「多摩美の森」のナラ枯れ被害
先日、ふとしたきっかけで自宅裏山とも言って良い川崎市多摩区・麻生区境界の「多摩美の森特別緑地保全地区」の『ナラ枯れ被害』のことを知りました。
連日の猛暑が一段落した8月12日、雨も降らず日も照らずの絶好の散策日和の中、地元の市会議員さんのお力もあり市役所から多摩区(2名)麻生区(3名)の道路公園センター職員の方に同行いただき地元の方々とともに状況説明と今後の方向性についてのお話をお聞きしました。
ナラ枯れそのものはカシノナガキクイムシ(Platypus quercivorus)による食害と、それが媒介するナラ菌(2種類)の感染により枯死にいたるものが顕著な被害であり、近年西日本で被害が報告されていたものがこの2~3年で伊豆半島や関東地区にも広がりを見せています。
川崎市内北部でも小沢城址・生田緑地・早野聖地公園等で被害が確認されており、市役所でも対応してきています。
感染の拡大は台風などによりカシノナガキクイムシが飛ばされることにより森林の各地で起こり、若木というより壮木に多い。
枯れても根まで朽ちるまでには数年かかり、根が腐って倒木まで至ると近隣の住宅・道路・電線等に支障をきたすことがあるので、発見の都度周辺を確認しながら優先順位をつけて対応している状況、とのことでした。
景観上の問題もあるが被害樹木の数も多く、予防策(防虫シート巻き)や治療(ワクチン注射)なども追いついておらず、またそれぞれ資材代・人件費ともに少なからざるものがあります。
公有地はともかく私有地であれば対応は公道などに被害が予想される部分の対応を働きかけることしかできない状態とのことでした。
しかし、当初言われていたように「手をこまねいている」というよりは「対応しているが数が多く追いついていない」というのが実態のようであり、見た目の派手さがあり多くの情報提供やご指摘もあるものの、地道な対応を継続して実施していることは確かであるようです。
カシノナガキクイムシが増えているのか、移動してきているのかはなんとも言えず、また気候変動(地球温暖化)の影響についても因果関係は確認されていません。
当面は人間生活に影響の出るような被害が出ないように対応していくしかないという印象を持ちました。
合わせて、該当の地域は急傾斜地崩壊危険区域や土砂災害特別警戒区域に指定されている区域もあり、防災上の視点でも対応していくことが望まれます。
(参考)Wikipedia:ブナ科樹木萎凋病(ぶなかじゅもくいちょうびょう、英名:Japanese oak wilt)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%8A%E7%A7%91%E6%A8%B9%E6%9C%A8%E8%90%8E%E5%87%8B%E7%97%85