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【#2】ベトナムで1番きれいな海/コンダオ諸島 ~ジュラシックな保養所・Orson Hotel&Resort Con Dao~


ゴリラ越しにホテルを目指して

一休みしたカフェのある市街地から南西に海外線を走る。
島の外周を走るメインストリートは分岐も少なく、ナビを気にせずただ道なりに走るだけ。信号も遮るものも無いシーニックドライブは移動だけではなく、レジャーとして大満喫できる。

進行方向の半島に見えた奇岩 ”ゴリラ岩”と名付けて滞在中の目印にした

市街地から20分ほど店も何もない中を走り続け、「本当にこの先にリゾートホテルなどあるのか…」と不安になり始めた頃。
生い茂る木々の隙間から白亜の建物が見えた。

Orson Hotel & Resort Con Dao

山々を見上げるようにそびえ立つOrson Hotel&Resort Con Dao(オーソンホテル)は2022年に出来た比較的新しいホテルで、恐らくコンダオにあってプライベートビーチのある4つ星の中で一番リーズナブルに泊まれるホテルだ。部屋にもよるが、一泊朝食込み¥5,000~6,000/人くらい。
安いこともさることながら、他のホテル群からは大きく離れて島の西側にある国立公園内にある為、周囲には何もなく山と海に挟まれた静かな環境が魅力的だった。
私たちはバイクで来たが、もちろん空港送迎も行っている。

オーソンは日本語対応スタッフなどはいないベトナム資本のホテルなので、多少の英語もしくはベトナム語が必須となる。
私たちはせっかく海外でホテルに泊まるのなら海外気分を満喫したい派。あまり日本人客がいなそうな所が選ぶので、日系ホテルは極力避けている。
拙い日常会話レベルの英語とあいさつ程度のベトナム語しか話せないが、今はGoogle翻訳がある。ベトナムは観光大国なので、翻訳アプリに慣れている人が多いので困らない。

ちなみにオーソンは期待通り日本人客が少なかった。今回の滞在中見かけた日本人は私達以外では1組のご夫婦と1組のお子様連れのファミリーのみ。この日本人の方たちはいずれもマナー良く、旅慣れた感が強くしてかっこいい人たちだった。他の客層は欧米人が数組、ほとんどはベトナム人だった。

ホテル入り口
ホテル外観

ホテル前は大きなロータリーになっていて、そこかしこに生えるヤシの木と真っ白な外観がリゾート気分を盛り上げてくれる。

一歩中に入ると吹き抜けのフロントに巨大なシャンデリアが下がり、抜けには青空が見える。開放感がすごい。白と黒の大理石と金縁の装飾がラグジュアリーだ。
ちょうどチェックインの時間帯だったが、フロントには1組いるだけで混みあってはいなかった。

吹き抜けのフロント

待ち時間なくチェックイン。数名いるフロントスタッフは流暢な英語で対応してくれた。小瓶に入ったウェルカムドリンクのサービスに気分が上がる。

濃厚で甘酸っぱいフルーツジュース

ベトナムのホテルは基本的に14:00チェックインで、12:00チェックアウトが多い。追加料金を払わずにレイトチェックアウトしているようでお得感があって嬉しい。
ポーターは付かず、自分たちで部屋まで荷物を運ぶ。
エレベーターに乗ると、ものすごく良いマンゴーの香りがした。視覚的な部分だけではなく、嗅覚的にもラグジュアリーは演出できるんだなと感心した。

エレベーター前のゴミ箱には灰皿付きなのがベトナムらしい


メインテーマをかけながら…

オーソンホテルには大きく分けて山側と海側の部屋がある。
もちろん山側の方が安い。せっかくのビーチリゾート。オーシャンビューも捨てがたいが、今回はあえての山側「デラックスマウンテンビュー」という部屋を取っている。
山側の景色が”ある映画”を彷彿とさせるという口コミを読んだからだ。
私はその映画シリーズを欠かさずチェックしてきた程の大ファンで、このホテルに関しては節約の為ではなく前向きに山側の部屋をおさえた。
今回の旅程の中でも、とても楽しみにしてきたポイントの1つだ。

