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【#5】島の旨いものを探して~コンダオ諸島/ベトナムで1番きれいな海
「コンダオに美味いもの無し」という残念な評判がある。
唯一の有人島であるコンソン島は小さな島で、飲食店の数もとても多いとは言えない。さらに都市部に比べると競合が少ない分どうしても飲食店のレベルが低いので、観光客が無難に美味しいものを食べたいならばホテル内での飲食が妥当らしい。
ホテルは確かに快適だが、折角の旅先。
ホテルの敷地内だけで過ごすのはもったいない気がしてしまう。自分達で探して、見つけて、冒険したい。
地図を見ながらリサーチした店を探し当てたり、街を流して自分のアンテナが反応した所に飛び込んでみる。それだけで小さな冒険心は満たされるものだ。もちろんハズレもある。「こんなはずじゃなかった」とガッカリする店もあるからこそ、アタリを引いた時は何倍も嬉しいし、美味しい。
結論、私たちにとってコンダオは充分に美味い島だった。
そんな”アタリ”の思い出をいくつか書いておく。
隠れ家ビストロ Beach House Restrant & Cocktails
■噂のレストランは深夜食堂?
外食店が少ないコンダオにおいて、夕食難民ご用達のレストランがあるらしい。「Beach House」は雰囲気が良く、味も良いと評判だ。
Google mapでの口コミも4.9とべらぼうに高い。写真を見ると自家製パスタが売りのイタリアンか。
洋食。いいじゃないか。実はホーチミンにはいわゆる洋食屋が少ない。お高いフレンチなどあるものの、カジュアルラインのイタリアンは希少な存在だ。当然私も洋食に飢えている。
さらに写真を見ているとシェフだろうか、「深夜食堂」のパロディ写真があった。オーナーが日本人なのか、余程の日本贔屓か。
ともあれ「深夜食堂」ファンの私達はこれでガッツリ心を掴まれた。
■路地裏の青い看板
2日目の夜。ビーチホッピングを楽しみ空腹状態でバイクを走らせる。
といっても店は2日目から取っていたホテル(Garden house)からすぐそこにある。歩いてでも行ける距離だ。
ローカルストリートの夜景色と、日が暮れるとどこからともなく湧いてくる犬たちを愛でながら走っていると地図上の店の位置を通り越してしまった。
めぼしい店影は無かったが…と思いながらUターンして徐行。
すると細い路地の角に小さな青い看板を見つけた。
路地の両サイドはただの民家。舗装もままならない道はタクシーが入っていくのはまず無理な細さ。これは初見で辿り着くのが難しい中々の隠れ方だ。
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■ビーチを感じる落ち着いたインテリア
ガタガタとバイクで15mほど進むと、緑とライトに囲まれた店の入り口に着いた。ウッディな建具に映える緑。ベトナムならではの可愛い柄タイル。単色ライトの照明がセンスの良い入口はまるでお洒落な民家のようだ。
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入り口を入ってすぐのスペースにはテーブル席やソファなどがあり、棚に本や雑貨などが置かれている。アットホームというかなんというか。まるで海辺に住んでいる友人宅に来たような、心地よい雑然だ。
奥の壁にはONE PIECEの手配書が張られているが、店の雰囲気に不思議と合っていて違和感がないのが面白い。海賊だからか、と妙に納得してしまった。
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右に進むとカウンターキッチンのあるメインダイニングスペースにテーブル席が複数あり、1番大きな円卓には6人組の欧米人グループが座っていた。
今まさに注文をしているので、タッチの差で入店していたのだろう。
店内は半屋外で吹き抜けの造り。おさえた照明に流木を多用したインテリア、溢れかえりそうな緑の天井。ここはグアムか、ハワイか。ビーチを感じる内装が素晴らしい。
