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日本初ゼロウェイスト宣言の町へ@徳島県上勝町

四国に来たら、絶っっ対に行きたかった場所:上勝町。
上勝町は、日本初ゼロ・ウェイスト宣言をした町で、町のゴミの8割をリサイクル実現している世界中から視察が集まる稀有な町。

ということで、四国初の訪問地は、上勝町へ。
そして、結果、3日間滞在したのですが、上勝町での刺激と学びがあまりにも多すぎて……、ちょっと落とし込みたいので、言語化してみる。

ちなみに、特に予約とかアポもなく、すべて直観と流れで行こう、と思っていたので、まずはゼロウェイスト・センターに訪問後は、その話の流れで出てきた気になった人をつないで頂きコンタクトをとり、その場所に行ってみて…、みたいな感じですべて偶然の出会いで行ってみた。

結果。濃い。濃かった!
そしてマジで勉強になった!

全体的に学びになったこと。
①ゼロ・ウェイスト 
②中村さんという生き方
③町の雰囲気、カラー

まずは、①ゼロ・ウェイストのお話から。
偶然のご縁とタイミングで、ゼロ・ウェイストセンターで現在勤務されている方々、上勝町のゼロ・ウェイスト推進を長年ご実施されてきた立役者の方、住民の方々など様々な視点から声を伺うことができた。

一番学びが多くて勉強になりまくったのが、上勝町のゼロ・ウェイスト推進を語るのに、この方なくしては語れない、という長年現場で真摯に向き合われてきた藤井さん。

藤井さんとくるくるくる工房にて

偶然訪れたバーで、ゴミ問題への想いを語っていたら、オーナーがその場で電話してつないでくださり、翌朝お話伺うお時間を作っていただけたという奇跡。藤井さんは、長年、現実と理想とのはざまで、住民の方と丁寧に向き合われながら進めてこられたからこそ、言葉の重み、雰囲気など…、感じるものがとても多かった。

いろいろお話メモ:
・もともと地域にゴミ焼却炉がなく、かつゴミ収集の仕組みもなかったため、自宅付近でゴミを野焼きしてる状態だった。それが大きく問題になり、ゴミ収集の仕方を全面的に町内で変えるタイミングがあり、それがゼロウェイストの取組みの流れにつながっていった。
・現状は、平日14時、休日15時半までの間、自分でゼロウェイストセンターのゴミ集積所に、自分の好きなタイミングでゴミを持ち込むスタイル。
ゴミ集積所では、このゴミがどうなっていくのかを視覚化してイメージをもってもらう仕掛けを作っている。処分にはどのくらいの費用がかかるのか、リサイクルできるとどのくらいお金になるのか、など。

ゼロ・ウェイストセンターのゴミ集積所 ゴミの行き先がわかる仕掛けがある

・小物や洋服、食器などはリサイクルセンターくるくるへ。町内外の方問わず、ここでは無料でものをいただくことができ、ものが循環していく仕組みを作っている。

くるくるショップ ここでものが捨てられずに巡っていく

・さらに、捨てられる布などの素材×地域の方々の才能を生かして、アップサイクル品を生産するくるくる工房も運営。ゴミが生かされるだけでなく、地域の方々が創作活動を通じた自己表現をできる機会を創れたことで、イキイキしてきたとのこと。しかも収益の8割は生産者に還元する仕組み。