3階につき、部屋のドアを開ける。
この瞬間がとても好きだ。旅先の1つのハイライトと言っても過言ではない。事前に予約サイトで写真は見ているものの、実際に見ると良くも悪くも印象が異なる場合がある。予習したことの答え合わせの様なワクワクした気持ちで重い扉を開く。

部屋に入り、正面にはレースカーテンが引かれた大きな窓がある。
備品チェックもそこそこに、楽しみにしていた景色を拝もうとカーテンを開けた。大きな窓から見える壮大なマウンテンビュー。山並みとヤシの木。青い空と雲。完璧な構図の一枚絵。
期待通りの「ジュラシック・パーク」だ!

窓からの景色

写真ではあまり伝わりにくいかもしれないが、大きな一枚窓の向こうに青みがかった山の様相がまさにジュラシック。映画のロケ先は確かハワイだったと思うが、同じ南国。抜群に雰囲気がある。
初めて「ジュラシック・パーク」を観た時、大感激した私は生まれて初めて映画のサントラCDを購入した。いそいそとメインテーマを携帯で流しながら窓からの景色を眺めていると、山肌をブラキオサウルスが歩いていそうで、今にも稜線の向こうからプテラノドンが飛んできそうで。
曲がリピートでかかり続ける中、立ち尽くしたまま見とれていると相方が半ばあきれながらも「思う存分やりなさい」と窓の前に椅子を運んでくれた。
有難くそのまましばし堪能させてもらった。

映画を観た当時の事まで思い出し、感傷に浸れる大満足のジュラシック。
この映画好きの人には自信をもってマウンテンビューの部屋を薦めたい。
惜しむらくはせっかくの眺望なのに窓が少し汚れている事。雨も多い故に仕方がないことかもしれないが、4つ星ならば清掃して欲しい所だ。


部屋レポート

部屋は35㎡らしいが、広く感じられる。
入り口正面に大きな窓。入り口横にはクローゼットと冷蔵庫スペースがあり、反対側にバスルームの造り。
大きなベッドの他に一人掛けソファーとテーブルのセット、書き物用のデスクもあり過不足ない。めずらしいことにサーキュレーターが置いてあるのはポイントが高い。

ワッフル生地のバスローブとドライヤーに金庫があるクローゼット
冷蔵庫上スペース リフィル式の水は無料で2本あり

部屋中央にドーンとキングサイズのベット。
海外のホテルはダブルではなくキングになるのが良い。細かい点だがデフォルトで枕が1人2つになるのも贅沢な感じがして嬉しい。

ベッドは固すぎず、柔らかすぎずとても寝やすかった

気になる水回り。というか、気になるガラス張り。
バスルームと部屋の間はガラス張りになっており、丸見え仕様なのは何故なのか…。浴槽だけでなく、トイレまで丸見えでは落ち着かないが、一応ロールスクリーンが付いており、目隠しすることは出来るようだ。
大きなバスタブが嬉しい。シャワーは手に持てるヘッドとレインシャワーのW仕様で水圧も温度も申し分ないが、ガラスパネルで部分的に仕切ってあるだけなのでシャワー後にトイレの方まで濡れてしまうのが気になる。
トイレはウォシュレットではないものの、トイレットペーパーをそのまま流せる。このグレードのホテルならまあ当然なのだが、実はベトナムでは配管の都合上、水洗だとしてもトイレットペーパーは便器に流さず、備え付けのゴミ箱に入れるようになっている所も多いのだ。