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■いざオーダー
メニューを吟味する。全てきちんと英語表記が付いているので分りやすく、だいたいが10~20万ドン(¥600~1200)くらいで頼みやすい。ホテルレストランならばドリンク1杯でこれくらい取られてしまうだろう。思っていたよりメニュー数が多くて目移りしてしまった。
ここのシグニチャーであるミネストローネスープは必須で頼むとして、他にサラダとパスタを1品ずつの計3品。全てシーフード寄りになってしまったが、島にいるんだもの。肉より海鮮を食べるべきだ。
一緒にフルーツジュースとビールを注文したが、これが来るのに10分ほど待った。というのも、人の好さそうなベトナム人のシェフがワンオペで調理から接客までこなしているからだ。欧米人6人組がカクテルをオーダーしたせいもあるのだろうが、料理の提供にはかなり時間がかかりそうだ。
これはまずい。私はともかく相方はせっかちで、ことレストランで待つのが何より嫌いなタイプ。なんとか気をそらさないと機嫌を損ねてしまう。
そこで入り口近くに置いてあったゲームで遊ぶことにした。これが良かった。色違いのメダルを交互にはめていくゲームで、正しい遊び方は知らないが私たちは四目並べをして楽しんだ。シンプルながら先々の土台を作りながら相手の妨害をしていき、負けると「あー!そこかー!」とことのほか悔しい。飲みながら遊ぶのにちょうどいい。すっかりハマってしまって帰宅後に購入した。
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ゲームに興じていると、半屋外の店内にはどこからともなく犬や猫がやってくるのだが、時折何かの鳴き声も聞こえる。
鳴いているのは鳥か何かかと思ったが、鳴き主を探してみるとそれは蛙。こぶし大のそこそこ大きな奴で、鳴き声もそれなりに大きい。
そいつが鳴く度に何故か欧米人達が爆笑するので彼らの話を聞いてみると、その鳴き声が「F○CK YOU!」に聞こえるということらしい。あらためて聞いてみると、確かに聞こえる。
甲高く可愛らしい声で鳴くファッキュー蛙。絶妙な間で鳴くものだから私達も思わず笑ってしまった。
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■アタリ連発の美味しい食事
そんなこんなで30分ほど待って、ようやく最初の料理がやってきた。
このシーフードサラダが大当たり。山盛りでボリューミー。サラダが新鮮でドレッシングもくどくなく、イカやエビのフライはサクサクで柔らかい。
この一皿でコスパは合格。他のメニューへの期待値も上がった。
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つづいてはバジルパスタ。自家製麺の平打ちフィットチーネがモチモチで、柔らかい麺を好むベトナムでは麺類は総じて茹で過ぎてしまっているものが多いのに、茹で方も上手。一口食べて分かるバジルのフレッシュさ、パルメザンチーズもドンピシャの適量。エビももちろんプリプリで新鮮さがうかがえて、ブロッコリーの火入れまで完璧だ。2人で食べるには少し量が少ないが、十二分に満たされる味の満足感。もうすっかりシェフのファンだ。
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最後にやってきたミネストローネ。具材をシーフード、魚、鶏の3種類の中から選べるのだが、今回はシーフードにした。
運ばれてまず思ったのが、知っているミネストローネと色が違う。トマトの赤というよりデミグラスソースの茶色に近い。
一口飲んでみて驚いた。確かにトマトベースだが、さらりとしたスープの中にたくさんのスパイスを感じる。そのどれもが強すぎず、主張しすぎず渾然一体と混ざり合っていて、バジルやオレガノの他に何が入っているのか全てを把握できない複雑な味わいだ。一口目より二口目が美味しい。食べ進める手が止まらない。味の構成が完璧なので、普段なら自分で胡椒などの卓上調味料をかけるが、このスープにはこれ以上何もいらない。
