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40代で留学(前編)

こちら↓でも書いた通り、私は現在41歳です。私の周りで同年代で留学する人は皆無で、特に女性はほとんどいません。


この年代で留学する人は、すでに学者・研究者として実績があり、さらに研究分野を極めたい人が客員研究員として海外の研究機関に在籍する(これ留学って言わないのかな?)とか、企業にお勤めの方であればExcective MBAなど管理職候補の方のためのコースに社費で留学するなどでしょうか?
とにかく留学関連の情報交換のためSNSなどで留学仲間とやりとりしていても、40代の人は皆無です。なぜなんでしょう?人生100年時代とかVUCAの時代と言われるように、何歳になっても学び続けなければいけない時代に突入して久しい今日ですが、留学という学びの形態には相応しい年代はあるのでしょうか?
「40代で留学」は、ライフプランニングの観点から40代の留学について考える前半と、私が留学にたどり着くまでの長い道のりについてだらだら書く後半の、2本だてでお届けしたいと思います。
長い身の上話になりますが、お付き合いいただけたら幸いです。

40代ってどんな年代?

いきなり「40代の留学」について自論を展開する前に、40代ってどんな年代なのか、ライフプランニングの観点から書いてみたいと思います。
個人的には、人生の過ごし方なんて個人の自由だし、一般化できることでもないと思っているのですが、そうは言っても社会(主に日本の)の中で生きている以上、自分が年齢にふさわしい行動をとることが周囲から望まれる場面は数限りなくある訳で、それを無視していたのでは、社会の中で生きづらくなるだけです。その辺をうまく折り合いつけながら生きていく上ででも、自分の認識はおいといて、世間の見方を頭の片隅においておくことは大事だと思います。

①40歳で係長、45歳で課長、50歳で部長

野村証券が運営するメディア「EL BORDER」の連載「80年代生まれのリアル」では、一般財団法人 労務行政研究所の調査から導き出された興味深いデータを公開しています。

※2009年の調査結果と少し古いです。

これによると、日本企業では係長就任の平均年齢は39.6歳、課長は45.1歳、部長は50.7歳と、40代の10年間をかけて管理職としてのキャリアを積んでいくのが平均的な40代の過ごし方のようです。
女性の管理職の少なさで国際的にも有名な日本ですので、この数字の中にどれだけ女性が含まれているかはあまり期待できませんが。。企業にお勤めの場合、管理職としてのキャリアがスタートする40代は、企業の経営に対する責任が増し、それまでの年代以上に職場を放棄して留学とかしている場合ではないことが伺えます(最近では管理職の転職も増えてきているので、転職期間中に留学や学位取得をはかる、というのもアリなのではないかとも思われますが、そういう人はほとんどお見かけしません)。

②40歳〜年収516万円、45歳〜年収539万円

国税庁が、同一の企業に1年以上継続勤務している人の年収を調査しています。

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan1998/menu/03.htm
(リンク 国税庁 II 1年を通じて勤務した給与所得者 )

年齢別に見ると、40歳〜44歳の平均年収は516万円、45歳〜49歳では539万円となっています。これは50歳〜54歳で566万円とピークに達し、その後下降していきます。
男性だけの平均を見てとると、40代に入ってからは常に男女合同の平均よりも100万円以上高く、逆に女性の平均は30代で306万円に達して以降、緩やかに下降していきます。
40代に入ると、男性はそれまでよりもさらに稼げるようになって最高年収に近づいていき、逆に女性はピークをすぎてだんだん年収が減っていくのが平均的な状況のようです。
男性の場合はこれまで以上に稼げる時期に、仕事を手放して留学するということは本意ではない人が多いでしょうし、女性の場合はだんだんと稼ぎが減っていく中で、留学はそれまで以上の大きな投資になると言わざるを得ない状況です。

③40歳で子供は7歳〜10歳くらいが平均

なかなか見やすい統計がなかったのですが、Hanako ママwebで言及された厚生労働省の調査では、2016年の女性の第一子出産年齢の平均は30.7歳、男性は32.8歳(2015年)だそうです。

https://hanakomama.jp/birth/118295/
(リンク:Hanakoママweb)

5、6年前の統計を元にした数字なので、その時点で第1子を出産し、現在40代の人は平均よりも年齢が上、ということになりますが、せいぜい1歳ぐらいの誤差と考えてざっくりいうと、今私と同じ41歳の女性は第1子が平均して10~11歳、41歳の男性は8~9歳ということになります。いずれにしてもこれから高校受験、場合によっては中学受験準備など教育費にさらにお金の掛かっていく時期と言えます。子供に教育投資したい時期に、親が子供以上に自分に教育投資している場合ではないのではないか、と私は思いました。教育費だけでなく、住宅購入費などの大きな出費が見込まれる時期でもあるでしょう。ローンの完済年齢から逆算すると、住宅購入年齢のピークは30代だそうです。

https://www.homes.co.jp/cont/buy_kodate/buy_kodate_00433/

(ざっくりですみません。リンク:LIFULL HOME’S )


