授業観


 月曜日。家族が出かけて行った後、家中の大掃除をして一息ついているsumidaです。
 週末は家族がずっと家にいて散らかるし汚れるし…なので、誰もいない平日に掃除するのが一番効率がよいのです。
 ピカピカになった空間で、早速noteを綴っていこうと思います。


1.これまでやってきた授業と試行錯誤

 さて、先週はずっとコンテンツづくりに励んでいました。
 まだまだ先ですが、専門学校と大学院で授業の依頼を受けているので、今後の自分がやりたい事業ともリンクさせながら、授業コンテンツをつくってみようと。

 授業は大学教員時代のメインの仕事でした。基礎看護学を教授していたので、とりあえず担当コマの多いこと!また、若手の先生方が授業を担当する時は、準備段階で指導・助言をしたり、授業後にフィードバックをしたり、自分が担当する以外にも“授業”にはかなり携わっていました。

 私が担当していた基礎看護学というのは、基礎看護技術の科目が多かったので、授業形態としては「演習科目」に分類される科目が多かったです。でも、初学者にいきなり演習オンパレードというわけにもいかないので、講義と演習の繰り返しをスタンダードとして構成していました。

 講義にしても、演習にしても、自分が担当するにしても、若手の先生を指導するにしても、いかに学生に満足度の高い授業をするか、は永遠のテーマでした。授業内容自体は、厚労省からいわれている看護師教育のための指定規則を最低限網羅すればよいのですが、その基本を崩さず、どう肉付けしていくか―。

 肉付けの部分は講師のカラーが出るところです。私がまだ大学教員の若手の頃、学生からはよく「先生の授業は子守歌みたいに眠くなる」と言われました。上司からも言われましたが、声のトーンがおっとりしていて抑揚がないからだそうです。
 授業後のアンケートや上司のフィードバックを受け、プレゼンに関する本も読み漁り、いろいろと試みましたが、なかなかうまくいきませんでした。

2.「退屈な授業」から得たヒント

 そこで、授業を受ける立場にたち、「どんな授業を受けたいか」ではなく「どんな授業が嫌か、退屈か」を考えてみました。
 私が思う退屈な授業は、こんな感じです。
1)講師の身の上話
 少しなら興味が湧くのですが、延々と語られると、「今それじゃない」ってなります。
2)講師のレジュメやPP、テキストの棒読み
 読めばわかるので、自分のペースで読みます、ってなります。
3)学習者のレベルに合わない話
 適度に高いのは好奇心が湧くのですが、低すぎたり、高すぎたりするとお手上げ状態になり、すーっと気持ちが冷めていってしまいます。

 要は、“講師だけが満足する、独りよがりの授業”は退屈です。

 これらをヒントにし、まずは「退屈な授業にしない」ということを目標に授業準備をしていきました。すると、思考が学生目線になり、
・一斉講義は15分以上続けたら学生は飽きてくるだろうな。だったら、ここでワークを入れようかな。
・動画も流しっぱなしにすると眠くなるな。だったら、学んでほしい要素に目を向けられるよう、メモをとって考察するような記録用紙を配布しよう。
などと、学生の行動を想像しながら授業準備ができるようになりました。

 さらに、
・金曜の5限はもう、気持ちは半分(?)週末にいっているから、一斉講義の時間は最低限にして、なるべく学生を授業に参加できるようにして、授業の時間だけでも没頭できるような授業構成にしよう。
・昼食後の3限は睡魔がすごいから、授業冒頭に強いインパクトを持ってこよう。
などと、開講曜日・時限に応じた工夫も考えられるようになりました。

3.私が授業で大切にしていること

 そんなこんなで、私が授業をする上で大切にしていることは、以下の3つです。
1)対象を理解する
 学修レディネス、モチベーション、置かれている状況、集中力などについて授業前にアセスメントし、効果的な授業手法の組み合わせを考えます。もちろん、授業中も反応を見ながら、どう展開するのが効果的か、を基準に授業を進めます。
2)知的好奇心を刺激する
 人間が人間に授業をするので、情緒的な要素を取り入れることは強みではありますが、「今日はこれを学んだ!」と記憶に残る学びをするためには、受講生の内面にある知的好奇心を刺激し、能動的に学ぶきっかけをつくることが大切だと思っています。
 大学では、専門職として看護技術を実施する意義を伝えるために、看護技術のエビデンスを研究成果やデータで示したり、先行研究で行われた実験をもとに再現し、データ収集をしたり…ということをしていました。
3)受講生と一緒に授業を創りあげる
 授業はコミュニケーションなので、一方通行では成立しません。受講生・講師双方が、発信する→反応をみる→反応に応じて発信する、をすることにより、同じ目標に向かって授業を進めることができると思っています。そして、このプロセスを通して信頼関係を築くことは、より質の高い授業をする上で必須の要素です。

4.自分の“カラー”で授業を

 因みに、私は「おっとりしたトーンで抑揚のない話し方」を変えるより、上記を頑張った方が効果的だと感じています。無意識にしてしまうことを制御しようとするより、それをカバーする方策を実行する方が、それこそ「カラー」として定着するのではないかと思います。落ち着いて余裕を持って授業するには、自分らしくいることが最も大切です。

 今週も授業コンテンツづくりが続きます。受講生の方々を想像しながら、そして、授業本番を楽しみにしながら準備を進めていこうと思います。

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