カメラロールに私を残して
あなたは時々、私を撮ってくれた。
被写体にしては、見劣りのするはずなのに。
はじめは私から始まったはず。楽しかったことを切り取るように、ときどき写真や動画を撮った。それが溜まっていくアルバムに心がほくほくしたし、何年か後にそれを見直すかと思うととても未来が楽しみになった。
ツーショットはあまり撮らなくて、ほとんどお互いの盗撮。それをトークに送って、「いつの間に撮ったの!?」なんてびっくりさせることが楽しかった。ただの二人の遊びだった。
私に送り付けた後も、その写真たちはカメラロールに残っているのかわからないけど、いや、残っていてほしいと願ってしまう。
あなたに何度言っただろう。あなたに直接言える「振り回されてる」とは違ってて、「あなたは私のことどうでもいいと思ってるんでしょう?」は、自分自身も傷つけてる。あなたから「そんなことないよ」って言葉待ちで、でも、そんな言葉をくれず、既読無視でスルーされちゃう私は図星なのかなって思っちゃうよ。
あなたがくれたポーチは、お出かけの時は重宝しちゃうし、あなたに会う時は必ずと言っていいほど持って行ってると思う。
あなたのこと好きだった。
現在形で好きだって叫べない私は、あなたに向ける恋慕が無くなってしまったのかなって混乱してしまってるよ。あなたに会ってもドキドキすることはないけど、あなたと手を繋いだときは、すごく緊張してしまうんだ。
あなたはこれからも私のこと、時々でいいから撮ってくれるかな?
あなたのカメラロールに私がいてほしい。
そして、時々思い出して、見返してくれてたらどんなに幸せかな。