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映画『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章』を観た感想
映画『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章』を観たので鉄は熱いうちに打て理論で感想を残しておきます。
ネタバレ100%なのでまだ観てない人はブラウザバックして映画館に行ってください。
トップバッター桜坂しずく
映画の始まりでは、とあるプール施設に虹ヶ咲のメンバーの一部が映し出されます。歩夢、ランジュ、かすみ、しずく、彼方、エマの6人が水着で遊んでいるシーンなのですが、ここで開幕5分もしないうちにしずくがライブの開幕を宣言します。
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先手必勝! ここで始めます!!
アニメでは自分自身をありのままに表現することを葛藤し、どこか内気でいたあのしずくが先陣を切って劇場版のトップバッターを担当していて成長しているんだなぁと強く感じさせてくれます。
この導入はとても上手いと思っていて、虹ヶ咲のメンバーの一部が沖縄にいること、スクールアイドルグランプリが開催されていること、アプリを使ってどこでもライブ配信ができることをタイトルロゴが出る前の序盤から示してくれています。これによって、以降もアプリを使っての各キャラのライブ配信が要所要所に入っていくんだろうなぁというイメージを浮かびやすくなります。
そして肝心のライブシーンなのですが、これもクオリティがめーちゃくちゃ高いです。楽曲も全て劇場版に合わせた新曲で、ライブ映像も沖縄の海をイメージさせるものに加えて、これまでの桜坂しずくが歩んできた道のりを表現するかのような様々な衣装が登場していました。
小悪魔LOVEのふりふりな可愛らしいピンクの衣装、エイエイサーの武士のような軽やかな衣装、繚乱の特攻服などなど、他にもしずくが舞台上で表現してきた様々なスタイルで登場しているのは、アニメのライブシーンを彷彿とさせるものがありグッとくるものがありました。
楽曲も全体的にテンポが速く盛り上がるものが多く、沖縄の海で浮かれている様子がしっかりと反映されていて素晴らしいです。
ここまでが開始5分くらいの展開で、もうこの時点で劇場版(通称えいがさき)が観たかったものをちゃんと観せてくれる映画なのだと思わせてくれて非常にわくわくしていたことを覚えています。
近江彼方のわがまま(かなしずについて)
話は進んでそれぞれがライブ配信する場所を探してペアを組んで沖縄を移動するようになります。
彼方としずくはあの有名な美ら海水族館に行くのですが、そこで彼方が今の心境をしずくに語り始めます。家では妹の遥ちゃんや母親とゆっくり話をできる時間も増えて充実していること、色々なことをやりたいと願う彼方のわがままが叶い始めているということです。
近江彼方のわがままというと、虹ヶ咲を知った当初はゆっくりと眠りたいことだと思っていましたが、そうではありませんでした。
スクールアイドルと家事の両立、妹の遥ちゃんと仕事で家を空けることが多い母親、そして特待生であるために遅くまで勉強をしている、アニメ版ではアルバイトもしていました。そんな多忙な彼方が、スクールアイドルを他のやらなくてはいけないことを差し置いてまでやっているわがままだと思っていました。
そんな彼方のわがままですが、劇場版では彼方の世界はどんどん変わっているんだと言っており、環境の良い変化が伺えます。水族館内でのジンベイザメの水槽をバックに両手を広げて始めたライブは、幻想的な雰囲気を身に纏っていて彼方にぴったりな衣装でとてもよかったです。
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そしてもう一つ、気になっていたことがありました。それは事前PVにも映っていた近江彼方と桜坂しずくについてです。
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自分はかなしずのオタクなので、このシーンには目を疑っていたのですが、まあ事前の告知PVに一瞬映っているだけでそんなに一緒にいることはないんだろうなぁと思っていました。
・美ら海水族館に二人で一緒に行って心境をしずくに語る彼方
・しずくに膝枕されて頭を撫でてもらっている彼方
・ベッドの上でしずくにマッサージしてもらっている彼方
・ベッドで並んで頭を寄せながら、ライバルと戦うことが寂しいと言うしずくの頭を撫でてあげる彼方
・今日は全力でわがままを聞いてあげる日だからと沖縄料理をしずくにあーんしてもらっている彼方
なんですか、これ????????????
