献上の湯 熱海の温泉 その1(全2)



ポンと大昔のことだよ。
熱海(あたみ)の温泉のお話だよ。ずっと大昔、今の熱海のあたりは、たくさんのお魚が獲れていて、港は賑わっていたんだ。ところがね、ある日突然、海の中から熱いお湯が噴き出しちゃったんだって。港の近くの海はね、熱いお風呂みたいな海になっちゃって、たくさんのお魚が死んじゃったんだよ。だからもうお魚を獲ることはできなくなっちゃって。人も住まなくなって、このあたりの村は寂れていたんだって。熱い海だから、あつうみ、って呼ばれていたんだよ。たまにはね、修験者(しゅげんしゃ)という人たちが、厳しいお勉強をしているお坊さんたちが、体を鍛えるために熱い塩水を使っているくらいだったんだ。

ある日、この村の人が岩の間から熱いお湯が出ているのを見つけてね、お風呂みたいに気持ちよかったからね。その湧き出したお湯をためて小屋を作って温泉にしたんだよ。そしたら、東海道(とうかいどう)を行く旅人たちが、立ち寄ってくれるようになって、しかも、良いお湯だったんで、大評判になっちゃったんだよ。そんなもんで温泉小屋が27も出来たんだって。いろんなお店もできて、それはそれは賑やかになったよ。

今日はここまで、また明日。ポン!

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