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高草木こぶ先生「あてうま白書」に関する考察

高草木こぶ先生Xアカウントより(https://x.com/kobujime_55/status/1831947473356779739)

夏競馬も終わりを迎え、いざ秋競馬!と競馬界隈が改めて熱気が帯び始めた9月初頭に颯爽と現れた漫画作品がありました。その名も「あてうま白書」。

競走馬の引退後の余生にスポットライトが当てられたこの作品は、競馬ファンの間で瞬く間に話題となり、日頃からレースに血を滾らせつつ、競馬ファンとして競走馬の引退後にも興味を持っていた私にとって非常に魅力的な作品に映りました。実際に読んでみると、コメディ要素とロマン要素が絶妙なバランスで織り込まれており、緻密な種牡馬(競走馬)描写に支えられたリアリティある物語は痛快な読後感をもたらし、私の考察欲求に火を点けたのでした。

~以下ネタバレ注意!~










イスカンダル系馬名の由来

イスカンダル
かの有名なマケドニアの英雄アレキサンダー大王から。ちなみにイスカンダルという名はギリシャ名のアレクサンドロスのアラビア語名。かつてはFate Zeroのライダーでも有名に。異名も魔王というあたり。

パルメニオン(イスカンダルの兄)
アレキサンダー大王の重臣・パルメニオンから。

ペラ(イスカンダル、パルメニオンの母)
マケドニア王国の首都だった都市ペラから。


アカギファルコの馬名の由来

物語の主人公である「あてうま」ことアカギファルコ。彼の競走成績でハイライトとなるのがパルメニオンを破ったG2レースでしょう。なお現実世界の史実ではアレキサンダー大王の重臣パルメニオンが討たれた場所はメディア、すなわちアケメネス朝ペルシアの一地方。アレキサンダー大王を語る上で欠かせないアケメネス朝ですが、その国旗を見てみると……

アケメネス朝国旗
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B1%E3%83%A1%E3%83%8D%E3%82%B9%E6%9C%9D)


アカギファルコが勝ったレースは?

作中で主人公アカギファルコはG1勝利には手が届きませんでしたが、もう一人の主人公となるイスカンダルの兄・パルメニオンを破りG2レースを勝利した様子が描写されます。
ここではG1・6勝クラスの名馬であるパルメニオンが出走し、かつ圧倒的1番人気になるG2レースを考えてみたいと思います。

初めにイスカンダルが無敗の三冠馬であることが強調され、パルメニオン自身はG1・6勝と表現されていることから無敗三冠は達成できずともクラシックを1つないしは2つ取って古馬相手にも競り勝ったゴールドシップのような戦績だったのだと推測されます。ここでアカギファルコがパルメニオンに勝利するシーンに目を向けると右回りの競馬場かつスタンドとゴール板が描かれており、スタンドの形状とゴール板に馬のロゴが象られていることから開催は中山競馬場で間違いありません。

該当レースがクラシック前哨戦だった場合、皐月賞かダービー、もしくはそのいずれも勝った上で出走した、菊花賞の前哨戦であるセントライト記念だったのではないでしょうか。

あるいは古馬戦での敗戦とするならば、日経賞、AJCC、中山記念あたりが候補になります。なおステイヤーズSはG1・6勝クラスの名馬が有馬記念の前哨戦で使ってくる蓋然性は低いのではないかなと思いますので、恐らく休み明けの始動戦で敗れた、と見るのが自然でしょうか。

個人的レース予想
◎日経賞
〇AJCC
▲中山記念
☆セントライト記念


アカギファルコのゴールシーン①
アカギファルコのゴールシーン②
中山競馬場スタンド
中山競馬場ゴール板


アカギファルコの脚質は?

実力で劣る穴馬が圧倒的人気馬にジャイアントキリングを果たすには、逃げか追込がセオリーでしょう。中山競馬場の特徴を考慮すると恐らくはアイアンバローズのような逃げ切りかゴールドシップのように最後方から向正面で捲り、4角では先団に取り付くような豪快な競馬だったのでしょう。後者はかなりの実力馬でないと厳しい印象なので、やはり逃げ切りと考えるのが自然かなと思います。内ラチ沿いにいるパルメニオンは1枠1番を引いたか岩田康誠騎手が乗ってたんじゃない?(適当)


おわりに

劇的な競走生活を終え、次世代に血統の妙と浪漫を託す種牡馬生活は、競馬ファンとっては好奇心をくすぐられるものですが、中々その詳細を目にする機会が少ないシーンです。

そんな、ある意味でニッチな物語を取り上げ、ファンの目を楽しませてくれる「あてうま白書」。競馬界隈の皆さんには是非ご一読をお勧めしたい作品です!(次回作も期待しています!)

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