「経営手腕」のある社長/経営手腕をどう磨く?
「経営手腕」のある社長
全国のトヨタ販売会社300社中、13年連続顧客満足度第1位。2002年、日本経営品質賞受賞のネッツトヨタ南国株式会社さん。
数年前のことですが、ネッツトヨタ南国の横田英毅相談役をごく少人数で訪問し、ヒアリングをさせていただいた際、横田相談役のお話の中で「経営手腕」「経営手腕がある」というフレーズを使われる場面がありました。
そこで、「横田相談役は、経営手腕のある、ないというのをどのように捉えているのでしょうか?」という質問をしてみました。
すると、「人柄と価値観。価値観には、『全体最適』や『価値前提』という考え方、さらに、『目標』よりも『目的』の方を大事にしているとかどうかということが含まれる」と、普段から横田相談役が講演でお話されていることを挙げられたのですが、同時に、「ものごとの因果関係が瞬時に理解できるかどうか」ということを強調されていました。
「ものごとを見たときにその因果関係がぱっとわかるかどうか。なぜこうなっているのかということが分かる人というのは、経営手腕のある人ですね。」と断言されていたのです。
例えば業績が上がっていないとします。「それは、10年前から採用に力を入れていないからだな」・・・というように結び付けて考えることができる。
「社員教育をしっかりとやっていないからだな」ということかもしれません。
これらは、業績が上がらないということに対する因果関係です。
この因果関係を、パッ、パッと的確に抑えることができる社長であれば、ごく自然と、「5年先のことを考えると、今、これをしないといけない」とか、「10年先のことを考えると、今、これをしないといけない」というように、順番にやるべきことが見えてくるとおっしゃるのです。それを次々とやっていくことができる人が、経営手腕のある人だというのです。
企業経営において、この「因果関係」を的確につかむためには、成長ドライバ理論のフレームワークが有用です。
「社長」「経営理念・ビジョン」「ビジネスモデル」「システム化・型決め」「行動環境」というメインドライバ間に矢印が描かれていますが、これが影響の伝播するルートです。「行動環境」の内訳であるサブドライバ「ストレッチ」「サポート」「自律」「規律」「信頼」の間でも、相互に影響を及ぼし合うという矢印が描かれています。
普段から成長ドライバ理論のフレームワークを目の前に置いて、因果関係を意識しながら経営に取り組むことによって、経営手腕が磨かれると言えるでしょう。
経営手腕を磨く
そこで、合わせて「経営手腕を磨くこと、高めることはできるのでしょうか?」と質問してみました。
「できますね」と即答。
「人間力を高めるということです」として、人間力すなわち経営力
であると。このお話をされる際、横田英毅相談役はいつも「鬼と金棒」の例を挙げて説明してくださいます。
1.大きな金棒を持った大きな鬼
2.小さな金棒を持った大きな鬼
3.小さな金棒を持った小さな鬼
4.大きな金棒を持った小さな鬼
「金棒」は知識。一方の「鬼」が人間力です。知識はノウハウにすぎず、応用が効きません。人間力はknow whyで、問題発見能力があるということです。問題発見ができれば自ずと解決の道筋が見えてきます。因果関係ですね。
現代の学校教育では、こうした人間力を高める教育というものがあまりなされていません。学生時代に人間力を高める訓練をしていないから、企業の中での人材育成としてそれをやらなければいけないということになります。ネッツトヨタ南国さんが採用、そして、社員教育に力を入れているということはよく知られていますが、人間力を高めることを主眼に置いているのです。
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