混浴の酸ヶ湯温泉(すかゆおんせん) その2(全2回)

昨日の続きだよ、ポン!

その湯気の中から大きな鹿が飛び出して来て、雪の山の中へと飛んで逃げていきました。
「あれは確かに、昨日矢を射こんだ鹿に間違いない。深い傷をおっていたはずなのに、なぜあのように逃げて行けたのか不思議だぁ」
佐ヱ門(さえもん)は矢を射ることも忘れて、考えながら湯気に近づいてみました。そこには、湯の湧き出た小さな池のようなものがありました。硫黄(いおう)の匂いもします。
「これは温泉だ。きっとこの湯であの鹿は傷を癒した(いやした)のだ」
佐ヱ門は着物を取り、その湯にそっと体を沈めてみました。雪山を歩き続けて疲れていた体は、そのお湯で暖まり疲れもとれたのです。

佐ヱ門は村に帰ってこの湯のことを皆に伝えました。すると、大勢の村人たちがこの湯に入りに来るようになったのです。皆、疲れが取れ、病気の治ったひとまでありました。

佐ヱ門は津軽藩(つがるはん)の許しをもらって、ここに小屋を建てて、湯治場(とうじば)としたのです。{鹿が入った湯}だったので、鹿の湯と呼ばれました。それが今の酸ヶ湯(すかゆ)温泉の始まりだということです。

今では酸ヶ湯温泉は、千人風呂(せんにんぶろ)と呼ばれる大きな大きな温泉で、しかも混浴(こんよく)だそうです。混浴とは男の人と女の人が一緒に入ることができるお風呂のことです。なので、青森に行ってみたら、是非パパママ、お兄ちゃんお姉ちゃんと一緒に酸ヶ湯温泉に入ってみてね。

これでおしまい。ポン!

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