全社員アンケートの意義
70の設問から構成される「会社の健康診断」のアンケート。原則として全社員に回答していただくものとなります。幹部だけ、本部のメンバーだけ、というように回答者を限定するのではなく、会社の事業、業務に携わっている全てのメンバーに回答をお願いすることによって、自社の実態をそのまま的確に把握することができます。もちろん、「週に1日だけ出社して事務作業を手伝う」というような方は、会社全体のことを問われても回答のしようがないかもしれません。フルタイムで勤務される正社員の週当たり(または月当たり)所定労働時間の4分の3以上勤務されている方までを対象とされるとよいでしょう。
「会社の健康診断」は成長ドライバ理論のフレームワークに基づき、「社長」「経営理念・ビジョン」「ビジネスモデル」「システム化・型決め」「行動環境」(さらに、「ストレッチ」「サポート」「自律」「規律」「信頼」)の成長ドライバ、さらには「企業環境分析」「成果分析」「成果」を含め、企業経営全体を統合的に診断するものですから、例えば工場の製造ライン業務に従事されている方に回答を求めるのは相応しくないのではという指摘をされる方もおられます。
全社員アンケートを実施して、アンケート結果を見たり、診断システムに回答した感想を数名の方にヒアリングしていただければすぐにお分かりいただけると思いますが、そうした現場の特定の業務に従事されている社員さんも実は会社のことを良く見ている、気にしている方が多いというのがこれまでの企業調査の経験から分かっています。
「ビジネスモデル」とか「マーケティング」などといった用語に触れる機会はほとんどないと思われますが、それでもその人なりに考え、感じたことを回答します。
「会社は経営陣が動かしているもの」「経営や事業運営のことは本部で考えればよいもの」という考えでは、良い会社をつくることはできないでしょう。
むしろ、「会社の健康診断」を定期的に実施し、診断結果を全社員にフィードバックし、アンケート結果に基づく対話や情報発信を行い、これを継続することによって、会社の中で良い会社づくりを進めていくための共通言語が形成されていくことでしょう。
最初はアンケートで問われている項目を「難しい」と感じることがあるかもしれません。でも、診断結果をきちんと社員にフィードバックし、何のための診断なのか、なぜ全社員にアンケート回答の協力をお願いしているのか、何のために良い会社づくりをするのか・・・といったことをしっかり話していくことで、最初は「難しい」と感じていたことも経営や良い会社づくりの指針として会社に根付いていくでしょう。