下の句は、「切りたくもあり切りたくもなし」 その2(全2回)


二番目の小僧さんが言いました。
「和尚(おしょう)さま、出来ました」
「どれ」
「硯箱(すずりばこ) 長きに余る 筆の軸 切りたくもあり 切りたくもなし」
「うーむ。小机の上の硯箱が見えてくるようじゃ。こちらもなかなか良いのぉ」
墨で文字を書くための筆が少し長くて硯箱に入らない 筆の軸を切ってしまえるようにしたいような、切っては惜しいような

「それでは、最後のお前はどうじゃ。まだ出来ぬか」
三番目の小僧さんは、咳ばらい(せきばらい)を一つすると言いました。
「はい、それでは」
「梨一つ くれぬ坊主の 生首(なまくび)を 切りたくもあり 切りたくもなし」
「なに?」
それを聞いて和尚さんは、パチンを怒ると持っていた大きな梨を、その小僧さん目がけて投げつけたのです。すると、「ほい、きた」と三人目の小僧さんは、その大きな梨をつかみ取ると自分のものにしてしまったのです。梨ひとつも分けてくれないお坊さんとは和尚さんのことで、生首とは和尚さんの首のことですから、その首を切ってしまいたいような、切りたくもないようなと言ったのですから、怒ってしまったんですね。ですからね、この地方では梨のことを{小僧殺し}とも言っているんだそうですよ。

さぁ、上の句五七五と詠んでみましょうか。目を閉じながら考えてみましょうね。

今日も読んでくれて、ありがとう。
お休み、ポン!

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