細かく角切りにされた野菜たちの他にキヌアの様な穀物類もいい仕事をしている。具材としてのシーフードもイカや魚などもちろん美味しい。
そしてパスタの時にも思ったが、添えられているパンが美味しい。しっとりとモチモチしたソフトバケットとフォカッチャの間の様な質感で、ほのかに甘さもある。このクオリティのパンがこの島で買えるのか、いや、恐らくはこれも店のホームメイドだと思われる。
味が濃くないので、食べ進めても胃にもたれる感じがしない。それどころか体に良いものを食べているような浄化感がある。そんなほのかに薬膳を感じるめずらしいミネストローネだ。
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すっかり骨抜きにされてしまった。2人で3品、お腹いっぱい満たされた。
どれもがとても丁寧に作られているのが味からもうかがえるし、パスタとスープに関しては半屋外のすのこテーブルで食べるような味ではなく、テーブルクロスの敷かれた高級レストランの味だ。
これで食事の合計が約50万ドン(¥3000)ほど。抜群のコスパ。
■注意点として
ひとつ難点なのは、やはりワンオペがゆえの待ち時間。
入店時6人組の先客がいた私達は注文から食事の提供まで40分ほど待った。仮にもっと先客がいれば1時間ほどはかかっただろう。ある程度待つことは覚悟していくのはもちろんのこと、この店に関しては予約はしないほうがいいだろう。下手に予約すると席はあるので予約自体は取りやすいだろうが、混みあっているタイミングに当たっては厳しい戦いになりうる。直接店頭に行って混雑状態を覗いて入店するかどうかを見極めるのが良いだろう。
繰り返すが、本当にたった一人で調理しているので時間がかかる店だ。
だが味と雰囲気、シェフの人柄が素晴らしいので、ここが私のベストレストランinコンダオだ。
■おかわり訪問
最終日のディナーに再訪。他では食べられないあのミネストローネがもう一度食べたかったのと、前回あのパスタを食べて、どうしても食べたいものがあった。それはブルーチーズパスタ。ブルーチーズと赤ワインの交互運動が好きな私。あのモチモチ平打ちパスタには絶対にブルーチーズの味が合うはずだ。これを食べずには帰れない。
混んでいないことを祈りつつ20:00前に訪問。先客は2人組の一組のみ。よし!と喜んだものの、キッチンを見て驚いた。シェフがいない。いるのは小学生くらいの兄妹。妹が英語でオーダーを取り、兄がキッチンで調理している。まさかのキッズオペレーション。大丈夫だろうか心配だ。
オーダーを済ませ、またしてもゲームに興じながら待っていると先客に兄が料理をサーブする。「焼き方が完璧だ。とても美味しいよ!」と声をかけられて嬉しそうな様子の兄。そうかすごいな兄。きみ本当に作れるんだな。
次はうちの皿だなというタイミングで上階からシェフが降りてきた。前回の味を求めていただけに兄には悪いがこれで一安心だ。
今回は15分ほどで提供された。やはりこの店は入店のタイミングが命。
■期待通りの完璧なパスタ
ブルーチーズソースが思っていた通りこのパスタにベストマッチ。チーズの独特の臭みが風味として丁度いいバランスで、モチモチの麺がその強い味をしっかりと受け止めている。噛むたびに鼻から抜ける芳香。やはりここのパスタには強い味がよく合う。そして添えられているチキンが素晴らしかった。胸肉はしっとりと柔らかくその塩梅も絶妙で、別添えにカリカリに焼かれた皮。細かい仕事が秀逸でにやけてしまう程美味しい。
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今回はあまりお腹がすいていなかったので、パスタとミネストローネの2品だけ。ミネストローネは魚のフィレにしてみたが、個人的には前回のシーフードの方がスープとしての一体感があり好みだった。
ゆったりとした店内。ビーチからは離れた内陸にあるのにも関わらず、まるで波音が聞こえてきそうなリラックス空間。
家族経営のあたたかな雰囲気も相まって居心地がいい。この店はあまり流行って欲しくない。混雑してしまっては料理の提供も時間がかかるし、何よりこの雰囲気が損なわれてしまう。
