浄蓮の滝 その1(全2回)
昔、浄蓮の滝の近くで一人の木こりがターンターンと、斧をふるって木を切っておった。
一時も過ぎた頃、一服しようと木を切る手を休めて木株に腰を下ろして休んでおったと。
するとどこからか、一匹のジョロウグモが足元に這い出して来てなぁ。
見ているとするすると糸を出しては木こりの足を十重二十重と巻き付けていった。木こりはな、気味が悪くなって立ち上がろうとした。幾重にも巻き付いた蜘蛛の糸をほどきながら、腰を下ろしていた木株にその糸を巻き付けてな。さて立ち上がろうとしたその時じゃった。
ゴーンゴーンと滝壺の水音が激しく唸りだしたかと思うと、蜘蛛の糸を巻き付けた木株が、その蜘蛛の糸に引っ張られ、メリメリと音を立てて山肌から引き抜かれ地響き立てて滝壺の中に引き込まれていった。
木こりはあまりの恐ろしさに体が凍り付いた。糸をほどすのがもう少し遅かったなら、今頃滝壺の中へ引き込まれていたに違いないと思ってな。
木こりは恐ろしくなり一目散に山を駆け下り二度とこの滝近くには行かなかったと。
そして、誰にもあの蜘蛛の糸のことは話さなかったそうな。
しばらくしたある日、遠くの村の木こりが、、、
今日はここまで、この続きは明日ね、おやすみ。