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オレンジページのすごいとこ

オレンジページ、中高生の頃は、たまに本屋で立ち読みしていた。同社がダイエーの出版部門から独立したあとの時期で、JR東日本の傘下に入る前の時期。

豚バラ肉のおかず、時短レシピ、節約と献立に悩む主婦雑誌。2000年代に入り、社会人の自分は東京カレンダーでお店をチェックし、dancyuレシピに憧れ、やがて暮らしの手帖の素晴らしさに気が付いて、書棚には柴田書店の料理本、土井先生や辰巳先生の本などが並んだ。

おそらく20年以上ぶりに暇つぶしにとあるスパでオレンジページをめくったところ、衝撃が走った。
え、クックパッドやkurashiruのお手軽レシピと似ているようで違う。めんつゆの代わりに手軽においしく味がつくように水出汁の取り方から、細かい調理のコツも簡単だけどちゃんと書いてある。もやしや豚コマでお安く仕上げられるようにはできてるけど、ちょっとしたスパイスの使い方とか、豊かな味になるように工夫がこらされている。とにかく試作して書かれているのがよく分かる。

レシピ以外もすごい。夫が話を聞いてくれないとか単純なお悩み相談も男女の認識方法の違いなどからとても丁寧に客観的にpracticalな中身。主婦の社会参加、年齢を問わない多様な生き様へのしなやかな讃歌。気取っていないし、構えてもないし、本当に普通の主婦雑誌のままの姿で、さりげにとてもすごい。

母が怪我をして、週末は付き添っているのだけれど、8月号の冷凍うどんに食材をのせてレンジにかける和え麺レシピは、フライパンから皿に料理を移すのも重たかったらどうしよう、身体のために油を減らしてやりたいという娘の気持ちにぴったりだった。加熱時間も全部同じ時間で複数のレシピ、覚える手間もない。でも具材の配し方など失敗しないようコツはちゃんと書いてある。巻末で手頃な耐熱皿が買えるようにもなっていたので買ってあげることにした。

横着なレシピだといえばそうだけど、料理に手間をかける余裕なく、コンビニの麺に走りたくなるような人達に、すっと手を差しのべる企画だった。土井先生の一汁一菜も救いではあるのだけど、やっぱりちょっと格好よすぎる。

母が、凝り性のあなたでも随分熱心に読むのねというのに、色々な人が自分のやりやすいように食べられるのが大事なんだよと自然にこたえていた。

調べてみると、鈴木善行編集長は、読者であるかを問わず、あらゆる家庭に訪問し、生き方全体にアプローチしながら企画をすることを徹底しているという。表立っては難しいことは書かれていないけれど、その思いやりは誌面にもあふれていると思う。

30年主婦の味方を貫くオレンジページが変わったというよりも、私の方がそうした思いやりを受けとることができるように少しだけ成長したのかもしれない。

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