またコンダオに来ることがあれば、この店は必ずまた訪れるだろう。その時にはあの兄が立派なスーシェフに成長しているかもしれない。
ミシュランではないがBeach Houseは私たちの”星つきレストラン”だ。
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人生で1番のココナッツアイス Kem Con Dao Dua Dat
島をバイクで走るうち、ホテル(Garden house)の近くにやたら賑わっている店を見つけた。日中は巨大な観光バスが乗り付けられ、夜間も煌々と照らされて随分遅くまで営業している。店先には「KEM DUA」の文字が。ベトナム語でKEMはアイス、そしてDUAはココナッツの意味だ。どうやらここはココナッツアイスの店らしい。
ベトナム全土でココナッツ(ヤシの実)はよく取れる。固い実をナタで叩き切り、直接ストローを差して飲むココナッツウォーターも南国ならではの定番で、観光客のみならずローカルにもとても人気がある。ほんのり甘い味で電解質を含み、体内の水分量回復が早いと言われているまさに天然のポカリスウェット。私は果物全般冷えていて欲しい軟弱者なので、常温で飲むのが少し苦手だ。
ココナッツアイスもどこででも食べられるが、コンダオのココナッツアイスは一味違うらしい。Google mapを見ると口コミは4.5と高い。なるほど、どうやらここは超有名店だ。ならば行かねばなるまい。
■どでかい店構え
キンピカの仏像が出迎えるアーチ状の入り口をくぐると中はビアガーデンかバーベキュー場のようにだだっ広い。席数はゆうに200近くはある。
机は立派な一枚板の木製で、至る所に巨大な木製の仏像や流木のオブジェが並んでいる。あまり詳しくはないが、こういった木製のものはとても高価なはずだ。よほど儲かっているのだろうか。
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店内に入ると席に案内されることはなく、どこでも好きな所に座っていいらしい。しばらく待つが注文を取りに来ることはなく、ソワソワしながら周囲の様子を伺っているとどうやらカウンターで先に注文する必要があるようだ。
だが、どこにもメニューらしきものはなく、注文方法もよく分からない。
聞けばここのメニューはアイス1品のみのストロングスタイルらしい。アイス1品のみでこの座席数の店構えなのか!すごいな!と感心しつつ期待が高まる。
注文は数を伝えるだけのシンプル方式。1つ50,000ドン(¥300くらい)。
これはアイスとしてはそこそこお高い値段になる。はてさて、どんなもんだろうとワクワクしつつ、席に座って待つことにした。
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■別格のココナッツアイス
席に座るとすぐに回転ずしの湯のみの様なプラカップに入った飲み物が運ばれてきた。みんなが飲んでいるので恐る恐る舐めてみるとココナッツウォーターだ。だが常温なのが個人的にキツイ。ビタミンだミネラルだと言い聞かせて飲み干した。味はクリアで今まで飲んできたものに比べてほのかに甘さが強い気がした。
そしてすぐに運ばれてきたアイス。
半分に割ったヤシの実に小さめの球状で7つほど盛られていてボリューミーだ。アイスの上には砕いたナッツの様なものが載っている。ヤシの実は変色が早いので、断面からこの器の実がとても新鮮なことがよく分かる。
一口食べてみて驚いた。これは今まで食べてきたココナッツアイスとはモノが違う。ココナッツの爽やかさがありながら濃厚な風味、けっしてくどくないまったり感。クリーミーで舌触りも良い。一見ひとりで食べるには量が多いように思えたが、食べても食べても軽い。人工的な甘さがなく、ココナッツ由来の優しい甘みのみ。胃に入るのを体が喜ぶような清涼感。
なんだこれは。こんなアイスは初めてだ。
今まで食べたことがあるココナッツアイスは恐らく既製品の缶詰などのココナッツミルクで作られたアイスだったのだろうとこのアイスを食べて気がついた。本物の新鮮なココナッツで作るとこうなるのかと感動した。アイスクリームを食べてこんなに美味しいと感じたのは人生で初めてかもしれない。
