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日記・ポリフォニー・門:ジッド『狭き門』からモノローグ・オペラ「新しい時代」へ(16)

いわゆる「語りの現在」をどう訳すか?例えばIにおけるリュシル・ビュコランの不義の現場に遭遇する部分。

Vous/Tuの使い分け。決定的なのは、VII.のアリサとジェロームの会話の中で、ジェロームによって為されるそれだろう。 Hélas ! je ne l’invente pas. Elle était mon amie. Je la rappelle. Alissa ! Alissa ! vous étiez celle que j’aimais. Qu’avez-vous fait de vous ? Que vous êtes-vous fait devenir ? アリサに対してTuを使っているジェロームがVousで呼びかける相手は、 「かつてのアリサ」に対してである。否定しながらも、ジェロームは会話の相手のアリサと、かつてのアリサを区別してしまっているし、 それを認めてしまっている。(だが、注意すべきは、だからといってアリサはここで、変わってしまったありのままの自分を愛さないことについてジェロームを責めているのではない。ここの場面では、アリサの言葉は、それを意に反したものであるということを考慮したとしても、まさにそうした行動を選択することにおいて、既に相転移の向こう側に居る自分の正確な記述になっている。 若林をはじめとする評者のように、ここでジェロームが「男性的な行動」を起こしたとして、アリサが再びこちら側に戻ってくる だろうか?否、それは最早ないだろう。百歩譲っても、これまたアリサの言う通り、ページは既にめくってしまった後であり、 最早手遅れなのだ。)

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