薬剤経済学についての自分的まとめ
まとめる目的
ややこしかったけどこれから注目される(されつつある?)分野だと思われたので自分なりにまとめたかったから。
概要
アウトカム(治療効果*)と費用を同時に比較することを医療技術評価 (Health Technology Assessment)という。医療技術の『価値』を評価する。目的は、医療を効率的に分配し、最低限の出資で健康を最大限にすること。海外では診療ガイドラインの策定や医薬品の価格設定に用いられている。日本では 2012年5月に 費用対効果評価専門委員会が設置され、2019年度から本格的に導入されている(らしい)。医療費削減につながるかもしれない取り組みの一つ。
*アウトカム…死亡率や血圧の変化、延命などの医学的な効果(臨床的アウトカム)、QOL(☆),満足度など(人的アウトカム)、入院費など(経済的アウトカム)がある。
☆QOL(Quality Of Life)生活の質と訳される。これに時間尺度をかけ合わせたものは QALY(Quality Adjusted Life Year)とよばれる。薬剤を使ってもあまり動けず気分が沈みがちなときはQOLが低くなる。(今は適当にQOL=0.5とする)これが10年続くとしたらQALYは0.5×10で5。薬剤を使って10年元気だった(QOL=1とする)とQALYは1×10で10。そんな感じ。ただ生きているだけでなく、健康寿命に配慮した指標である。
これができればなんとなくわかる基本の考え方(1)
経済的に制限がある中で、何をするか考えるとき、効果を分母にとって効果一単位当たり費用はどれくらいかかるのか?((平均)費用対効果比)で比較するとわかりやすい。例えば既存薬と、新薬剤のAを比較するとき。
①治療効果を数字にする(生存年が5年延びるとか)
②費用を考える(①を達成するのにこの薬は200万円かかるとか)
③ ①/② を計算する(費用を効果で割る)
応用するとこんなのもわかる基本の考え方(2)
今ある薬剤と薬剤Aの比較はわかったけれど 新薬剤Aと新薬剤Bがあってどちらを採用しようか迷っているとき。既存薬と比べてどちらが優れているか比較したいときは(1)を少し応用した増分費用対効果比(ICER)をつかう。
①薬剤Aの治療効果と既存の治療効果の差をとる(Bも既存薬と)
②薬剤Aの費用と既存の費用の差をとる(〃)
③ ①/②を計算する …Aの分とBの分が出てくる。これを比較する。
費用効果分析は効果にどの指標を使うかで名前が変わる!!
費用と効果を分析する手法は上記のほかにも細かく分けられていて しかもややこしい名前がついている…。
費用効果分析:QALY以外の医学的な指標を使う
費用効用分析:QALYを指標としたもの。『よう、QALY!!』で。
費用最小分析:効果は等しいと考えて、費用を比較する。
費用便益分析:効果全てをお金にして考える。
(参考:薬剤師国家試験 第100回 問323、第103回 問148など)
自分がじぶんであれますように。そんな世界がひろがるように。見てくれてありがとう。