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2/4 焼きポトフと文学の香りの香水

月初なので宅配スーパーで食料品を大量注文した。ちまちま買うのも、スーパーに行くためだけに寒い中外に出るのも嫌なので、大体まとめて2500ルーブル分くらいの食料品を月に2回くらい宅配で注文して、あとはちまちま買い足す、というやり方が習慣になっている。
というわけで今日は冷蔵庫が満杯。野菜を色々買ったので美味しく食べるためにポトフを作った。具材を入れる前に一度焼き目をつけてから煮込む「焼きポトフ」なるものがあるらしいということでやってみた。

レシピはこれを参考にした。具材は適当に足したり引いたりした。

とっても優しい味のポトフになった。動画の通り野菜の端材で出汁を取った。野菜とベーコンのうまみだけで勝負、コンソメは使わずに塩と香り付けのローリエだけだというのに、とても美味しいスープになった。普段の料理だと時短とか面倒とかで、大体コンソメやら顆粒だしを使ってしまうのだけど、こうしてたまにそういう調味料を使わずに料理をしてみると、野菜やお肉のポテンシャルに驚かされる。とはいえ毎日これは無理だけど。

たまに作る煮込み料理が好きだ。「極力シンプルに、無駄なものは入れずにゆっくりコトコトと煮込む」と言うと、とても丁寧な暮らしをしているように思えるが、実際は「じっくりコトコト」の時間は放置しておくだけなので、作業内容だけ見ると意外とズボラ料理だったりする。ズボラに丁寧な暮らし感を演出できるし、頑張ったのは食材たちとコンロなのに謎の達成感が得られて自己肯定感が上がる。

ロシアのにんじんは香りが強いのでわたしは好きだが多くの人は嫌いだと思う。

一週間のうち唯一なんの予定もないのが土曜日、せっかくの休みなので外に出ようと思い外出。結構雪が降っていて寒かった。

目的地は国立20世紀文学博物館(直訳するとこんな感じ)。作家のミハイル・ゾーシチェンコが住んでいたアパートらしく、展示内容は9割方ゾーシチェンコに関係のあるものだった。
前から気になってはいたものの、中々機会に恵まれずにいたのだが、とある気になるイベントがあったので重い腰を上げて訪れてみるに至った。

お目当てのイベントは «читаем носом(鼻で読みましょう)»というもの。20世紀ロシアの文学作品をイメージして調合された香水を試しながら、その作品や作家についてのレクチャーを聞く、といった具合だ。

軽い気持ちで参加したのだが、想像の10倍くらい面白かったし、勉強になった。香水というよりはレクチャーの方がメインで、香水はあくまで作品について話すまでのきっかけといった感じだった。紹介された香水は非売品で、香水としてウケのいい香りというよりはむしろ、作品のイメージに徹底的に忠実に作られていたように感じる。そのおかげでブロークの『12』はスピリッツとガス灯と薬草の香り、あとはカヴェーリンの『2人の船長(два капитана)』はめちゃくちゃ煙の香りだった。あまり人の肌につけることは考えられていないようだったが、それはそれでとても面白かった。

レクチャーの中で、イリフ・ペトロフとゾーシチェンコの文体が似通っているという話になり、2人の引用を渡されて、どちらがゾーシチェンコでどちらがペトロフかというクイズが出された。そりゃあわたしはもちろん わかりませんよ。外国人だから。どちらも原文なんて見たことない。
周りのロシア人たちは結構正解していたのだけど、正直私は漱石と芥川の引用を同じように見せられたところで、正解できるだろうか?ゾーシチェンコとドストエフスキーでもきっとわからないと思った。

一番いい香りだったのはアレクセイ・トルストイ。売ってくれないかな?同博物館ではゾーシチェンコの作品ごとの香りは販売中とのこと。

これから昨日開けたワインの残りを飲みながらバラバーノフを見ます。おやすみなさい。

このデザインめちゃくちゃ気に入った

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