母性の経営、父性の経営
経営のスタイルとして、「母性の経営」と「父性の経営」。この2つの側面を意識されるとよいと思います。
これに関しては私自身も苦い経験があるのですが、「あるべき論」の弊害というものがあります。「こうあるべきだ!」ということで突き進んでいくと、部下の人たちがついてきてくれないということがあります。
その前に絶対的な安全感、安心感。これを「母性」という表現しているわけです。
絶対的な安全感、安心感。「この社長は、自分にとって大きく不利になるようなことは絶対にしない」と社員が安心して仕事に取り組むことができるかどうか。
経営改善の取り組みをする場合、何らかの変化を伴うわけです。その変化がすべての人にプラスになるということは、おそらく無理なことだと思います。その時に、その変化を受け入れられるだけの安全感、安心感をまず持ってもらうということが大切です。そうした安全感、安心感を持ってもらった上で「父性の経営」をやるという必要があります。
これは心理学の世界ではスタンダードな考え方になっているようですね。子どもが生まれた時、赤ちゃんが母親の胸に抱かれて絶対的な安全感、安心感をしっかり持っていること、あるいは、そのような環境を作っていること。これがあって初めて、その後のしつけというものがうまくいく。絶対的な安全感、安心感というベースがないと、しつけをされた時に反発をするということが心理学の世界では言われているのです。
おそらく、これは企業経営でも同じだろうなと考えています。そして様々な会社さんとの関わり合いの中で、ヒアリングをさせていただいたり、実験をさせていただいたりということを通じて、この「母性」がベースにあって「父性」の行為をするということがやはり重要なのだと確信しています。