「社長」はどう考える? お客様と社員とどちらが大切?

成長ドライバ理論のメインドライバの一つである「社長」に関するお話をしましょう。

数年前、経営者向けに講演をした際に、聴講されていた方々に「お客様と社員、強いて言えばどちらが大切ですか?」という質問をさせていただいたことがあります。

皆さんはどちらが大切だとお考えですか。

結果は、「お客様がより大切」が4割、「社員がより大切」が2割、「どちらとも言えない」が4割でした。

「お客様がより大切」と考える理由は、「お客様が商品やサービスを購入してくださるから、社員に給料を払うことができる。だから、まずは、お客様のほうがより大切と考える」というものでした。

一方、「社員がより大切」と考える理由は、「社員が幸せになって、社員は初めてお客様にも喜んでもらえるようなサービスをすることができるから、社員のほうが大切」というものでした。

さらに遡り、今から20年くらい前、「お客様満足が大切だ」としきりに言われた時期がありました。しばらくすると、「社員が満足していないとお客様満足を提供できないので、社員満足が大切だ」ということが盛んに言われ出しました。ただ、この場合も、お客様を満足させることが目的で、その手段が社員満足という考えでしたので、結局はお客様のほうが大切ということに変わりはありませんでした。なので、20年くらい前は、お客様がより大切と思う経営者がかなりの割合を占めていたと推測されます。

今は、どうも社員のほうが大切と答える経営者が多くなってきたようです。人手不足のこともあるからでしょうが、ネッツトヨタ南国の横田相談役は、30年以上の前に論理的に考えたら「社員のほうが大切」と喝破されていました。

横田相談役によると、「お客様満足が一番大切だと考えると、社員はお客様を満足させるために頑張ってしまって結局疲弊して燃え尽きてしまう。そうすると、お客様を満足させることができなくなってしまう。つまり、お客様をより大切にする経営は自己矛盾を起こしてしまう」というのです。

反対に、社員を幸せにすることを第一に考えるとしましょう。社員が幸せを感じる大きな機会は、お客様から「ありがとう」と言ってもらったときです。お客様が満足してくださることが、社員の幸せを上げることに貢献するのです。

つまり、「社員の幸せを高めるために、お客様を満足させる」ということです。

横田相談役がこのように喝破されたのは、今から30年以上前ですから、驚きですね。徹底的に考え抜くと、現実に惑わされずに、本質を見抜くことができる一例です。

いいなと思ったら応援しよう!