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底の方にはそぎ落とされたココナッツの果肉も入っている。新鮮な為サクッと歯切れがよく、ほのかに甘い。アイスで冷やされているおかげで食べやすい。果肉も今まで美味しいものだという認識がなかったが、ここのは美味しく器の内側の部分もこそげて食べられる。
別添えで出された素焼きのクレープの様な薄いゴーフルも甘すぎず素朴にうまい。
さすがアイス1品で財を築いただけはある。人生で食べた中でトップ3に入るアイスクリームだった。
あまりに美味しくてココナッツアイスの虜になってしまった私たちは島で別の店にも行ってみたが、他の店はイマイチだった。
すっかり魅了されて連日通ったこの店。ゴーフルは日によって付いたり付かなかったりするがそれもベトナムらしいご愛嬌。
ホーチミンに戻ってからもこの味が恋しくて何度かココナッツアイスを食べに行ってみたが、やはり既製品の味でおいしい店は無かった。またコンダオに行くならば必ず食べたいこの店のアイス。本物のココナッツアイス。
裏メニューを求めて Quan Ut Trieu
■Youtubeで予習
旅先が来まるといつもYoutubeでレストランなどの下調べをする。日本人があげているコンダオの動画はとても少ないのだが、その中で目に留まったレストランがあった。
コンダオは2回目という旅慣れた強者が「忘れられない味」として再訪していた海鮮レストラン。その「タコのマーガリン焼き」に目を奪われた。
ベトナムにはマーガリン鍋という体に悪そうなメニューがある。
相方はハノイ出張時に現地スタッフに連れられて食べに行ったことがあるらしい。卓上コンロの上に鍋を載せ、そこに引くほどの量のマーガリンを溶かし肉や野菜を焼いて食べるというものだ。
ベトナムのマーガリンは他の調味料と同じく、日本の物に比べて甘みが強い。それで焼いたものを辛みの強い焼肉のたれの様なソースに付けて食べる。なんとも医者に怒られそうな料理だ。けしからん。
だがそれをタコでなんて、とてつもないビール案件の匂いがすると酒好きの私はもう夢中だった。
■中道にあるローカルな海鮮レストラン
店は中心部の大きなラウンドサークル近くにある。
ラウンドサークルからまっすぐ伸びるメインストリートのLe Hong Phong通りにはレストランも多い。似たような店構えが多いので少し迷ったが、目指す海鮮レストランは公園の角を曲がった中道にあった。
バイクは店先にドン付けで停められた。ベトナムの歩道は歩くスペースというよりは駐輪スペースの役割が大きい。店の店員が器用に並べてくれる。
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店先に生け簀がわりの水槽が並ぶベトナムスタイル。観賞用ではなくもちろん食用で「これが食べたい」と指さしで注文することも可能だ。魚や貝類の他にカニらしきものもいる。
半屋外のテーブル席には宴もたけなわな様子の団体客の他には先客はいなかった。時間が13:30過ぎと少し遅めだからだろうか。
店の奥にはドアで仕切られた広くて空調の効いた店内スペースもあるようだ。何人か出入りしているが、団体客など専用なのか混みあっていなければ開放しないようだ。
半屋外とはいえテーブルには清潔な布製クロスが敷かれていて、メニューにはしっかり英語表記もある。さすが観光地、と思いきやお値段は手ごろだ。
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■いざオーダー
海鮮の鍋や炒め物などたくさんメニューがあるが、お目当てのマーガリン焼きはやはりメニューには載っていない。
あらかじめ画像をスマホに保存してきた抜かりない私。黒髪ロングヘア―がきれいなお姉さんに画像を見せて「これが食べたい」と訴えた。英語の話せる彼女に「これは無い」と最初断られたのだが、引き下がって聞くと「今日はタコがない」との事。
