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M-1に出てきました

石井僚一には前々から漫才をやろうと言われていて、それが一回なら聞き流したのだけれど二回言われたので本当にやりたいのかなと思って、じゃあM-1でる?ときいたら「まあ、一回打ち合わせて決めるか」となぜか石井が上の立場を取ってきてとても面白かったです。

打ち合わせをして、わたしが大体のネタを書いて、それに石井が加筆、さらにわたしが流れを修正、やってみて細かく直す、という流れでかなり丁寧にネタをつくる作業をして、石井がめちゃめちゃ堂々と変な動きをするのでわたしが笑ってしまい台詞に詰まることが多々あって、なんだこれ!!!えっ漫才って楽しいなおい!!!となんだか感激しました(もちろん今までも楽しかったけど、なんというか、石井の動きや表情の作り方がいちいちツボに入ってしまうのであたらしい動きを石井がやりはじめるとそれに慣れるまでわたしが台詞を飛ばしまくる地獄とかあって、「本当にお笑いやってたの?」と聞かれてわたしはお笑いをやっていなかったのかもしれないと思いました)。

きのう、12日には歌会をやってそのあとにネタを見てもらうという会をやり、井口が真剣に司会をやっているのにネタに頭が支配される時間があってロールパンナちゃんの善と悪のこころが戦うみたいなかんじでネタと短歌のこころがちょいちょい戦ってて、でも話にはついていけた気がします。けれどもっとみんなにガンガン話を振ってよかったよな〜とあとで石井にも言われて反省しました(ちなみに石井は好き勝手喋ってて、久しぶりに司会じゃない状況を楽しんでるっぽかったのでよかったです)。

ネタ見せで言われたことを思いながらなんとなくさみだれ(相川弘道)が喫煙所に行くのについていって、タバコ一本分(わたしは吸わないのでぼけーっと立ってた)短歌とお笑いの話をして、帰りの電車でもいろいろ話し、最終的にさみだれが「俺、無頼派って言われて嬉しかったです」と言っていたのがなんかすごくよくて、その良さを握りしめながら家まで帰って、ぜんぜんうまく寝られなかったけど匿名ラジオの好きな回を聴きまくってなんとか寝つき、朝はすこし早起きしてM-1の予選を見にいった。

ガクヅケがよくて、ほがらかつばさ旅行もとてもよかったけど会場の反応がいまいちでえっなんで!!!???となったが、最初の方のお客さん(こういうこと言うのあまり良くないのですが)の感じとはあまり合わないのかもな〜と思って、そこ2組を見届けたところで力尽きて外へ出た。寝ないと無理だ、と思ってビックエコーに入り、うつ伏せとあおむけでそれぞれ1時間くらい寝て、すこし時間があったので日食なつこの水流のロックを歌い、ここでふたり起こした逆流で世界がどよめけばいいと思うんだよ、とわたしはこれを漫才の歌だと思っているので(ログマロープがM-1テーマソングになったときより前から思ってます!!!!)のでいいよな〜としみじみして、予約していた別のビックエコーに行って石井とネタ合わせ。何回合わせても、ネタの内容を間違ったりはしていないのだが、そわそわしてしまう。その不安を断ち切りたくて何度も繰り返し練習して、結構いいな、と思った一回ができたのでそれで終わりにする。石井は推し活ドリンク(メロンソーダ)を飲んでいる。わたしも推し活のやつ飲みたいのだが、グミが乗っていて、わたしはグミを噛めない(べつに病気とか歯が弱いとかじゃなくて、噛んでると怖くなる)ので舐め溶かすから3時間くらいかけて食べなきゃいけなくなるため頼めなくてひとの推し活ドリンクの実績が解除されていくところを見届けるだけになっていた。

会場に入ったらちょうどの時間から受け付けますと言われる。時間になってまた行くと受けつけてくれる。8階へ再び登るとなんか待合室がある。こんな溜まりあったっけ??と15年近く前の知識を引っ張り出す。なんか廊下とかにみんないなかった??今年は女性の着替えスペースまであって、そのことを知らなかったわたしは着替えるのトイレとかだろうからめんどくさいなと思い衣装で一日過ごしていて、えっ着替えられたのかよ、となったが、わりあい普通のワンピースなのでまあいいかと思う。
明らかに石井が緊張している。わたしも緊張しているが石井の方がちょっときつそうだなと思う。何度か小声で通してネタをやる。順番が近づくと奥に通されるらしく、ちょいちょい香盤を確認してしまう。

ニシブチさんをお見かけする。そうか、すこし前の順番だもんな、と思ってハチカイ大好きなわたしはにこにこしてしまう。しかしニシブチさんのM-1の邪魔になりたくないのであまりジロジロ見ないようにするが明らかに見てしまっている。う〜〜ネタはちょっと聞こえてきてすげえ面白そうだった。見たかった〜〜!!

