相模の獅子(さがみのしし)の涙 その3(全3回)



北条家の家督を譲られた北条氏康(ほうじょううじやす)。ある日のことさ。お食事中の氏康は突然涙を流してね、こう言ったんだって。
「我が北条の家は氏政の代で終わってしまうのだ。」
氏政も周りにいる家来たちも何のことか分からないでいたんだよ。
「だいたい飯というのは普通皆一日に二度食う。だから、自然鍛錬できて目分量が分かるものだ。今、氏政のやることを見るに、最初汁をかけ、それが足りぬとみたのか、またかけた。その程度の見積もりもできぬのに、国を保てるはずがなかろう。ましてや、そんなことでは人の心を読み、隠れた知恵を見抜くこともできまい。ひいては、よき家臣にも恵まれず、この戦国の世で家名を永らえることなど出来ぬ。あぁ、情けないのだ。」

これからずーっと後のことだけど、氏康が予想したとおり、豊臣秀吉(とよとみひでよし)に負けてしまうんだよ。

さぁ、卵ご飯にお醤油を自分でかけてみよう。一回でぴったりの味にかけられるかな?サラダにドレッシングを一回でちょうどよくかけることができるかな?
「うーむ、なかなかの目分量じゃ。物事の見極めの力があるようじゃ。行く末が楽しみじゃよ。」
出来たらね。なぁーんて北条氏康が言ってくれているよ。

最後まで読んでくれて、ありがとう。
これでおしまい。

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