「なんてこった!」と年甲斐もなく悔しさを顔面に全力で表してリアクションしてしまった私を見て苦笑するお姉さんは「ちょっと待ってね」と厨房に相談に行き「イカでいいなら出来るよ」と提案してくれた。
なんて優しいんだ。イカでいいよ。もちろんいいよ。ありがとう。
相方に「そこまでして食いたいか」と引かれたが、そこまでして食いたい。なんならコンダオで1番楽しみにしていたメニューなのだ。
ホッとしつつビールとコーラを頼み、もうひとつこの店で食べたかったものを注文する。それはチャーハン。
欧米人含め世界中の観光客が安心して頼めるメニューFried Riceはどの店にでもある安牌だが、この店を下調べして気になっていたものがある。それはシーフードではなく魚のチャーハン。しかもSalty Fishとある。塩漬けの魚?なんだそれは。大きく外す危険性もあるが気になるものは食べてみたい。
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■念願のマーガリン焼きを実食
注文して5分ほどで運ばれてきた卓上コンロとステンレスの鍋、というか深みのあるパーティー皿のようなもの。ピカピカの新品に見える。
きれいに盛られた薄切りのゴーヤとオクラの中心にタレに絡まったイカ。これをマーガリンを溶かした中で焼いて食べる。
付けダレはライムと塩コショウ、甘めのベトナム醤油。
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適当に鍋に入れてみるが、どれくらい焼けばいいかが分からない。
新鮮そうには見えるが生のイカなのでそれなりに火を通さないと不安だ。風があるせいか火力もそれほど上がらないので、ちまちまやってもしょうがないと半量ほど投入して様子をみる。
そこへチャーハンが運ばれてきたのだが、なんとも可愛らしい盛り付け。魚、もしかするとジュゴンだろうか。きゅうりでハートまであしらわれて思わず笑みがこぼれる。
そしてこれが美味しい。パラパラで胡椒が効いた米に細かくほぐされた魚の身。干物のような食感で、思っていたより薄味ながら旨味と塩味がほどよくとても食べやすい。だしのような味が全体に広がっていて、ベトナムに来て食べたチャーハンの中で1番美味しい。量も2人で食べるのに十分な量だ。
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そろそろ鍋も頃合いだ。まずはゴーヤを食べてみる。これが旨い!
ベトナムのゴーヤは日本の物より色が薄く、苦みも少ないのだがマーガリンとイカに付いていた甘辛いタレの味が合わさって濃厚で爽やか。薄切りにされているので火も通りやすい。
変色している所もなくまるで庭から取ってきたてのような新鮮なオクラもトロトロになっていい。
そしてイカがプリプリとしながらサクッと嚙み切れる新鮮そのもので、味も食感も最高だ。
思っていたよりマーガリンのくどさを感じない。脂肪分に甘み、それにこのタレ。なんしかタレがうまい。焼肉のたれのような甘みにニンニクの風味とコチュジャンのような辛み。もともとはそこまで濃くはないが、焼いていくにしたがって凝縮された味がもう米泥棒、というかビール泥棒。
少しその味に飽きてきたらライム塩に付けて食べると一気に爽やかさ倍増でまた違った味わい。焼くのに食べるのに夢中で写真を撮るのも忘れていた。
完食後、汗ばんだ体を風に吹かれながら店内から道行くバイクを眺めてのまったりタイム。
味も量も大満足な至福の食事だった。せっかくの新鮮な海鮮を味わうのにはいささかジャンキーなメニューだが、日本にはない味の構成がベトナムらしいのでよしとしよう。
付け合わせのゴーヤとオクラも完璧なチョイスだが、あのタレが旨すぎる。食べ終わったのにまた食べたい中毒性の高さ。ベトナム語が堪能ならば是非ともレシピを聞きたいくらいだ。
料金記載のない裏メニューを頼んでいるので言い値で払うしかないドキドキがあったが、会計は45万ドン(¥2,700)ほど。
イカのマーガリン焼きは28万ドン(¥1,700くらい)だった。
飲み物をおかわりしてこれは満足のいくコスパ。店員さんも親切フレンドリーで居心地がいい良い店だ。