①〜③社会的な地位、収入、出生について40代を取り巻く状況を上げてみましたが、いかがでしょうか。男性の場合は組織での責任も、収入も上がっていく時期で、女性の場合も結婚している人は夫が、あるいはご自身もそのような状況にある方が少なくないのではないかと思います。さらにお子さんもいて家のローンを払っていたら、本当に自分の留学に資金・時間を投資する余地はないのかもしれないな、と思いました。

私自身は、40代でありながら、この①〜③に全然当てはまりません。まず、社会人生活のほとんどが非正規雇用で現在はフリーランス(=非雇用)のため、管理職はおろか、昇進を経験したことがありません(経験年数に応じて少しずつ大きな仕事を任され、給料や報酬が上がっていった経験はありますが)。年収は意外に女性の平均から大きく外れてはいませんが、フリーランスになってからは、育休期間が重なったこともあり、大きく下回っています。子供はまだ1歳と同年代の女性の平均より10歳近く幼いので、教育費に対する漠然とした不安はありますが、むしろこれから稼いでなんとかしなきゃ、と思っているところです。

日本において、それまでの職歴がほぼ非正規の女性が40代以降に会社に入って地位や収入を上げていこうとしても、無理がある

正直なところ、日本において女性の私が40代以降に会社に入って地位や収入を上げていこうとしても、無理があるなあと30代の半ばに差し掛かった頃からぼんやりと思っていました。
舞台芸術は、業界としてもそもそも民間企業の数が少なく、少なからぬ雇用の主体が公的機関や民間でも中小企業だったりするので、組織においては年齢を増すとともに相応のポストはだんだんと限られるようになり、正規・非正規にかかわらず一般的な企業でいうところの課長レベルまで行ける人はとても限られています。そもそも仕事の受注者がフリーランスで、業務委託契約等で仕事が行われるケースもとても多いので、組織で働くことを前提にしていない人も多くいます。
私も30代後半で業界関連の公的機関に有期の契約社員として勤務した際、その先に昇進も昇給もなく、ただ期限がきたら退職して同じようなポストを探して他の機関をぐるぐると回りながら歳を重ねていくのかと思うと、やるせなさを感じたことを覚えています。

海外の同業者と接して感じたこと

一方で、仕事柄海外の同業者と接する機会も多いのですが、少なからぬ人が民間・公的機関を行き来しながら数年ごとに新しいポストに転職して昇進・昇給したり、起業したり、あるいはフリーランスでも上手に組織と関係を結びながら存在感を増していっています。私の留学する大学院でも、流石に40代は多くはありませんが20代、30代でキャリアを中断して、1年を勉強に費やし、専門性を高めたり、キャリアの転向を測ろうとしている人は多くいます。日本にいるとなかなか意識できませんが、世界で柔軟にキャリアアップやキャリアチェンジを果たしていく同業者をみているうちに、フィールドを日本に求めなければ、私でも、今からでも、無理ではないのではないか、という思い(こみ)を抱くようになったのでした。端的には、30代半ばのある日、研修でご一緒した外国の同業者が何人か、国際機関の有期の専門職ポストに採用されたのをみて、私もそれを目指したいと思うようになり、ただ、何は無くとも修士号以上が応募の条件だったので、大学院へ行こうと明確に考えるようになりました。また、これからも実務者として経験値だけを頼りに現場に居続け、同じ仕事をこなしていくだけの将来ではなく、自分の仕事が社会に与える影響を科学的に追求したり、自分が仕事を通して関わっているものの価値を客観的に人々に伝えられるようなスキルを身につけることも、この先も同じ業界で仕事をしていくのならば、必要になると思いました。なおかつ、これから国際的に人脈を作ってたり仕事を得ていこうとするなら、日本の大学院より海外の同業者が多く出ている大学院に行きたいし、日本で2年かかる修士号を1年で取れるならイギリスに行きたいと思うようになったのでした。

なんか、自分が40代で留学する特殊さを説明するのに、ここまでやる必要あったのかな?と少し疑問に思い始めてきたので、今日はこの辺で失礼します。次回は「40代で留学(後編)」として、私が留学にたどり着くまでの長い道のりについてだらだら書きます。読んでくださってありがとうございました。

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