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社長へ向かう矢印もある!?

会社の成長の原動力となる「成長ドライバ」間の影響の伝播について、お話を続けます。

有効な経営のモデルとは、各々の成長ドライバのレベルが高いだけではなく、成長ドライバ間で整合性を保ちながら相互に刺激し合い、互いに高め合うことによって上昇スパイラルを描いていくというものです。

会社におけるどんな経営課題も、それが単独の成長ドライバだけの問題であるということはまずありません。

人事評価の仕組みをどうする・・・と言っても、それは会社が手がける事業や、扱う商品・サービスなどと切り離して考えることはできません。「システム化・型決め」というドライバ内でも、組織・運営体制を含めたビジネスを動かす仕組みなどと関係なく構築することはできません。

会社内のありとあらゆることは相互に関連し、影響を及ぼし合うのです。そして、それが会社の経営を難しくしている大きな要因であると言えます。

伊那食品工業の塚越寛会長(当時)が、ある講演会でこう述べておられました。

「会社経営とは、遠きをはかり、会社でのありとあらゆることに目配り、気配りをして、適時に、的確な手を打っていくということです」

会社内のありとあらゆることに常に目配り、気配りをするなど、普通の能力の人が普通にできることではありません。

だから、多くの経営者が悩み、打ち手に迷うことになるのです。

そこで、フレームワークが有用なものとなります。

「ありとあらゆること」を1枚の絵に描くことができれば、思考を整理することができます。複数の複雑に絡み合っているように思える事象も、フレームワーク図に落とし込んでいくうちにそのポイントが浮き彫りになってきます。

良い会社、先進的な取り組みをしている会社、さまざまな面で成果を上げている会社を見学に行く、ベンチマーキングするといった場合も、その会社の特徴的な取り組みを表面的に見ただけでは、自社に持ち帰っても実践に役立てることはまず不可能です(そうした思いを持った方も多いのではないでしょうか?)。フレームワークを持って観察し、極力再現性のあるモデルとして理解していくことが有効です。

そして、このフレームワークに基づき、会社経営の全体を司るのが社長です。社長の大きな役割ですね。これが「会社は社長の器以上には大きくならない」と言われる所以です。

これが基本です。

その基本を押さえた上で、組織の発展形態に想像を巡らせてみましょう。

「逆の矢印」があるとしたらどうでしょうか、ということです。最上部に掲げられているメインドライバ「社長」からは下向きの矢印しか描かれていません。それが、下から上へ、「社長」に向かう矢印が機能したとしたら、どうでしょうか?

実は、私がとても尊敬している四国のある良い会社の社長さんとフレームワークについて会話している際に、その社長さんから「下から上への矢印もあるよ」と指摘されたことがあるのです。

その会社は、他に表現のしようがないくらい、ほんとうにいい会社で、社員の皆さんがイキイキと活躍されていて、「成長ドライバ理論」そのままの姿を体現しているような会社さんです。

社員の皆さんが仕事を通じて学び、成長し、人間力を高める。そして、そのことがビジネスモデルやそれを動かす仕組みを進化・発展させ、より大きなことにチャレンジできるような会社になる。あるいは、より社会への貢献性の高い事業へと深化していくことができる。

社長の手を離れて、組織がどんどん自律的に成長、進化・発展していくというイメージですね。

それに応じて、社長も、社員の皆さんを中心とする組織の成長、進化・発展する様子を見て、さまざまな気づきを得て、学び、自らのさらなる成長への意欲というものが沸き起こってくる。

・・・そんな会社を作ることができたら、経営者としての人生も豊かなものとなり、素晴らしいことですね。

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