数は需要に合わせて厚労省が何とか調整するでしょう♪」くらいにお気楽に考えていましたが、どうやらそうでもない様子。

需要供給バランスについては、いろんな側面からの問題を含んでるので、もし興味があれば、是非原文をあたってみてください。
(議事録はA4 28枚に及び、要約ではなく会話内容がそのまま載っている形式です。
1時間くらいで何とか読み切りました。)

リハビリ供給過多の問題を考える


PT・OT需要分科会議事録を読んでみた(要約)


2019年4月5日 厚労省 専用22会議室にて 16時ー18時
分科会は医事課長はじめ、11名の構成員にて行われた 5名は欠席

・2016年から3年間この議論はストップしていた(釜萢構成員)

・需要の数字については、今後の保険制度の変更があることも考えて幅を持たせている。需要数についての研究は終了した(内山構成員)

・地域格差は今後も深刻だ。需要に合わせて単純に供給数を減らすと、地方は収拾がつかないことになる(星構成員)

・医師は国が定員数を減らしたり出来るが、リハビリの場合、専門学校が厚労省、大学が文科省の管轄であり、医師のような供給調整は難しい(北山構成員・水間構成員)

・国家試験の合格率を下げるのは、若い人の夢を砕くことになるので、個人的にはあまり良い手段とは思えない(北山構成員)

・33ページのグラ フを普通に見ると、これは大変なことが起きるのだなと。これは需要がどれ だけふえようが、どこかで必ずこういうことが起きる。・・・中略・・・少なくともこの上位の推計をしても、相当程度余ると言っていいのかわかりませんが、そういうことが起きるということは、どちらにしても認めざるを得ないのかと私は思います。 (星構成員)

・若年人口が減っていくので、医療従事者をどのくらい確保できるかを常に考えたい(釜萢構成員 )

・今日の指摘を踏まえて、地域性に関した議論は何が出来るか、もう少し事務局の方で預かり、次回しっかり議論していきたいと思う

何が決まったのか?

2019年にこの分科会が行われて、更に3年間、次回を予告してから何も議論をされていません。

言い方は厳しいですが、需要供給バランスについては何も決まってません。
背景を議論し、話が進められないことを認識して終了した様子。
その次の会議は実施されていない。

星構成員のように現状を受け入れて議論を前に進めようとする方もいらっしゃいますが・・・

しかし、議事録を読んだことで
・需要供給をピッタリにすると地方の医療が回らなくなることが懸念される
・管轄が違うので、入学者数の調整は難しい
という視点は得られました。

一番の問題は学生に情報が伝わっていないこと

この議事録を読んで違和感を覚えるのは、PTを目指す学生の人生に全く目が向いていないことです。

将来PTが増えすぎてしまう、と大学のホームページに書いてある学校は、私が調べたところ2校に留まっています。

高い入学金と授業料を払い、貴重な時間を費やして勉強してきた学生は、その事実を知って「あれ?おかしくない?」と思っても、すぐに学校を退くことは難しいでしょう。
まして学生の半分近くが奨学金を受ける時代です。退学を選び、新たな進路を探すにしても、奨学金返済の義務が学生に重くのしかかってしまいます。

学生の持つ違和感は、いずれリハビリ業界への不信感として返ってきてしまいます。

真摯に情報を伝えることは、学生が減ってしまうリスクを伴います。
そして地域への負担を増やすわけにはいかない。

志す人を減らさず、PTは楽しそうだからやってみようって思ってもらえる仕組みはどうしたら作れるだろう?

次は、現場のPTに何が出来るのかを考えます。

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