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その期待には応えられないと言う勇気

学生のころ、人の期待に応えることは簡単だった。

勉強していれば褒められたし、テストでは覚えた通りに答えれば丸がもらえた。正解はひとつ、もしくは限りなく少なくて、迷わずに突き進んでいたように思う。

大人になって、人の期待に応えることはぐんと難しくなった。

仕事、働き方、家事、人間関係、いろいろな考え方があって、正解はない。くわえて選択肢もたくさんあるから、どれかを捨て、どれかに集中する必要もでてきた。

どれかを捨てるということは、人の期待に応えられない分野がでてくるということ。そこでは「あなたの期待には応えられませんよ」と言わなければならなくなる。

優等生でまじめで何事もがんばる人にとって、期待に応えられないと言うことはすごく怖いこと。応えられない自分にがまんができなくて、「いや、全力でやればできるかも」と思ってしまう。

でもそれは幻想なのだ。すべての期待に応えるのは不可能。その現実がだんだんと分かってきている。

多くの期待に応えようとしてパンクしてしまう前に、ただありがとうと伝えよう。期待に応えられない自分を、仕方ないなと笑ってくれる人に。それでもいいよと言ってくれる人に。

本当に応えたい期待に集中する。それで案外うまくまわっていくのかもしれない。


久しぶりに大学の友だちと飲んで帰って、うれし切ない気持ちになりながら、そんなことを考えた夜。今日あえてよかったな。

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ようこ|野に咲くことば
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