■タコリベンジ
翌日のランチに再訪する。
昨日「タコがない」とイカで作ってもらったが、「明日ならタコあるよ!」と言われていたのだ。
失礼ながらベトナム人はこうゆう時すごく適当なことを言いがちなので、本当にタコがあるかどうかはかなり疑わしい。それでも料理自体はおいしいし、コスパもいいのが分かっているのでタコはあってもなくてもいいやと連日の再訪となったのだ。
昨日と同じお姉さんにアイコンタクトで「あるか?」と「あるよ」とコミュニケーションが取れ、常連気分な私。
本当にタコがあった。疑って悪かったと反省して、マーガリン焼きと今日はシーフードチャーハンをオーダー。
運ばれてきたタコはいい太さで見るからにプリプリ。付け合わせのゴールデンコンビも変わらずで嬉しい。なかば半分ほどはこの野菜たちを食べたくて来ている所がある。
そしてステンレスの皿はやはり新品に見える。もしかして使い捨てなのだろうか。豪気なものだ。
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2回目ともなれば勝手は分かっている。
半量投入して数分、念願のタコを食べて一言。「イカの方が美味しいね」。
タコでももちろん美味しいが、味付けとしてイカの方が合っていると感じた。本末転倒してるなと笑い合いながら完食した。
シーフードチャーハンは昨日と同じく魚型に盛り付けられて出てきた。
細かくなったイカやエビなどが入っているが、昨日の魚の風味には勝てない。しかも魚の方が4万ドン安いので、チャーハンも昨日の方が良かった。
そこで今日は食べ終わった鍋の中にチャーハンを入れて、残ったタレと炒め合わしてみた。これが大正解。韓国鍋の後に米を入れて食べるようなピリ辛の味わいで香ばしくなって美味しい。
マーガリン焼きを頼むならチャーハンではなく白米(Steamed Rice)でいいかもしれない。その分Salty Fishを使った違うメニューを頼んでみるのもいいなと思う。
ちなみにマーガリン焼きはイカでもタコでも同じ値段だった。
この店もまたコンダオに来たら必ず再訪するだろう。
そんな思い出に残る魔性のマーガリン焼き。
家に帰ってからもゴーヤのマーガリン炒めは我が家の副菜のグランドメニューとして定着した。
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おまけ - 猫カフェ Julia's Garden - Cafe and Dining
ホテル(Garden house)があるローカルサイドにカレーライスを出す店があると相方が言うので行ってみる事にした。確かに口コミが賑わっているお洒落なお店の様だ。
Gardenを冠した店名にふさわしく、なおかつとてもお洒落な店構え。ベトナムは本当に内装のセンスが良い店ばかりで感心してしまう。
アウトドアに木製のブランコチェアやテーブルセットが置かれ、どこを切り取ってもフォトジェニックだ。
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先客は妙齢の欧米人女性1人。店員も1人しかおらず、若干閑散としているが静かなのがいい。
メニューを見るとレストランというよりはカフェの形態。いくつか軽食のラインナップの中に「Japanese Curry」とあるので、無難そうなチキンカレーを頼んだ。
■4匹の子猫
席についてしばらくすると、どこからともなく子猫たちがやってきた。まだ1歳にも満たないであろう小ささの子猫たち。白、黒、茶色と色は違うが恐らく兄弟猫だろう。特に白と黒の2匹はとても人懐っこくすぐに寄ってきて体を摺り寄せてくる。随分人に慣れているようだが、店の猫なのだろうか。
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私は完全な犬派なので横目で愛でている程度だが、猫好きの相方は椅子から身を乗り出して猫の気を引こうと必死だ。
聞けばカレーは口実で、この猫たちを口コミで知って完全に猫目当てでこの店を選んだと言う。
邪なしょうがない奴だと半ばあきれながらも、猫たちにスリスリされてことのほか嬉しそうなので許すことにしよう。
