会社員の特権

会社員でよかったことってなんだろう。
正直言って会社は好きな場所には入らないなぁ。
でも毎日朝から夕方まで過ごしていて、
何百という会社が入っているビジネス街にあるマンモスビル。
出勤時は10機のエレベーターに並んで、
500席あるカフェテリアはお昼時は行列にまた並ぶ。
どのフロアも同じ扉、社名の表札だけが異なり、
PCの並んだ無機質な白い空間に閉じ込められている気がして、
1日に外に呼吸しに行ったり。
来なくていいなら今すぐにでも家に帰りたい。

仕事とプライベートはきっちり仕切っているから、
プライベートで遊ぶ同僚がいるわけでもないんだけど。
ただ業務をこなして、なるべく早く仕事を終わらせてフロアで3番乗りくらいでタイムカードを切る、早く帰りたい人になっている。
なんかネガティブなことばっかり並べちゃったけど、
それでも毎日来ていると自分の居場所ができているんだな。
たまに休むと意外な人から、昨日どうしたの？って聞かれるし、
この仕事なら私にと流れができている。

それに、会社員になったから得たスキルもあったりする。
学生時代から初対面の人と話したり、
人の輪に入って話すことは苦手だったけど、
それとなく雑談に参加する術を身につけた。
相槌をうまくすること。
そうなんですか～　
すごいですね～
どうやってやるんですか？
楽しそうですね～　
いいですね～
この5つをエンドレスに組み合わせておけば
自分から話さなくても意外に会話は続くんですよ。
飲み会でも話す人のそばに座ることで、
相槌打つだけで話していることになっている。

あとは人間観察が会社でし放題。
自分と考えが違ったり、性格が正反対の人を観察できる。
プライベートではどうしても一緒にいて居心地のいい人といることが多い。
そりゃ休みの日までキリキリしたくないもん。
会社には年代も性別の異なる人がいて、食堂なんかに行けば外国人もいる。
ひとそれぞれの生活があって、考え方があって生きている。
仕事をしている理由もバラバラ。
そんな人たちと1つの会社にいると、日々新鮮さを感じられる。
社交辞令の上手い人、
相手の気持ちを害さずに逃げるのが上手い人、
嘘がつけない人、
要領悪くても情があったかい人を見てると効率性がすべてじゃないなとか。
仕事のやり方も、一気にエネルギッシュに周りを巻き込んで暴走する人もいれば、
無理にはぐいぐいこないのに知らないうちにその人の周りにはたくさんの助け舟が集まっているとかもある。
カフェで待ちゆく人を観察するのも楽しいけれど、
会社だと同じ人を長期にわたって観察できる。
大人の社会見学を毎日しているような気分。

社会見学しつつ給料も貰えちゃう。
情報ももらえるし、
食堂では他人の会話に聞き耳立ててくすっと笑わしてもらったり。
これ美味しいよね、会社員の特権。
平日頑張ったら土日が天国のようにも感じるし。
毎日が休みならきっとこんな開放感は味わえない。

さっきまで会社員やめよっかな～なんて転職サイトを検索していたけど、
このままでいても悪くないよな～
もうちょっとここで人間観察続けてみよっと。