「良い会社づくり」に向けて、いかに社長のマインドセットを変えるか
良い会社とは「社員を大切にし、社員と会社がともに成長する会社」です。社員を大切にすることは、社員に甘くすることではありません。
社員を尊重し、社員がやりがいをもって仕事に取り組めて、仕事を通じて成長するような職場をつくることです。
それによって、モチベートされた社員により、より優れたビジネスモデルが作られます。また、様々な仕事の仕組みづくりが進められることによって、普通の能力の社員が普通に働いて所期以上の成果を生み出せるようにもなります。これらを通じて顧客満足が高まり、売上げや利益の向上に繋がっていきます。
これからの時代においては、人間性の尊重と経済性の向上が求められるわけです。渋澤栄一氏の『論語と算盤』の精神のリバイバルと言ってもよいかもしれません。
さて、社長なら誰しも、社員がイキイキ働いていて、活気がある会社にしたいと思っているのではありませんか。
でも、実際には、
「良い会社にできればいいけれど・・・」
「自分の力量では難しいのではないか」
「自分が変わるのは大変、今のままが無難・・・」
「良い会社づくり、社員を大切にする・・・というのは今更気恥ずかしい・・・」
こういう気持ちがぐるぐる回ったままのケースが大半ではないでしょうか。
申し上げるまでもないかもしれませんが、このレベルを超えて、冒頭に示したような「良い会社」にしていくことは、簡単なことではありません。
「単に社員を大切にする」だけではなく、「社員を大切にしながら、業績を上げ続ける必要がある」からです。
そのような会社になるためには、社長がその間にある大きな意識のギャップを飛び越えることが求められます。
「良い会社にできればいいけれど・・・」等の中途半端なレベルではなく、本気で取り組み、やり切る気持ちに変わる必要があります。
社長のこのようなマインドセットの入れ替えを起こすにはどうすればよいでしょうか。
イメージ的ですが、具体的に言うと、「会社の今の状況が、居心地が悪くて仕方がない」という感覚になる必要があります。
逆に言うと、「良い会社」が「当たり前」という気持ちに変わることです。
そうなっていない現状は気持ちが悪くてしようがないようになることが重要なのです。
なぜなら、人は、気持ちが悪いとき、それを解消したい、と自然に思い、自然に行動できるようになります。そこに良い会社づくりへのモチベーションが生まれるのです。
そうなれば、否が応でも、良い会社づくりのスイッチが入ります。
それでは、このように気持ちが変わるためには、どうすればよいでしょうか?
わたしは行動を変えることが重要だと思っています。
気持ちが熟すのを待つのではなく、具体的に行動することで、気持ちを変えるのです。
具体的にはどうすればよいでしょうか。
良い会社にしたいと少しでも思っている社長は、漠然とそう考えるだけではなく、行動してみることです。
例えば、良い会社を多く見て回る、見学先の社長や社員の話をよく聞く、会社の空気を自分の肌で深く感じる、・・・。こういう行動が有効でしょう。
そうしながら、自社の実態を振り返り、考える。これらを繰り返すことです。
以前,noteに書きました「社長の自省」のよる振り返りもその一つの手段です。
このところ多く取り上げた「会社の健康診断」もその一つになり得ます。
それらの結果をみて、強いて「自社の状況が、自分にとって非常に心地よくない状態である」と心底思えるようになることが大切なのです。
そこに気持ち悪さが生まれ、その思いが強ければ強いほど、それを解消しようと自然に、無理をせずに、「良い会社づくり」の歩みが確実に踏み出せるからです。
なお、ついつい現状に甘えてしまい、惰性で経営をしていることが、最もまずいことです。
少なくとも、政治や経済の変化、人々の価値観の変化、社会や技術の変化は確実に押し寄せてきています。
以前のnoteで述べたように、社員を大切にして、社員と会社がともに成長する会社になっていくことが、このような時代に生き残り、成長していく指針です。
以上縷々述べてきましたが、「いい会社にしたいけど、・・・」と思っているだけの経営者は、ゆでガエルかもしれません。
変えたいと思いつつ、動かないでいるのは、まさにゆでガエルの姿なのですから。