先輩からの不在着信
スマホを開くと不在着信の表示
すぐに「ごめん」とLINEを送ってみる。
数分後に返ってくる「ごめん」のオウム返し。
先輩からの不在着信は、昼夜問わず、不規則にかかってくる。仕事中の日もあれば、家でまったりしているときもある。常にマナーモードの私は目覚まし以外の音に気づけないため、スマホを触っていないときはよく不在着信になる。
あ、先輩と言っても学校、職場が同じだったわけではない。ただの年上の人で、呼びやすいから「先輩」と言っているだけだ。
LINEが返ってきたとき、時間的にも話せる空間であるときなら「話したい」とLINEを返してみる。
すると、再び着信が。
大抵の場合、昼であれば仕事前、夜であればお酒を飲んで酔っ払っている。
夜、「お酒飲んだ?」と聞けば、「少しだけ」という。
お酒に弱いからアルコール度数が低くても、すぐに酔ってしまうことを知っている。「お酒強いもん」というが、すぐ眠くなっているのはどこの誰だよという感じである。
お酒を飲む=なにか嫌なことがあったor休みの日だったから。
悪酔いしないだけましなのかもしれない。
「かまえ」とかまちょの日は少し面倒だが、周りの女の人の話を始めると少し、むっとする。ああ、これは嫉妬であろうが、恋愛には発展しないヤキモチだ。
最近だと、バイト先の新人の後輩だったか。その新人の教育者だからというのもあったのだろうが、日に日に仲良くというか話題になることが多かった。
恋愛相談をされた。車の中で休ませてもらった。ふざけ合った。キスをした。デートした。少しずつ発展していたが、恋人には発展していないみたいだ。
「いい人どまり」になりやすいらしい。
お人好しなんだと思う。
酔った先輩にちょっかいを出すと倍返しにされかねないから気を付けなければならない。が、ちょっかいを出してしまうのが「後輩」
意地悪してくる先輩は、少し魅惑的だ。
酔っているからかもしれない。
たまに魅了されたくなるのは、中毒性があるのだろうか。
いや、ただの承認欲求か。
酔った先輩は少し面倒で、
何だか少し好きだ。
これは、先輩には言えない
「後輩」の秘密だ。