呪われた松本城 その5(全5回)


烏城はね、それからもずっと傾き続けていったんだよ。

昭和26年、もうこれ以上傾いたら大切なお城が崩れてしまうっていうんで、修理をすることになったんだ。大学の先生たちが担当したんだよ。屋根の瓦から柱まで全部ばらしたんだけど、傾いた原因が分からなかったんだって。やっぱり加助さんたちの呪いだよって皆な思ったんだよ。だけどそんな筈はない。土台の大きな石やら泥の中に埋め込んであっ
た直径5メートルもある丸太を16本抜き出したって。でもまだもっと下にも木が埋められてあった。今のようにクレーン車やショベルカーもない時代なのにすごい工事をしてたんだね。一番底の底にあった大きな木が腐っていたんだって。やっと原因が分かった。だからそこだけコンクリートを流して補修して元通りに一つ一つ大きな石や柱を組み上げて
作り直したんだよ。5年と半年もかかったんだって。だから今では烏城こと松本城はまっすぐに堂々とその姿を見せてくれているよ。
天守には急な梯子段がついていて、てっぺんまで登れるんだって。

今度連れて行ってもらって、天守のてっぺんまで登ってみようか。お城が曲がっていた時の写真も見てこなくちゃね。日本の宝物だもの。真っ黒のお城見に連れて行ってもらおうね。
これでおしまい。さあ、お休み。

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