タコの足食べること まかりならぬその1(全2回)


今日はね、兵庫県の赤穂(あこう)に伝わるお話だよ。
「タコの足 食べること まかりならぬ」っていう言い伝えがあるんだってさ。
食べることまかりならぬ、ってのは食べちゃダメってことだよ。

ポンと昔々。兵庫県の赤穂御崎(あこうみさき)がまだまだ寂しい漁師町だったころのことじゃよ。
ある日一人の漁師が赤穂御崎の北の方にある万五郎谷(まんごろうだに)ってところへな、草刈りに行ったんじゃと。一仕事してな、やれやれと腰を伸ばしていた時のことじゃ。
漁師はな、海岸のトリ石っちゅう岩の上に大きなタコが昼寝をしているんを見つけたんじゃと。漁師はな、ちょっとはおっかなかったけんど、トリ石の岩のそばまで行ってみたんじゃ。今までそれは見たこともないような、でっかいタコじゃったんだと。タコはな、気持ち良さそうにゴウゴウと鼾(いびき)をかいて昼寝をしておった。こんなでかいタコならさぞうまかろうと漁師は持っていた鎌でタコの太い足を一本切り落とすと大急ぎで家に帰ってその足を煮て食べたんだと。家族中みんなで美味しい美味しいと喜んで食べたんじゃと。

次の日その漁師はまた、あのトリ石岩のところへ行ってみたんじゃ。そうしたら、どうじゃ、7本の足になったあのタコが、まだゴウゴウ鼾をかいて気持ち良さそうに昼寝をしておる。漁師はまた、そっとタコに近づくと鎌で一本の足を切り取って、大急ぎで家に持って帰って、やっぱりそのタコの足を煮て食べたんじゃよ。

今日はここまで。
読んでくれて、ありがとう。
ポン!

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