会社は、収集・分析した情報を、会議等を通じて全社的に共有し、意思決定に役立てている
自社の経営や事業に直接、間接に影響を及ぼすさまざまな情報を集めることができても、集めることが目的となってしまっていては、情報は生かされません。
社内の業務データを単に「データ」としてとどめておくのではなく、顧客の動向やニーズの変化を示唆する「情報」といえるレベルにまで分析したとしても、それらを会社のさまざまな意思決定に役立てることができなければ、分析する意味がありません。
情報を集める、データを分析するという作業は相応の労力がかかることであり、それ自体、「やり遂げた」という感覚をもつ対象となってしまいがちです。
会社の中長期経営計画のみならず日常的なさまざまな意思決定において、こうした社内外の情報を活用しきれているかどうかが、企業の足腰の強さを決定づける一つの大きな要素となります。
ここで重要なことは、情報の解釈を狭義に決めつけてしまわないということです。
企業環境が変化するということは、それまでの常識が常識でなくなるということです。情報の解釈をそれまでの常識に基づき固定化させてしまうことによって、情報を活用するどころか、その裏で進行しつつある変化から目を背けさせてしまうということすら起きてしまうということに留意する必要があるでしょう。
また、予算実績比較や、業績諸指標の年次推移、月次推移分析など、しっかりとしたフォーマットを準備し、とても充実した会議資料をビシッとそろえている会社でも、そのフォーマット自体が「景色」化してしまい、惰性で比率分析や増減分析のコメントを記述して終わってしまっているというケースは決して珍しいものではないようです。
要は、情報の生きた使い方ができているかどうかということなのですが、これには訓練を要します。
いきなり、情報の処理能力を大幅に超えた情報を持とうとしないこと。
「収集し、分析し、意思決定に役立てる」。この3ステップをスムーズに回すことができているという状態をキープしながら、徐々に情報の範囲、量、質を高めていくことが望まれます。