コンビ名を呼ばれてスムーズに奥へ行き、待ってろと言われた場所でまたすこしネタを通してみて、こう言うふうに何回もネタをやりたがってくれる相方はありがたいなと思う。わたしは不安症だからできるだけたくさん稽古しておきたい派なので体に染みついてどうもならなくなるくらい稽古をしたい。

前の組がネタを飛ばしている。オチをつけようとして頑張っているところで爆発音が鳴る。わたしはすこし肩に力が入ってしまう。飛ばしたらどうしよう、と一瞬思う。振り返ったら石井が立ってる(当たり前だが!)のでなんか肩とか叩いてがんばろって言っておく。がんばらなきゃいけないのはわたしなのに石井の肩を叩いていて、これは人のためではないけどコンビのためだからOKってことにしてください!!!と思いながら人生でほとんどはじめての「どうも〜〜〜〜」を言いながら舞台に出ていく。練習の通りにできている。ハケたあと、あ〜飛ばさなかった、よかった、という気持ちがあっておつかれ、とか、いいんじゃない、みたいな言葉をいっぱい言ってしまう。石井は声が小さかったことを気にしているようだ。

会場の外に出て、どっか寄ってく?と聞いたらめずらしく石井がなんか食おうというので喫茶店に入る。でかいパンケーキを頼む。2段になっている。この店のパンケーキをはじめて頼んだのでわたしはテンションが上がっていて、うめ〜と言いながら食う。石井のパンケーキを奪い取りもする。あと石井がもらってたメープルシロップをがんがん使わせてもらう。わたしはこういうジャイアンみたいな振る舞いができるが一人っ子ではなく弟がいる。よく一人っ子でしょって言われる。弟がいる。ジャイアンにだって妹がいる。ただしわたしは5歳まで父に溺愛されてお姫様のように育てられたのでその影響はかなり性格に出ていると思う。

ふたりともたいへんに疲れている。コーヒーを飲んでパンケーキをだらだら食べながら、なんの話だったかはさておき、石井が喋ってることをきいてわたしが「それってわたしとあなたが結婚するってこと?」と聞いたらなんで?みたいな感じになってほんとになんで?だった。いまちゃんと考え直してもどうしてそうなったのかわからないがなんかそう言っていて面白かったし脳の回路がかなり変な繋がり方をしているなと思った。ちなみに石井は「しないよ相方だから」と答えていてこいついいこと言うなと思った。

なんでかわかんないけど人を好きになるということはどういうことかみたいな話をして、わたしがのこり一口分のパンケーキを食べるためのコーヒーが足りなくなったのでおかわりした。飲みおえて、M-1の結果があと少しで出そうだったが疲れたから解散しようということにした。じゃあまた〜と自然にそれぞれの帰路についてから、あ〜これ一回戦通ってなかったらもうネタ合わせないのか、それは非常につまらんな、面白い動きとか見れないし、人間として石井はとても面白い類のひとなので稽古の合間にちょっと話したりするの楽しいんだよな、と思ったりして、えっけっこうさみしいな、と考えていたらインスタの通知が来た。つまり、M-1の結果が出たということだった。わたしはそれを見ることができなかった。

15年くらい前に出ていたM-1において、わたしは一回戦を突破したことが一度もなかった。もえちゃんという人と組んでいて、もえちゃんが吉本にはいってから別の相方さんとネタをやるようになってからはM-1の一回戦をなんなく通過していた。わたしだったんだな、と思った。わたしがもえちゃんの邪魔をしていたんだ、とずっと思っていて、それは正直かなりしんどいことだった。

しばらくして恐る恐る結果を見て、落ちているとわかって(というより先にガクヅケとほつ旅が通っていることと、ニシブチさんのところが落ちてるのを見てなんでよってなる時間があった)、とても悔しいと思った。けどしんどくはなかった。やれるだけやったなという気持ちがあって、結果を見た途端にあそこああいうふうにできたなとか今度はこういう漫才をやってみたいなとか(それはこのコンビに限らないかもしれないが)がわーっと浮かんできて、あっ意外とポジティブ、と思った。

でも悲しいからパフェは食べた。二つ重ねたパンケーキを食べたのにパフェを食べた。なんならドライカレーも食べた。もっと言うとグリーンカレーも食べた。

石井から連絡が来ていて、落ちてたね、みたいなもので、それは結果が出てかなりすぐに送られてきたものだった。なんかいろんなことを書いて返して、ありがと!!!みたいな感じになったのだが、返事に「いったんここまでありがとうございました!!」と書いてあって、あ〜〜そうだよな、続くんだよな、いろいろは、と思って帰宅してきておえおえ泣いてます。

以上、ルックバックファンクラブの本年のM-1でした。相方である石井を含め、みなさんほんとうにありがとうございました。

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井口可奈
ものを書くために使います。がんばって書くためにからあげを食べたりするのにも使うかもしれません。