「良い会社」=社員を大切にし、社員と会社がともに成長する会社
近年、社員に過重労働を強いたり日常的なハラスメント行為で社員を苦しめる「ブラック企業」の問題が世の中を騒がせていますが、その反面、「良い会社」とか「いい会社」というフレーズもよく耳にするようになり、こうした会社への注目が高まっていることを実感しています。
では、「良い会社」とはどんな会社なのでしょうか。
人によってさまざまな捉え方、いろいろな考え方があるかと思いますが、私たちは「良い会社」とは、「社員を大切にし、社員と会社がともに成長する会社」というように考えています。
「社員を大切にする」と言っても、社員を甘やかせるという意味ではありません。また、待遇や福利厚生が充実していることなどを意味しているものでもありません。社員がやりがい、働きがい、生きがいを感じ、上司や仲間とともに過ごす環境の中で仕事を通じて成長していくことができる。そんな会社、組織風土を意味しています。
そして、会社の成長というのも、単に売上や社員数などの規模を大きくして、増収・増益を重ねるということではなく、「質の成長」という面を重視しています。人の成長と同じことで、お客さまに対するサービスが良くなり、社会からの信頼が高まる、社員の満足度も高まる、安心して仕事ができるようになる。そんな状態になっていくということを「質的な成長」と言っています。
これらを総合して、「良い会社」を「社員を大切にし、社員と会社がともに成長する会社」と定義しているのです。
「人を大切にする経営」と言いますと、情緒論的に捉えられてしまうことが少なくありません。とても感動的な、思わず涙をこぼしてしまうというようなお話をたくさん耳にするわけです。もちろん、そういった感動ストーリーは人の心を深く揺さぶり、会社が良い方向へ向かっていく大きなきっかけにもなる素晴らしいことだと思います。
但し、社員を「表面的に」大切にするだけでは、決して良い会社は作れないのではないでしょうか。つまり、会社経営、事業運営、組織運営のベースとして、経営の基本的なメカニズムがうまく回っているということが大前提で、それに加えて社員を大切にする。そうすることによって、経営のメカニズムがよりよく回って、ビジネスモデルや会社のさまざまな仕組みの進化、お客さま満足度の向上、ひいては財務的な成果に結びついていくものだと考えています。
社員を大切にすること。
その前提として、経営の基本メカニズムがきちっと確立・機能していること。
この2つがそろうことで、「良い会社」へと成長していくことができるのでしょう。