藤堂高虎(とうどうたかとら)の夜話 その2(全2回)
高虎はよく人の話しも聞いていたんだよ。関ヶ原の戦いで負けてしまって捕虜となってしまった豊臣軍(とよとみぐん)の大将の石田三成(いしだみつなり)に会って話しを聞くことができたんだって。
「この戦いで我が軍の備えに、どこか不足はなかった、これも昔のよしみだ。教えてくれまいか?」
「そう言われては、言わずにおれぬ。先鋒の鉄砲頭(てっぽうがしら)の働きが小心(しょうしん)の者と見えた。小心は小心なりの働きしかできぬぞ。それ以外は申し分なかった。」
三成の話を受けて高虎はね早速鉄砲頭を千石取りに格上げしたんだって。そうさ、関ヶ原の戦いの時には高虎の率いる軍は、豊臣軍の大谷吉継(おおたによしつぐ)隊を激しく責め立てていたんだ。
石田三成も立派さ。負けてしまった豊臣軍のリーダーだったから、間もなく殺されると分かっているのに、こうして高虎の質問のきちんと答えているって、かっこいいよね。
こんなふうに、人の意見を聞いたり、人の才能、得意不得意を見極めるということが高虎の優れたところだったんだね。高虎の夜話は評判となってね、気に入った家康は毎月3~5度高虎を招いて夜話会(よばなしかい)を開いていたんだって。そしてね、秀忠に何か質す(ただす)ところがあれば、高虎の話しの中に託してそれとなく注意するようにさせていたんだって。秀忠だって、お父さんの家康からガミガミ言われるより、やんわり高虎の話を聞きながら考えをまとめていった方がいいものね。
大人になったら夜話ができるようになれるんだよ。楽しみだね。
最後まで読んでくれて、ありがとう。
じゃぁ、お休み、ポン!
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