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-いざそのとき、外国人が安全に行動できるように-

令和(2024)年9月現在、横浜市に在住している外国人の人数は123,979人、出身国・地域は約170か国です。同年月時点での横浜市の0歳から4歳の人口が120,233名ですので、その人数と比較すると日ごろから外国人が身近な存在であることがわかります。
外国人の中には、母国で地震や大雨・台風などの日本特有の災害を経験したことがない人がいます。また、過去には「日常生活で日本語のやり取りはできるが、発災時に使われる『避難』『余震』など災害時特有の言葉が理解できず、どのように行動すればよいかわからなかった」という外国人からの声が多くありました。
YOKEの事業の1つである「外国人の災害時対応事業」では、地震や台風・大雨等による発災時に外国人が困らないための周知活動や、大規模災害発災時に横浜市からの設置要請により「横浜市外国人災害時情報センター」を設置するなど、災害時の外国人対応に関する取組みを行っています。今回は、災害に外国人が置かれる状況と私たちの取組みについて紹介します

災害発生時における外国人にとっての「3つの壁」

日本語を十分に話すことができないことや発災時にどのようなことに困るか、そしてその後の行動について知らない外国人は「言葉の壁」「心の壁」「制度の壁」の「3つの壁」に直面すると言われています。

言葉の壁

日常生活に馴染みのない、 災害時特有の言葉がわかりづらい 「『タキダシ』ってなに?」 「『タカダイへヒナン』ってなに?」

心の壁

自然災害についての経験や教育、また文化の違いから誤解が起きてしまう「なぜ地面が揺れるの?」「小さな揺れが繰り返し来るのはなぜ?」のような不安を誰に聞いたらよいのかわからない。

制度の壁

災害時における特別な仕組みや手続きがわからない「外国人も避難所に行って良いの?」 「避難所に泊まるのはいくらかかるの?」

外国人にとって「3つの壁」が少しでも低くなるように

発災時にこれら「3つの壁」が外国人にとって少しでも低くなり、安全に行動することができることを目的に私たちの事業で行っていることを紹介します。

「YOKE災害情報サイト」での情報発信

「YOKE災害情報サイト」は、平常時は大きな地震や台風・大雨などによる発災時にどのようなことが起きるか、発災したとき安全に行動するために日頃からどのようなことを知り、準備をしておくと良いか等のストック情報を伝える、主に外国人を対象としたウェブサイトです。12言語(機械翻訳)で読むことができます。
発災時はウェブサイトとYOKE facebookページ等で災害状況や対応に関する情報を発信していきます。YOKEの職員誰もがこれらの媒体を通じて情報を発信できる体制を整えるため、毎月課毎に輪番で防災に関する情報を「お知らせ欄」で発信しています。

防災関連イベントへの出展

横浜市で暮らす外国人にとって、発災時にまず頼りになるのは身近にいる(日本人、外国人)市民です。市民が発災時に「やさしい日本語」で声がけをするだけで多くの外国人は安心することができます。「外国人だから日本語はわからない」「外国人には英語で話しかけなくてはいけない」という考え方は在住外国人の場合、多くは当てはまらないことを市民に知ってもらうことも大変重要です。また、外国人とコミュニケーションをとるための手段をお伝えし、外国人にとって役立つ情報を市民経由で広めていただけるようお願いしています。
私たちは、横浜市総合防災訓練等への出展を通して市民へこれらの情報をお伝えしています。出展の場は、私たちから情報をお伝えするだけではなく、参加くださった市民から発災時に外国人にどのような手助けができるかの提案や、外国人支援方法に関する質問をいただく場にもなっています。

「いざというとき」職員の誰もが対応できる体制づくり

YOKEでは、平常時はストック情報の発信や「在住外国人と災害」に関する周知を中心に行っていますが、その他に「横浜市外国人災害時情報センター」(以下、センター)を設置する訓練や研修も行っています。センターは、大規模が発災時に横浜市からの要請によりYOKEが設置することになっており、YOKEのみなとみらい事務所の職員で対応することになっています。職員の誰もが「横浜市外国人災害時情報センター」を迅速に設置することができることを目的に、設置に関する確認や発災時の外国人対応をより良くするためのブラッシュアップを行っています。
2024年10月に開催した研修会では、外国人アドバイザーを3名お招きし、「やさしい日本語」での情報発信方法を共に学びました。

協力者と共に

冒頭で紹介したとおり、横浜市には現在12万人を超える外国人が暮らしています(2024年9月末現在)。いざ発災した時、12万人を超える外国人をYOKE職員だけで支援することは到底できません。市民や関係機関、団体との連携が必須になってきます。
その中でも、外国人の側にいる市民が一番の力になると私たちは考えています。相手の言葉を話せる必要はありません。どうすれば良いか困っている外国人がいたら「一緒に逃げよう」「困っていませんか?」とわかりやすい日本語で声をかける、ジェスチャーで伝える、手を引いて逃げる、紙に書いて伝えるなど、その人ができる方法で外国人のことを気にかけてもらえることは、発災時に困った状況にいる外国人にとって大きな安心につながります。
「人種・国籍に関わらず困った時に声をかけ合える」「市民に私たちの存在と発災時の役割について知ってもらい、市民を通して外国人へどこに相談ができるか伝えてもらえる」発災時は、このような市民一人ひとりの力が大きな力となります。
みなさまが可能な範囲でのご協力をぜひお願いいたします。


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