成功するビジネスモデルを考えるフレームワーク「Value Star Model®」
これまで、会社が成長する原動力となる要素「成長ドライバ」の一つ、「ビジネスモデル」について説明してきました。
「顧客」→「提供価値」→「価値を生み出す方法」の順番で考えるということ、そして、「集客」→「提供価値」→「課金」という流れについてもご説明しました。
これらビジネスモデルの横の流れと縦の流れを合体させた図式が、画像の「Value Star Model®」です。
これは、私のオリジナルなフレームワークで、商標登録もしています。
筋の良いビジネスモデルを検討するときの着眼点を整理したものです。このフレームワークに沿ってビジネスモデルを検討することによって、成功しやすいビジネスの仕組みを考えることができます。
成功しているビジネスをこのビジネスモデルのフレームワークで分析してみて、確認できた5つの要素のうち1つでも変えれば、新たなビジネスが生まれます。
例えば、エステという業態があります。ターゲット顧客を女性から男性に変えたものが「メンズエステ」という新しいビジネスモデルになりました。このように、ターゲット顧客だけを変えるということによっても、新たなビジネスモデルが生まれるのです。
ほかの要素のどれにでも当てはまります。課金の仕方を変えてもいいし、提供価値、今まで提供できていない価値を提供するようにすること。また、価値の生み出し方を変えてみる・・・・・・。
このように、成功しているビジネスモデルのどこか一箇所だけを変えるということで、ビジネスモデルを革新することができるのです。
「味はまずいままなのに1ヶ月で大繁盛店に変わったお弁当店」という事例もあります。
これも実際にあった事例なのですが、そのお店はとっても美味しくない仕出し屋さんだったんですね。美味しくない弁当屋さんで、当然のことながら客足は途絶え、あと1か月でお店をたたんでしまおうと考えていた。ところが、店主があるセミナーを聞きに行って、「あぁ、こういうやり方もあるのか」と気付くのです。ターゲット顧客を変えるということをです。
どういう風に変えたかというと、とにかく絞り込む。
お葬儀専門のお弁当屋さんに絞り込むことにしたのです。そうすると、お料理は別にまずくて、いや、美味しくなくていいのです。そういう折には「美味しくない」などという不平、不満は出にくい。むしろ葬儀専門ということにしておくことによって、その弁当屋さんに任せておけば安心だという提供価値を生み出すのです。宗教・宗派を知らせておくことによって、相応しい食材のみで調理してくれるとか、弔問客に対して失礼にならないようなメニューのみを出してくれるということなどです。
「葬儀専門」ということ打ち出すことによってターゲット顧客を絞り、提供価値もより特長的に浮き彫りになりました。
そうして業績は一気に回復しました。一か月後にお店を閉めようと考えていたと言うのに、すっかり大繁盛店になってしまったという事例です。
もう一つ分かりやすい事例があります。
「BANANA CHIPS」という、これはいわゆる「ゴスロリ」というファッションですね。フリフリがついた女性向けのファッションで、一般の人はどうか分かりませんが、ある一定のコアな人たちがすごく支持している。その会社もニッチ(かどうか分かりませんが)なマーケットで順調に事業を展開されていたようなのですが、10年ほど前のことでしょうか。業績不振に陥ってしまったとのことです。
そこでどうしたかと言うと、ターゲット顧客を大人の女性から小学校低学年の女の子に変えて、ファッションスタイルや商品のデザインはそのまま。サイズを小学生向けにしただけ。それで一気に、その親御さん、お嬢さんのコアな層に浸透していって、一気に業績が回復したそうです。
以上のように、成功しているビジネスモデルからこの5つの構成要素を学び、そして少し変えてみるというのが一つの改善方法になるかなと思います。
ビジネスモデルについての有名なフレームワークとして「ビジネスモデル・キャンパス」というものがあります。それに比べると、この「Value Star Model」は簡略化されたもので精密さは劣るかもしれませんが、その半面、シンプルで使いやすい、思考しやすいことから、中堅・中小企業の経営者、幹部の方々にも理解されやすいものとなっていると言えるでしょう。