八郎太郎が作った十和田湖 その2(全2回)
イワナを1匹食べた八郎太郎(はちろうたろう)は、
もう我慢ができなくて、友達の分の2匹のイワナも食べてしまった。そしたらね、喉が渇いて渇いてしようがない。さっきの谷川まで駆けおりて行って、その水を飲んだ。冷たくって美味しい。飲んでも飲んでも喉が渇いて渇いてしようがない。ずっと、ごくごく飲み続けていたんだ。そしたらね。なんか痒く(かゆく)なって、体中にブツブツ何か出てきたんだ。八郎太郎はビックリして、自分の腕や足を見た。そのブツブツはみるみる増えて、なんと鱗(うろこ)に変わっていくんだ。もうビックリして、顔を上げたらね、谷川の水に大きな蛇のようなもんが映ってる。八郎太郎は知ったんだ。自分がその大きな蛇に変わってしまったって事をね。
「おぉーい、八郎太郎やーい、八郎太郎やーい」
そこへ友達が来て、八郎太郎の変わり果てた姿をみて、ビックリしたよ。
「こんな化け物になってしまったがよぉ。もうお父さん(おどさん)お母さん(おがさん)のところには戻れんがのぉ。よろしゅう頼むのぉ」
そう言うとね、八郎太郎は涙をこぼしながら、谷川の中へとずんずん入っていったんだ。
「ゴロオーン、グルオーン」
八郎太郎の泣き声が山に響いていたって。八郎太郎はね、33日間その谷川のお水を飲み続けた。体は33尋(ひろ)というから60メートルほどもある大蛇になってしまったんだ。
そしてね、八郎太郎の大蛇は谷川をせき止めて、深い深い湖を作って、その湖の底へと沈んでいったんだ。十和田湖は八郎太郎がこうして作ってくれた湖だったんだね。湖の深さは320メートルもあるというよ。八郎太郎の大蛇は今でも湖の底で泣いているのかなぁ。
おしまい、さぁお休み、ポン。