パッと思い浮かべただけでも上記のような行動を取っていました。かなしずオタクの走馬灯?
特にホテルでの彼方としずくの会話が印象に残っており、自分の弱さを周りに見られるのが苦手だったしずくが彼方にスクールアイドルグランプリで順位を競って戦うことへの寂しさを露呈し、それに対して彼方が頭を撫でて他のみんなも同じように思っているはずだよと伝えるシーンは本当に素晴らしいものでした。
あとホテルのお風呂で室内越しから映された彼方がまじでめっちゃ可愛かったです。エマの牛柄のパジャマも良すぎね。
エマ・ヴェルデの繋がり
今回の劇場版 完結編 第1章においてMVPが誰だったかと聞かれると自分は間違いなくエマ・ヴェルデだと思います。
癒し系キャラのイメージがあるエマですが、今作では劇場版オリジナルキャラの赤嶺天に寄り添ってあげたり、母親とのすれ違いで部屋から出ていこうとするランジュの腕を掴んで一緒に泊まってあげようとしていました。
赤嶺天は沖縄出身のスクールアイドルであり、三線(さんしん)という沖縄の伝統楽器を弾く高校1年生です。同様にオリジナルキャラである石嶺小糸と過去にユニットを組んでおり、天が三線を、小糸がボーカルを担当していました。
出会ってまだ1日の関係なのに、天にそっと寄り添って解散した理由を聞いたりと、気にかけている様子でしたが、これは天が過去にユニットを解散した子であることが関わっていると推測しています。
これは今作のランジュやアニメ2期でのランジュについても同じものだと考えており、エマは人と人との繋がりが失われることを気にかけていると思います。
それはかつてエマ自身が虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会を解散した経験があるからだと思っています。今作の劇場版では本編が始まる前にこれまでのアニメのダイジェストが流れており、内容を少し忘れている人にも一定の配慮されています。
そこにはかつてスクールアイドル同好会が解散したシーンも映し出されていました。アニメでは1期の1話~3話の内容ですが、せつ菜とかすみの対立によって一時は解散をよぎなくされています。
自身が一度、人との縁を切ることになる経験をしていることが、エマにとっての優先することに繋がっているのだと思っています。
これはエマのソロ曲である『哀温ノ詩』のエピソードにも繋がっていると考えられます。
エマがスクールアイドルに憧れたのは、日本のとあるアイドルをネットで見たことがきっかけであり、その人物が後輩に残した歌が『哀温ノ詩』です。今は亡きスクスタの絆ストーリーの話になりますが、この歌を受け継いでいたとある写真館の娘がエマと出会い、哀温ノ詩を歌っていることを知ります。しかし、その子は写真館を引き継ぐためスクールアイドルを引退することを既に決めており、この曲はエマに託されることになります。
このことからも、エマは人と人との縁や繋がりを強く意識しており、今作の赤嶺天やランジュに寄り添って事情を聴いてあげる優しい子なのです。
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そんなエマですが、一時的に天とユニットを組んでライブ配信に挑んでいます。三線と合わさった沖縄風の衣装と楽曲は、日本の伝統を受け継いだエマにとても似合っていて本当によいものでした。歌詞にも沖縄の方言が入っていてめちゃくちゃ好きです。
暗躍する中須かすみ
今作のMVPはエマであると書きましたが、かすみも同様に八面六臂の活躍をしています。
順位を競い合うスクールアイドルグランプリは負けず嫌いなかすみにとって絶対に勝ちたいイベントです。他のアイドルがライブ配信をしている中で、かすみは色々な場所でフォトスポットの紹介をしたり、自撮りをしていました。先に自分の知名度を上げておいてからライブ配信をすることでランキングの順位を上げることを意識していましたが、この辺もかすみらしさが存分に出ていてとてもよかったです。
言葉の足りないランジュの母親と、思い込みが激しくて早とちりしがちなランジュの親子を繋ぎ止めたのもかすみであり、物語のラストに出てくるライブ会場の設営にもスタッフのような役割で関わっています。
今作のメイン登場キャラの中では唯一最後までライブをしていないキャラであり、今後のソロライブが非常に気になります。真打は遅れてやってくるとは言いますが、かすみんはどうなるのか楽しみです。
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鐘嵐珠(ショウ・ランジュ)と上原歩夢の関係
スクールアイドルグランプリが順位を競い合う個人戦であることが判明した際に、ランジュは歩夢に対して対抗意識を燃やしていました。
歩夢! 負けないわよ!
