山形天童酒蔵訪問「水戸部酒造さん」編
わたくし日本酒を好きになり始めた頃から何だか「山形正宗」という銘柄が好きでして。
今でも、好きな日本酒銘柄ベスト5には必ず入る山形正宗。
時に「山川光男」になってみたり
はたまた「稲造」の象は私には刺さりまくるキャラクターだったり。
マロラクティック発酵しちゃったり。
(商品名 まろら)
でも派手さがなくて謎な存在。
名前が◯◯正宗だと、どうしても昔ながらの味わいみたいな印象受けるからちょっと誤解されているかも。
味も表現が難しい。
「酸が立つ」わけでもない
「香り高い」わけでもない。
甘い酒でも辛い酒でもない。
濃くも淡麗でもない。
いたって中庸なお酒。
燗あがりするし、冷酒も美味しい。
ただ、いつもブレない。
山形正宗ウマいなぁってなる。
先日とある日本酒イベントで水戸部酒造社長の水戸部朝信さんにお会いし
「ずっと好きでした!」
と卒業式の女子高生か、
ねるとん紅鯨団的な告白の仕方をしてしまったら
「ありがとうございます、良かったら是非来てください」と、ドン引きすることもなく笑顔で応じてくださった。優しい…。
もちろん水戸部酒造さんは蔵見学は受けていない酒蔵さん。私もそれは知っていたし、造り時期に入るしお邪魔になってはいけないので そうそう簡単に蔵見学はお願いしないのだけど…
良かったら、なんて言っていただけたら遠慮なんかできるわけもない。
私も夫も日本酒を扱う飲食店なので酒蔵さんからはいつもよくしていただける。ほんとありがたい。
ついに
愛してやまない山形正宗の蔵見学をさせていただける日がついに来たのです!
うおおおー!
その日のうちに新幹線を予約。
1ヶ月ほど 遠足の前の日みたいな日が続き
いよいよ当日。
気合い入れて始発で。
4時起きくらい何ともないわ〜♪
喜び勇んでいざ天童へ。
新幹線が停車する駅だし、天童温泉って聞いたことがあるし、なかなか大きい駅かと思いきや静かな住宅地だった。
天童駅から歩くこと30分ほどで水戸部酒造さんに到着です。途中に美観地区的なところもあり、楽しく歩いて到着。
私たちは毎朝の日課で5キロのウォーキングをするので、とても程よい距離でした。
天童駅からはタクシーがありますが、
水戸部酒造さん最寄りの天童南駅にタクシーはいないのでご注意を。
さてさて水戸部酒造さんに到着〜
酒蔵と繋がっている事務所や応接室などは新築ピカピカ✨最近新しくされたようです。
応接室でお待ちすると水戸部さん登場〜!
先日デンマーク出張に行かれた際に購入した、美味しいコーヒーでおもてなしいただきました。
コーヒーお好きなんですって。
少しドキドキしながらちょっと世間話。
なんせ告白以来2度目ですからねぇ。
とはいえなんだか自然な雰囲気で話が和やかにできるのは水戸部さんのお人柄ゆえ。
「せっかくだから午前中の方が蔵見学面白いんで早速行きましょう!」と
いよいよ蔵見学です。
蔵に入ると まず「槽(ふね)」と呼ばれる
搾り機2台が。
その手前が洗米場になっています。
さっそく洗米作業が始まりました。
な、なんと山形正宗はほとんどが手による洗米なのだそうですよ。びっくり!
