改築前の「目黒雅叙園」を扱った書籍2冊
訪れる善男善女の足元をさらう 30年代の衒奇性(マニエリスム)
目黒の山に現存した一大奇観の竜宮御殿
改築前の「目黒雅叙園」を扱った 書籍2冊です。
「SUPER ART GOCOO」(1981年1月号)は
西武系のパルコ出版が出していた美術系雑誌。
親に連れられて戦時中からここを訪れていた粟津潔(デザイナー)の
思い出話なども絡めて、非常に読み応えがあります。
もう一冊は、目黒雅叙園の公式写真集(1990年)
110ページ全カラー写真のしっかりとした造本です。
雅叙園の部屋、 そして建物自体を形作り彩っている 明らかに過剰な
そして時に毒々しくさえある、 限りない美術工芸の数々。
それに関わった美術家の一覧や 部屋名入りの全体の見取り図もあり、
資料価値としては一級なのですが、
全体として影を作らない撮影なので、
その分、雅叙園のもつ怪しい おどろおどろした部分は見られません。
いずれにせよ、 たまに取り出して 時を忘れて見入る。
そんな時間が持てる2冊なのでは ないかと思います。