ランジュはスクールアイドル同好会のメンバー全員に対してこのセリフを言っていたのではなく、これは歩夢だけに向けられた言葉でした。
歩夢は競い合うことをあまり好んでおらず、スクールアイドルグランプリに出るのも色んな人に自分も知ってもらえたらいいなぁと思っていたからです。そんな歩夢に対してランジュが持ち掛けた言葉は歩夢にとってどのような意味なのか、作中でも歩夢はずっと悩んでいましたが、物語終盤でのその答えがとても印象的でよかったです。
ランジュは海を越えてスクールアイドルになろうとしたけれど、歩夢は海を越えてスクールアイドルを広げようとしていたから
歩夢はロンドンに留学してスクールアイドルの和を広げようとしていた経験があり、ランジュが歩夢を尊敬している理由がここで明かされます。
そして、新しく設営されたライブシーンではランジュの華やかなソロライブが流れた後に続いて歩夢のソロライブが流れ始めます。
これはランジュに対する歩夢のアンサーであり、お互いがお互いを意識して高め合うスクールアイドルグランプリにおいて最も好ましい展開だと思います。『仲間でライバル、ライバルで仲間』が虹ヶ咲のキャッチコピーでもありますが、まさにそれを表現したのがこの2人のライブパフォーマンスだったのではないでしょうか。
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今作、自分の中で一番好感度が上がったキャラは間違いなくランジュだと思います。ランジュの曲で泣くことになるとは思わなかったからね……。
余談ですが、入場特典はランジュのミニ色紙が入ってました。嬉しいね。
まとめ
映画『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章』は本当に素晴らしい作品でした。
ちなみに今作はビジュアルディレクターがアニメ版とは変わっており、事前告知のキービジュアル等では作画の雰囲気が少し気になってはいました。それでも、動いている映像はとても可愛いものでまあ心配する必要はないだろうと思っていましたが、そんなことは全くの杞憂であり、虹ヶ咲が積み重ねてきた先にある劇場版にふさわしい最高の映画でした。
第2章は今回メインで登場していなかったキャラがピックアップされるようで、どのような舞台になるのか非常に楽しみです。
今回は上映後の舞台挨拶上映ライブビューイング付きで観賞したのですが、上映後に出演されている声優さんたちの感想や推しポイントを聞くことができてとてもよかったです。自分は映画の舞台挨拶に行くことが多いのですが、本来の映画料金に+500円くらいするだけで演者や監督の話を聞けるのは非常に有意義だと思っているので、興味がある方は一度好きな作品の舞台挨拶に行ってみてもらえると嬉しいです。
今作は4DXにも対応しているとのことで、舞台挨拶でもおすすめポイントに挙げられていました。ライブシーンだけでなく、しずくが彼方にマッサージしているシーンでも何かがあると言われていました。
さすがに気になりすぎるので近いうちに友達を誘って4DX版も観に行こうと思います。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。次は完結編 第2章でお会いしましょう。