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日本の農業の現実@徳島県阿波市

神山町のあと、海沿いを周ろうと思っていたのだけど…なぜかどうしても阿波に行った方がいい気がする。。。という謎の直感に従い、阿波に向かった。せっかくだから、自然農とか、パーマカルチャーとか、活動につながる方にお会いできたらいいな…と思っていたら、無農薬無化学肥料不耕起栽培をやっている農家さんを発見!
ちなみに阿波市には、別に自然農のカリスマ的存在の方がいるのですが、敷居が高すぎたので…、こちらの農家さんを突撃訪問。

場所にたどりついたら、ヤバい…誰もいない。。。(アポなしなのでそりゃそうだ笑)
偶然家の前の竹ベンチに座っていたメキシコ人に話しかけたら、この農家さんのwwooferさんで、オーナーさんとつながることができた!ありがたや~。

そして、1日畑体験ができるとのことで、それに参加させていただきつつ、がっつりお話を伺わせていただいた。
そしたら、めちゃくちゃ勉強になるとともに、オーナーさん自身が小規模農家さんを救いたい、という熱い志を持って、大きく仕組みづくりをしようとされてる熱い方でした!

そのとき伺った日本の農業のこととか、これは記録しておけた方がいいと思ったので、こちらでシェア。
ぜひ日本の農業の現実、知ってください。
(あくまで伺ったお話で、私の方でデータ検証などはしてないので、その点はご了承ください)


現在、農業従事者の平均年齢は60後半、6割が70代を占めている。
ちなみに、阿波市は四国の中では農業生産ベスト5に入るそうで、その全農地の8割を70代がやってるそう。
→10年後を想像してみてほしい。農業従事者が一気に減っていく可能性が高く、耕作放棄地で溢れ、国内の食料生産量が一気に減るという未来が容易に想像できる…。

ここで、農業界の業界構造はどうなっているのか。
実態は、大規模で資本があるところだけが成長しており、小規模農家が淘汰される構造になっている。
畜産業を除く、穀物野菜の農家の場合、
そもそも、年商2000万は全体の1割程度で、そのレベルで大規模化成功ライン。億クラスはほんの一握りだそう。ちなみに有機農業だとトップクラスで年商5,000万円らしい。
大多数の農家は、年商が5~600万円程度で、さらにそこに機械の維持費、燃料、肥料代、農薬代、種代などが乗ってくると、経費で売上の半分程度は飛んでしまうそうだ。そうするともっと農地を広げたいと思っても、雇用ができず、そのレベルを抜け出すことはなかなか難しいらしい。

さらに、今は、ICTやロボットを活用したスマート農業などが普及してきていて、それは、作物の日照管理や水やり管理などを、IoTを使って情報収集し、AIが解析し、ロボットが自動的に実施する、というようなもの。農業従事者が減ってきている人手不足の現状への打開策として注目を浴びているそうなのだが、そのやり方で問題も生じていて、問題のひとつは、小規模農家をつぶしていく流れにつながることだそう。
スマート農業は資本のあるところしか取り組めず、かつ生産コストが減るので、現状の最低取引価格を破壊するような動きにつながっているそうだ。
例えば、お米は30kg6,000円でも農家さんとしてはかなり厳しい取引価格らしく、この価格を下回ると食っていけないラインになりかねないらしいが、スマート農業導入しているところはその価格ラインを下回ってきているそう。要は、課題解決だと言われているスマート農業を推進すればするほど、小規模農家のお米が売れにくくなり、貧困を生産していくことにつながっているという。
結局資本のある大規模農家(企業)しか勝てず、小規模農家が潰れていく現実があるという。そんな状況では新規就農者を増やすことも限界がある。

日本は小規模農家が9割、本来は、小規模農家が中規模農家に育っていく支援や仕組みが大事なのでは、とのこと。

なお、有機農法もさまざまな技術が確立されてきているそうで、無農薬無化学肥料、不耕起で慣行農法と同じだけの収量を上げていくことはできるようになっているという。ご自身でも6年かけて実験され、やり方を確立されたそうで、1反の畑で農家として十分生きていける収量をあげられるそうだ。ちなみに、田んぼも無農薬で一切除草せずにお米を作るやり方も教えていただいて、めっちゃユニーク。なるほど~~という感じでした。

なお、無農薬無化学肥料、不耕起でいけるということは、食の安全が担保されるだけでなく、農薬、化学肥料、トラクタ、ガソリンなどの経費がかからないことになる。そうすれば、かかっていた経費を人を雇うことに回せて、小規模から中規模農家になっていけるのでは、というのがその方の目論見。

あとは、多くの農家さんは売る先を見つけることが難しく、JA頼みになってしまうので、ちゃんと農家さんに還元される販売の仕組みを作っていければ、小規模農家を救えるのでは、とのことで、そこの仕組みまで見越して仕掛けようとされている、すんごい農家さんでした。


めっちゃ勉強になったーーーー!
そして、お話を伺って思ったこと。
・これから10年後、一気に農業従事者が激減する未来が来ると、食料自給率の激減、輸入への依存、そうすると、天災や戦争が起こって輸入がストップした時に、一気に都市部中心に食べ物がなくなるリスクを抱える。食べ物も高騰しそう。一方でスマート農業がもてはやされるとかになるんだろうか。
さらに耕作放棄地が増加すると、里山が崩れ、町への獣の被害も増加しそう。
・個人的にはスマート農業のようなやり方って、違和感で、作物を対等な命として扱っていないように感じてしまう。お野菜さんやお米さんたちはモノじゃない、相手をモノとして育てるようなあり方のお野菜や穀物にエネルギーは宿るんだろうか?
土や作物と対話しながら感謝して育てていく形が本来の地球のリズムに沿う形なのではないだろうか。
・そう思うと、自分が頂く食べ物は、地球を傷つけない形で感謝しながら自分の手で作る、それが一番健全な解決策に思える。そもそも誰かが大量に生産したものを分配する社会構造自体に無理があると個人的には思っている。自分たちで小さくても畑や田んぼを始めれば、農家さんに無理を強いない、依存しない形を少しずつでも作っていけるのではないか。
そもそも今だって集落にいけば、みんな小さな畑や田んぼをもって自給して、作ったお野菜やお米を集落みんなで分け合って、という文化が当たり前に残っている。そうやって自分たちの手で食べ物を作り、分け合い、助け合う文化がそもそも日本にはあったはず。
土に触れ、自然に感謝し、自分の手で作物を育て、命のつながりを感じながら、感謝で食べ物を頂く。やっぱりこういう感覚を取り戻すことが大事に思った。

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