見出し画像

絵の中の人に近付く旅

今まで描いた中で一番楽しかった絵を挙げるとしたら、迷わずこれを選ぶ。


もう4年近く前に描いたもので拙い部分もあるのだけど、未だにお気に入りでずっと名刺に使っている。
この絵を展示した時、私は長崎ランタンフェスティバルのことを全く知らなかった。初めての個展で知り合った金魚ブリーダーさん経由でイベントの存在を知ってから、只ならぬ親和性を感じて訪れる機会を狙っていたのだ。

以前の職場は棚卸しの関係で1・2月は週休1日。連休を取れず断念していたけど、2度の転職を経て安定した今私を阻むものは何もない……!
しかも優しい先輩が1日お休みをくれるというラッキーが重なり、念願の長崎旅2泊3日を決行することに。

ランタンフェスに惹かれていたのは勿論、「長崎は貴方の絵の雰囲気に合いそう」という大学の助手さんの言葉がずっと残っていたこともあり、長崎への想いが募りすぎて今回は絶対に1人で行くべきだと直感していた。

思えば最初から最後まで完全に1人の旅は今回が初めてだ。
普段は目的よりも【誰と】の部分を重視するので、好きな人の好きなところについてって振り回されるくらいが丁度よい。2人以上の時に決定権を委ねられるのがそれはそれは苦手、というタイプ。
(誰かの希望を蔑ろにしてまで通したい意思がない。)

ただ【1人の時限定で主体性が爆発する】という傾向があり、どこまでいけるだろうかと面白がっているのも自覚していた。
しいたけ.占い風に言うなれば、
“ひとりオーケストラ”状態。
今から好きなようにさせてもらうから、着いてきたい人だけどうぞ。振り落とされても知らんけど。みたいな戦闘モードスイッチを絶対に持っている。

今回の旅はそのスイッチをフルパワーONにして臨んだわけです。
着物がレンタルできるゲストハウスを予約し、ランタンフェスをイメージしたコートを買い、コートに合わせてアクセサリーを作り、イヤリングや着物が映えそうな髪型にイメチェンし、その髪型にしっくりくる帽子を探し回り、セルフだけどネイルも合わせて、挙げ句の果てに旅のしおりを作るという計画的暴走ぶり。

これを紙とデータで両方用意してね。
もっと細かいとこまで調べてたんだけど、まとめるためにかなり削ってこんな感じ。
所要時間と営業時間の関係でスケジュールに入れられなかったところもあったけど、8割くらいはこの表の通りにいけたんじゃないかな?ものすごい達成感。

しかしこの、電車の時間まで気にして動かないといけないやつ、2人以上だったらかな〜〜〜〜〜り嫌だろうな!笑
まず行き帰り夜行バスで1泊目ゲストハウス、2泊目ネットカフェっていう貧乏旅な時点でとても人様を巻き込めるプランではない。
(うっかりネカフェに泊まるって話をしたら先輩に大層心配された……すごい快適だったけど鍵がなかったので確かにおすすめはできない。ゲストハウスは人見知りしない方にはめちゃめちゃおすすめ!)

そして何と言っても旅といえば「観光地!」「美味しいご飯!」となるのが一般的だと思うのだけど、残念ながら私の本命はそこではない。
お酒が飲めない、お肉や海鮮も好きなメンバーでなければ興味ない、ご当地グルメは別に必須ではない、という面倒くさいところが本音なので、一癖ありそうな喫茶店を主に巡ることに。
初日なんて、珈琲×ケーキからの紅茶×ワッフルからのコンビニ飯だったから、「旅館でご馳走」思考の人からしたらまじで理解できねえプランだと思う。

各場所のレポは他SNSに書き散らしてしまったので、ここには主に所感をまとめている。
島鉄のフリー切符を無くした以外に大きなトラブルもなく( )、観光・お店巡り・食べ歩き・気ままに路地散策・撮影・初対面の人との交流、全てがいい具合のバランスで構成された最高の1人旅だった。
着いて早々猫チャァンの熱烈歓迎を受けた時にはもう満足値カンストしてたしな!

基本的に知らない土地が大好きで、歩くのも苦にならない。
ロッカーに預けるタイミングを逃したキャリーバッグを引きずりながら急勾配な坂道を駆け上がっている時ですらにこにこしてしまうし、着物をたくし上げながら延々続きそうな階段を登っている時ですらわくわくしてしまう。
私はこんなに興奮できたんだと少し驚く。

そんな具合なので、電車と徒歩でかかる時間が同じくらいかつ道に迷える余裕がある時は極力歩くようにしていたの。これが本当に英断で、稲佐山に向かう道中は耳の裏に鳥肌が立つくらいいい景色が見られた。
川沿いをずーっと歩いてロープウェイ乗り場に向かっていたのだけど、日が沈み始める頃に乗り込む計画だったこともあって、徐々に太陽が傾いていく気配を左側に感じることができた。
「今、私、日没と競争してるのか」なんて素面で思ってしまったあたりから、それこそ脳内ひとり合唱コンクール『春に』(作詞:谷川俊太郎)状態。
なんなんだこのきもちは……“声にならない叫び”ってこういう感じだったんか……。

こうやって夕日と並走しながら狙い通りの時間に到着できたときの私の顔、警備員さんから見たらさぞ気味悪かったろう。(息切れ尋常じゃなかったし。)

夜景は文句なしに綺麗だった。スケスケのロープウェイにもテンション上がった。けど、川沿いを歩いたあの時間が何故か強烈に濃くて、とても忘れられそうにない。


今回は“1人旅がいかに自由で有意義か”みたいな話ばかりになってしまった。1人でふらふらしながらふと誰かのことを思い出す瞬間が好きだ。
とはいえ誰かと一緒ならもっと楽しめただろうなと思うことも度々あった。
追い出されるまで展望台で話し込んだり、めちゃめちゃ決め込んだ写真を撮りあったり、ご飯を半分ずつしたり、そういう旅も楽しいに決まってるよな。
着物やレトロ衣装体験なんかはメンズ用も並んでたので(こういう仮装を目一杯いっしょに楽しんでくれるカレピほし)とか思ったりもした。
こんな感じの暴走に付き合ってくれる人、もしくは同じレベルで振り回してくれる人、いたらぜひ旅に誘ってほしいものです。

3日間の中での特に大きな収穫といえば、ほんの20分くらいしか話していない人から「確固たる自己世界のある御方とお見受けしました」という言葉を貰えたことだろうか。
絵に対して【世界観】を褒めてもらえることはあるけれど、【自己世界】という表現はありそうでなかった。
私そのものの評価と絵がつながったような気がして、嬉しかったのです。

よき旅でした。

#旅行記 #日記 #長崎 #1人旅

いいなと思ったら応援しよう!

佳
読んでくださりありがとうございます!サポートしていただけると大変励みになります。