くるくる工房 廃材を生かした多くの作品が並ぶ

・2020年、町内のリサイクル率は80%というところまで達成できた。ここまでよくやったよね、これがほぼ限界値ではないか。だからこそ、ここからは、ゼロ・ウェイストの先に、この町でどう幸せに暮らせるか、この町をどう残していくか、という部分に重点をおいて、人づくり(教育)、仕事の創出(経済)、ゴミに関する負担軽減に重点を置いて進めている。
・ゼロウェイストといっても、住民全員の環境意識が必ずしも高いわけでもないし、みんなが一丸となっているわけでもない。むしろ町外を経験した方たちから、他の町のゴミ処理(分別がゆるい、ゴミ収集に来てもらえる、リサイクルをそこまで問われない=ゴミを洗わずに焼却ゴミにする)と比較して、分別の数が多すぎる、収集車が来ないのはどうなのか、住民に負担を強いすぎているのではないか、という声も出始めているのがリアルな現実。
・実際に、私が移住者から聞いた生の声としても、ゴミ出しのことは正直面倒と思ったけど、慣れだから、と言われ、3か月くらいたったときに普通になっていた、という話が出ていた。
⇔一方で、町の生存戦略として、ゼロウェイストは必要なのでは、という視点からの声も。
・時代の変化で、今までは信頼できるリーダーがいれば、そこに従い協力する人が多かったが、個が尊重され、人との衝突を避けがちで、相手と向き合うよりお金で解決しようとしがちな風潮が世の中的に生まれてきているのでは。要は今までは、しっかりしたリーダーが地区にいて、役場が決めたことならついていくよ、と来てくれたリーダーがいて拠点管理できていたが、その方々が亡くなられたり、世代交代してきていて、まとまるのが難しくなってきている時代の変化もある。結局こういった活動をできるのは、自治力が高い地域なのでは。その自治力が失われていくと、進めることは難しくなる。
・結局わかりやすい目に見える問題が起こっていないと、地域全体でめんどうなことには舵をきれないのが現実。しかもめんどうなことも、自治力が高い地域だからこそできるという側面がある。
・その場所にいる方々の想い、見えている世界を理解し、苦労を共にし、何年もかけてようやく認めてもらえるもの。初めから聞く耳はもってもらえない。自分はよそものでしかない。地域と同じ行動をしないとそもそも認知もされない。例えば、雑草の管理、森の手入れなど、それを維持することで手一杯で体力的にも精神的にも厳しい方たちに、そこに力を貸して、苦労を共にできるか。その苦労を知らないで、こうした方がいい、全体の利益が…といっても伝わらない。例えば飲み会も3時間以降から本音がでてくる。その前で帰っても何もうわべの付き合いでしかない。地方の町村で何か進めるには、そのプロセスを大事にする必要がある。
・地域の方々に寄り添って理解して苦労をともにしていくと、おじいちゃんおばあちゃんの考え、目線、感覚がわかってくるようになる。移住してきた人たちの感覚もわかるハイブリッド人材になることで、コーディネータ役として必要とされていく。
・集団は2-6-2の法則が働くもの。日本人はまじめなので、6の存在に、どんな情報を与えるか、自覚さえできれば自ら行動が変わるもの。だからこそ、ゴミの先がどうなるのか、それを自然に見えて理解できる形に工夫した。
・快適にくらして、ゼロウェイストがベスト。この町に来て、ゴミをなるべくださないように、という意識で買い物をするなど、買い方が変わった。
例えば、ナプキンをやめる、洗剤は業務用、など。
・今は、企業側でどうゴミを減らす、もしくは循環できる商品を作るのか、などの実践検証に協力するといった動きもしている。大企業ほど、今はSDGsの流れもあり、どんな一手を打つのか模索している。

感じたこと:
・結局、地域単位で大きく物事を動かしていくには危機的状況がないと、厳しいのかも。さらにそこにはリーダーの存在が不可欠。リーダーの存在の重要性。やはり求心力のあるリーダーがいるから、物事は進むし、そうでなくなると、まとまらず、停滞するのが、現実なんだなと。
・相手に寄り添って、相手の想いや世界観を理解し、相手の役に立って信頼を得て…が何をするにも大事なんだなと。何年越しでの向き合いと対話が必要ってこと。刺さります。。
・ゼロウェイストは、環境意識が相当高くないと、ただめんどくさいもの。でもルールで縛れば、ある程度人(日本人)は動いていくれる。
そういう意味で、結局、人間楽をしたい、という欲求に対して、残念だけどルールで縛るってのも、ありなのかなあ。。と思ってしまう。でも意識が変わらないと根本的に変わらない…。難しいところ。
・2-6-2の6の存在に、いかに情報を渡し、自覚してもらい、自ら行動につなげてもらうか。これは刺さった。
・どんなに地域で仕事を作ろうとしても、内需で成り立つ規模ではない町の規模というものがある。なるほどなー、確かに。

地域で何かを動かしていく、ということを考えたときに、今回の上勝町訪問で伺えた話は、ものすんごい学びが大きかった…!
お次は、昔の日本人の生活を営んでいる上勝町民:中村さんとの出会いのお話へ続く。

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