もちろんWoodsonの機械はありますが、ほとんどの場合は10キロずつの手洗米なんですって。
豊富な井戸水。
冷たくて冷たくて。
ほんと素手はつらすぎますよね。
ゴム手袋をしても良いよ、ということなのですが
蔵人の頭(カシラ)は絶対に素手。
他の蔵人さんもほとんどが素手でした。
カシラいわく「米の温度と水の温度の差が大きいほど米が割れやすい。素手で触ればその温度差がどのくらいかわかる。温度差があまりない時は普通に洗えば大丈夫だけど、温度差があるなって感じた時はちょっと優しく洗ってあげたりなるべく割れを少なくするように調整できるんだ」って。
これぞ手造りの良さ、職人の良さですよね。
使い終わったWoodsonはすぐにバラバラにして洗浄。その中にちょっと米が残るじゃないですか。あと甑で蒸しあがった米を包んでいるネットとかにも米はくっつきますし。
そういう米もザルで集めて醪タンクにポイっと入れる。捨てないの。
「大切に育てたお米は一粒も無駄にしないで溶かして酒にする」
って聞いて なんだかとても嬉しくなりました。
やっぱり好きな山形正宗だーって。
搾りは佐瀬式の槽をメインで使用していますが、ものによっては最近導入した圧搾機、普通は「薮田」っていいますがよりコンパクトで分解や掃除がしやすく清潔が保てる理由から「横山式」を使っています。
分析室も見せていただきました。
アミノ酸度と酸度が測れる分析機。
アルコール度数と日本酒度が測れる分析機など最新の分析機が完備されています。
毎日、醪を採取してその濾液を分析機にかけるのと同時に、必ず官能検査もします。
数値には出ない変化もあるんですよね。
それでその官能検査として
フラスコから濾液を飲んでみる、という
なんとも貴重な体験もさせていただきました!
憧れの人の前で
腰に手を当て
三角フラスコをラッパ飲みするオンナ…
ぬるいポカリスエットみたいでした。
麹室も見学。
ちょうど出来上がった麹米を少し食べてみたのだけど ものすごく美味しい「茹で栗」の味と香り。
甘みも 麹米を噛んでいくとすぐは味がないけど、後半じわっと甘みが出てくる。
しっかり甘い、けどスッと引く。
あー、これが山川光夫正宗の味を作る麹か。
山形正宗の味を作る要素
ひとつ発見。
造りの細かい話は書いたらきりがないので
直接お会いできる方は いくらでも話しますので聞いてくださいね〜
さて
美味しいお酒を造るため、2018年からは農業生産法人「水戸部稲造」を設立して米作りからこだわっている水戸部酒造さん。
自社田も見せていただきましたが、無農薬有機栽培とそうでない田圃(病害虫の発生などがあった場合のみ農薬を使用する)の稲の見た目や様子に差があったり、作ってみてはじめてわかることもたくさんあるのだとか。
さらには裏には以前から林檎畑があるんです。
林檎があるから、じゃあシードルも造ろうと。
出来上がったばかりなシードル棟(醸造所)も見せていただくと、爽やかで甘いりんごの香りに満たされた清潔な空間で、せっせと女性蔵人さんがお一人で製造に励んでいらっしゃいました。
山形正宗のシードル、まもなく発売🍏楽しみです🎵
見学の後は地元天童で人気のお蕎麦屋さん
「喜里喜里」さんでお昼をご一緒しながら更なる
酒トーク。
こちらはお蕎麦が美味しいのはもちろん、天然のなめこを使ったり、地場野菜の天ぷらなど嬉しいメニューがあるお店。
しかもオーディオ好きにも有名なお店で、冷蔵庫ぐらいの大きさの極上スピーカーが4台!
最高の音色のJAZZがお蕎麦をより一層引き立たせてくれます。
水戸部さんは運転、
夫は飲まない中、私だけお蕎麦とともに山形県のお酒「松嶺の富士」をいただく。
幸せでござる。
マロラクティック発酵についてや、酵母についての細かいお話を突っ込んで聞いたり
今後のビジョンなんかもお聞きしたり。
日本酒のマロラクティック発酵については
それだけでひとつ記事が書けそうなのでまた後日。
食後はコンパクトな天童の街をドライブ。
「ここのコロッケは有名。普通だけど笑」とか
「このあたりはスナック街」「ここは良く行く居酒屋」とか「ここは揚げてない焼きカツ屋さん。」とか。
道の駅でおろしていただき、こちらで水戸部さんとはお別れ。
私たちは道の駅でラ・フランスを大人買いしたり、その後は立ち寄り湯を堪能。
最高に楽しい一日をありがとうございました。
山形正宗、これからもずっと応援してまーす!!