二日酔いの清正(きよまさ)危うし その2(全3回)
加藤清正(かとうきよまさ)がね、肥後の国のお殿さまになってからのある日のことさ。
清正は駕籠(かご)に乗って鷹狩り(たかがり)に出かけたんだよ。お酒大好きな清正は昨日ちょっぴり飲み過ぎてしまったから、駕籠のなかで、うつらうつら眠っていたんだね。
ダダーン。
突然、駕籠は落とされて清正はビックリして目を覚ましたよ。駕籠の外では家来たちが大声で大騒ぎをしている。気が付けば目の前には駕籠に刺さった槍の先が見えるじゃないか。清正は一瞬で何が起こったかが分かったよ。そうさ、何者かが清正を殺そうとして駕籠に槍を突き刺したんだ。清正はゆるゆると駕籠の窓を開けたんだ。一人の男の人が家来たちに捕まって蹲って(うずくまって)いる。
「名を申せ。ワシを加藤清正と知ってのことか。何の恨み(うらみ)があるのじゃ」
この男の人はね、捨て子の国右衛門(くにえもん)と言ったんだよ。親戚や家族みんなが加藤清正からひどい目にあわされていたと聞いていたから、その仇(かたき)を取りたかったと言うんだよ。
「その時が来たんで、一刺しにと思い切ったのですが、無念でなりませぬ。早々にこの首を刎ねて(はねて)ください。」
国右衛門(くにえもん)はね、ゆっくりとこう言ったんだよ。
「肝(きも)に毛の生えたあっぱれな男だ。命を助ける故、今までの一念を変えてワシの家来にならぬか」
清正はね、まっすぐに国右衛門を見て言ったよ。
「、、、 ありがたいお言葉ではありますが、、、またいつ家族の者たちの思いを思い出し、隙あれば一刺しにと思うこともありましょうから、今ここで切ってください。」
今日はここまで。読んでくれて、ありがとう。
さてさて、清正は国右衛門をどうするのか?明日のお楽しみ。
お休み、ポン!
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