バーチャルにも「ストリート」はある。VRパフォーマーという「道」のミライ
皆さんはストリートパフォーマンスを見たことはありますでしょうか?東京であれば井の頭公園や柏駅、墨田区錦糸町などが盛んと聞きます。海外などではかなり大規模なストリートパフォーマンスを見る機会などもあるのではないでしょうか。
「不可能」といわれた3Dにおけるライブパフォーマンス
VRの世界では基本的に自分の体、歩き回る世界はすべて「3Dモデル」と言われるものになりますが、ここでそもそも「3Dモデルはライブパフォーマンスに向かない」という弱点があるのです。
思い返してみると「バイオハザード」や「デビルメイクライ」などなど3Dモデルが動くゲームが「リアルタイムで動く」ということは当たり前に不可能であり、3Dモデルをリアルタイムに動かすには、アニメーションの編集なしで動かすアクターが必要になります。
機材も多数必要であり、それに耐えうるための3Dモデルなどは制作されることが稀です。本当に「億」の金額では済まないような大きな事業として、3Dライブパフォーマンスが行われることがある、という感じでした。
しかし、VR世界では「リアルタイム」が基本、だからこそそれに応じたモデルが制作され、日々進化していっています。
もう「3Dにおけるライブパフォーマンスは不可能ではない」のです。
現在、VRに「ストリート」はあるか?-空間が無限だからこそ独特な「道」という発展を遂げているVR空間-
ストリートパフォーマンスに話を戻すと「人通りの多い道でパフォーマンスを行う」というのが鉄則、邪魔にならず、警察や自治体の許可を得て、行うために「ストリート」の中でも「行っていい場所」があります。
しかし、現実世界と仮想世界では「ストリート」の概念が大きく違います。
そもそも「移動するための道」というのであれば、基本的に世界を移動する際は「ローディング」になり、物理的な移動が存在しないのです。
しかし、バーチャルにはバーチャルならではの「ストリート」が存在します。バーチャルマーケットの「エリアからエリアの間にあるストリート」などがまさにそうで、場合によっては「集会場」の一角など、雑談を楽しむ場所の一定エリアがパフォーマンス可能になっていたりもするのです。
VRChatでは「一つのインスタンスに入れる上限人数がある」など、ならではの問題点を解決するために試行錯誤を繰り返しています。
(下記参考画像ではQuestユーザー向けに、ログインできる人数上限を30名少々のワールドをお借りしてパフォーマンスを行っています。)
実際にどんなパフォーマンスを行っているのか?トップパフォーマー二人が「30分」ほどの準備時間で制作する「パフォーマンスムービー」
最初は踊るだけのパフォーマンスであったが、最近では「一瞬での着替え」「パーティクルポイ」「剣舞」「大きな扇子を使った舞」など、VRならではの技術を使ったパフォーマンスを行っている。この記事に掲載するため、30分という時間制限を設けてyoikamiとtarakoの2名でパフォーマンスムービーを撮影してきた。
これは「二人共ドローンカメラを操作しながら(右手コントローラ)扇子や、アバターのON/OFFをメニューで操作する(左手コントローラ)」という、一種の見えないパフォーマンスでもある、しかしこれの良い点として「VRを被ること無く、動画という媒体を使って迫力のあるものが見れる」という点でもある。
どのように操作しているのかは以下の動画で、リングメニューというメニューを出して、左右のコントローラにあるジョイステック+トリガーでトグルの切り替えを行っている。これが、また、とても難しい…。踊りながら音に合わせて衣装を変え、小物を出し、アバターを出したり消したりして、ドローンの操作も手動で行うというと多少はわかりやすいだろうか。
一気に「VRパフォーマー」が増えた2020年、パフォーマーチームMSSやyoikamiの存在
筆者yoikamiは2017年にVRというものに触れ、今までずっとVRにほぼ毎日接続して活動をさせていただいておりますが、VRパフォーマーというように活動を始めたのは2019年からになります。publicのインスタンスや、パーチャルマーケットなどの大型イベントなどで行わせていただいておりました。しかし2020年、Questの普及と同時に「日本コミュニティ」という界隈へ進出させていただいた際(それまでは英語圏、韓国圏などで活動しておりました)ストリートパフォーマンスといえば、という意気込みで「オーディエンスを誘って、参加型のパフォーマンスなどを行う」という内容にさせていただきました。VRパフォーマーチーム「MusaSilentSpeakers」を設立し、VRパフォーマーという存在が少しずつ増え、2020年にはショーケースなどが開催できるほどの人口に。今では本当に数多くの「VRパフォーマー」様がいらっしゃいます。
ライブパフォーマンスではないかもしれませんが、SXSWではかの「ノートルダム大聖堂」で「ジャン・ミッシェル・ジャールさん」のDJをド派手なパーティクルと共にみることもできました、これもある意味では「VRにおけるパフォーマンスの一例」であると思われます。
「商業」に発展する「VRパフォーマンス」という文化
VRパフォーマンスはもちろん人に見てもらうことになります、つまりは「宣伝効果」が高いということで…テレビの番組にCMがあり、スポーツでは広告があり…と同じように、筆者よいかみは「アバターの宣伝」という広報をVRパフォーマンスに組み入れることから始めました、試着用のアバターで踊ってパフォーマンスをしたら、そのアバターはオーディエンスの皆さんもクローンできるので「参加型、体験型のパフォーマンス」でもあるわけです。
今ではそれらを活用して、お仕事を完全にVRのみで尽力させていただいております。
ゲームクリエイターという仕事が生まれ、ゲーマーという仕事が生まれ、ゲームの中で稼ぐパフォーマーという仕事が生まれる。
ゲームが生まれた当初、ゲームを作ることだけで仕事にする、ということが「夢物語」であったように、ゲーマーという仕事が夢物語であったように、3Dライブパフォーマンスが行えるこの時代、進化に進化を遂げていけば「ゲームの中(3DCGの中)でパフォーマンスをすることが仕事になるのもそう遠くはないのではないでしょうか。国や言語を跨いで活動でき、自由に表現ができる「仮想現実」という場所での「ストリート」がこれからどう進化していくか、夢想しはじめるとキリがないほどミライがある気がします。これからのXRの「道」を歩み続ける表現者として、この先には一体なにがあるのか、標識一つない、時には障害物だらけで、時には崖や絶壁があるものの、歩くのが楽しくて楽しくてしょうがない上に、足を止めて周りを見るのもよし、友と共に走ってみても良い「ストリート」を。「XR」を楽しみ続けよう、と思う。
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