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良い会社づくりのための経営行為による影響は伝播していく①

前稿で「経営の基本メカニズム」のうち、会社の円滑な運営や成長を生み出す原動力となる要素についてご説明しました。

このフレームワークを用いて経営をする際、さらに重要なこととして、それらの要素間の相互関係についても押さえておく必要があります。

相互関係とは、①影響の伝播、②整合性ということです。

①影響の伝播とは、あるドライバを改善するための経営行為の影響が、そのドライバだけにとどまらず、他のドライバにも影響が及んでいくということです。フレームワーク図においてドライバ間に書かれた矢印が、影響が伝播し得るルートです。

また、逆に、あるドライバを改善しようとさまざまな経営行為を行ったとしても、そのドライバに影響を及ぼす他のドライバが改善されない場合には、その経営行為の効果が十分に上げられないということでもあります。

例えばサブドライバ「信頼」を上げたいという場合に、「信頼」を改善するために有効とされる経営行為や施策にはさまざまなものがあります(この点については、別の機会にご紹介させていただきます)。しかし、どんなに「信頼」を上げようと施策を講じたり経営行為を実施したとしても、(極端な例を挙げさせていただきますが)会社の事業が社会貢献性がまったくない、むしろ社会の善良な市民から搾取して利益を上げるような事業だったとしたら(「経営理念・ビジョン」「ビジネスモデル」)、そのような施策や経営行為によっても「信頼」など上がりそうにないですよね。

また、「社長」が営業とか接待と称して連日のようにゴルフに出かけたり、夜な夜な会社の経費で飲み歩いていたりしたら・・・・・・。

改善工程を構築する際には、このような影響の伝播を考慮することが大切です。

各ドライバを「あるべき姿」に近づけるためにどのような経営行為が必要になるのか。そのドライバを直接高める経営行為を行うことは当然のこととして、さらに、このドライバに対して間接的に好影響を及ぼしてくれるドライバを刺激する経営行為を先読みして、これを併せて行うことで、ドライバの改善スピードが上がります。

同時に、そのドライバに対して間接的に悪影響を及ぼすような他のドライバの状態を改善すること。

このように、フレームワークを手元に置いておくことによって、影響の伝播を考えながら「逆算して」改善工程を構築することができるのです。

これまでに私が関与した会社さんをじっくり観察していると、ドライバが「互いに引き上げ合う関係」ができると、会社はダイナミックな上昇スパイラルをもって、自律的に成長できる良い会社になるということが実感されました。

フレームワーク図は2次元で描かれていますが、このように時間軸をもって立体的に捉えることが、実践においては大切なことだと言えるでしょう。

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