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ちなみにカレーはというと日本風ではなく、どちらかといえばタイ風だった。そしてこれが美味しくない。味が薄く、スパイスも感じないボヤっとした味で食べられなくはないが、はっきり言ってまずい。
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ただ食べ物が運ばれてきてからは引っ込み思案だった茶トラたちも参戦して少しでもおこぼれに預かろうと猫まみれ状態。
上に乗って皿に手を伸ばしてくる猫たちとの攻防戦を制しながらの食事。
落ち着きはなく、味も満足のいくものではないが終始デレデレしながらここ数年で1番の笑顔を見せている相方を見て、これはこれでなんだか良い思い出だなと思える店だった。
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総括として - スーパーとお土産も
事前情報で持っていたイメージより飲食店の数は多かった。近年急激に観光地化され、開発が進んでいる影響で続々と出店があるのだろう。
中心部の安宿が並ぶエリアには観光客でも比較的入りやすそうなレストランやカフェなどがあるし、メインストリートでは夜になると大きなナイトマーケットが開いている。
ただ日本食レストランなどは無いし、チェーン店のようなものも一切ない。
そして基本みな半屋外の造りなので、空調の効いた店を探すのが難しい。
どの店でも英語表記のメニューはあるが、涼しさと清潔さを求めるならホテル併設の店に行くのが1番いいだろう。お高いがその分安定感はある。
日中はとにかく暑く、日差しも強いので気を付けて回る必要がある。そういえばホーチミンではよく見る道端のワゴンの店や売り子もほとんど見なかった。
■スーパーマーケットTakai
そしてコンビニはなく、ローカルのコンビニ的なパパママショップも少ないので滞在中お世話になるのは唯一のスーパー「Takai Mart Con Dao」。Google Mapで「スーパー」と入れると何軒かヒットするのだが、実際行ってみると中華系のお土産屋だったりで、本当のスーパーはこのTakaiだけだった。
中心部北東にあるHo Thanh Tong通りと中心部から北に抜けるVo Thi Sau通りの交わる角地に立つ大きな建物なので見つけやすく、2階建ての大きなスーパーだ。生鮮食品から日用品、お菓子やおもちゃまで幅広く取り扱っているので見て回るのも楽しいし、お土産を買うのにもいい。
Takaiという名前だが価格は総じて平均的で、ほんの少し高めに感じるものもあるがそれは島なのでしょうがないだろう。
ペットボトルの水や朝ごはん用のパンなどを買うのに重宝した。
■おすすめのお土産
コンダオの土産物として1番人気があるというクッキーもTakaiで買える。
白いウミガメがマスコットのBanh Quy Hat Bangという店のクッキーは島でしか取れないコンダオナッツを使用していて、その希少性と味から大人気だ。なかには何十箱と購入して発送している人もいる。
Nguyen Hue通りに路面店もあり、店内で試食も出来るがここのスーパーでも同価格で買う事が出来る。ちなみにコンダオ空港の2階にある売店でも買える。
3種類ほど味のバージョンがあって一箱60,000~80,000ドン(¥400くらい)。
バターの効いた素朴な味わいで、細長いコンダオナッツはカリッとした軽い食感。普通においしいクッキーだ。
後日ベトナム人の同僚に渡すと「すごく美味しい!」ととても喜んでいた。彼はいつも日本のお菓子などは「ふーん」という感じでリアクション薄めなのだが、このクッキーは素朴な味わいを好むベトナム人にとってストライクな味なのだろう。
朝食を含めてホテルでの食事も何度かしたが、何を食べたかは時間と共に記憶が薄れている。やはり外に出た店の方が思い出深い。ハズレももちろんあった。でもだからこそ、このアタリの3軒は今後も折につけ思い出されるコンダオの旨いものとして良い旅の1ページとなっている。