新しいホテルだけあってキレイな水回り

部屋探訪を楽しんでいると、ふと暑いことに気が付いた。どうやらエアコンが稼働していないようだ。何度かスイッチを押してみたが反応がない。
仕方がないのでフロントに連絡するとすぐに作業員が来てくれた。首を捻りながら数分格闘するも「不具合ではなく、電力の問題だ。”停電”の関係だからしばらく待ってくれ」と言われる。
どうやらオーソンホテルは国立公園内にあることもあってか、日に2度計画停電するらしい。部屋に置いてあった案内を読むと13:00と23:00の2回、約1分間停電し、エアコンはその後10~15分待ってから再起動とのこと。
これがなかなかにうざったい。自然保護やエネルギー節約の為しょうがないことだと分かってはいるが、記載されている時間以外でも滞在中しょっちゅう停電したので、そのたびに再起動する必要があった。
私たちは外で過ごす時間が長かったからいいが、ホテルは室内でひたすらゆっくりしたい人にとってはストレスになるだろう。

プライベートビーチとインフィニティプール

時刻は夕方。日中は熱すぎて入れなかった海もそろそろ適温だろう。
ホテルの1階に降り、海を見に行くことにした。

フロントのちょうど裏側にカフェカウンターがあった。
ここで飲み物や軽食を頼んでプールサイドで楽しむことも出来るらしい。リゾートホテルならではの贅沢だ。
安い!とはならないホテルプライスだが、高すぎる!という程でもない。
周辺に何もない環境なので、ホテルステイをゆっくり楽しむならここが昼食の第一選択肢になるだろう。

カフェカウンターで飲食している人はいなかった
ドリンクメニュー アルコールは一杯¥900くらい
軽食メニュー

カフェカウンターの正面からポーチの様な広いスペースを抜けるとプールゾーンがあり、そこからビーチにアクセスできるらしい。
ピークは過ぎたとはいえ、スカッ晴れの日差しはまだまだ強い。
盆踊りでも出来そうなほど広いポーチを抜けてプールを目指す。

プール側から見たホテル こちら向きがオーシャンビューの客室だろう

インフィニティプールは上段と下段の2段構成になっており、途中に植生はあるものの、まごうことなきインフィニティ。
クッション付きのビーチチェアーとパラソルもあり快適そうだ。ライフガードのスタッフもきちんといる。なにより混んでいないところが気に入った。
左横の白い建物に更衣室やシャワーもあって、ここでビーチタオルも借りられる。

空、海、プールの青一色が美しい

プール横の道を下っていけばビーチに抜けられる。
まずは先に海をチェックしに降りて行った。
途中、木立の中で涼んでいる黒い犬を見つけた。ホテルの犬だろうか。寝方が堂に入っている。涼しいポイントを熟知しているのだろう。

ビーチへの下り道

ビーチにはそこそこの人がいた。といっても10人ちょっとといった様子で混みあってはいない。
左右を岩に挟まれた入江のようになっており、クリアからエメラルドグリーン、青、濃紺へのグラデーションが美しい。
数脚のチェアーやベンチにハンモックがある。ここにはライフガードはいないようだが救命用浮き輪は備え付けてあった。
”ビーチ”というには砂浜部分がなく、コンクリブロックからの崩れかけの階段を使ってのエントリーになるので小さい子どもには難しいかもしれない。

ビーチサイドの様子
フォトジェニックなハンモック

ガッツリとしたシュノーケリングは海のコンディションが良い明日の午前中にする予定だが、下見とばかりに海に入ってみた。
透明度は本当に申し分ない。沖縄とまではいかないが、グアムの海よりはずっときれいだ。下は真っ白な砂で足あたりもいい。ただ”手つかずの自然”といった様相なのでマリンシューズは履いた方がいいだろう。
ゴーグルをつけて覗いてみるとキラキラとした小魚も見える。
少し泳いでみたが、魚を見るにはエントリー部分から離れて左右の岩場に近づいた方が良さそうだ。
それにしてもきれいな海だ。クリアな水質の海は全く磯臭くないし、ベタベタしない。漂っているだけで、心のどこかが充電されていくような感覚だ。
求めていたものを得られて満ち足りた気分になった。

日が傾き始めると皆一斉に海から上がっていったので、私達も海を切り上げてプールへと移動した。
プール付きのホテルでは海のあとプールで砂や海水を落とせるのがいい。
そのままプールサイドでサンセットを楽しもうと思ったが、こちらは東向きなので日の入りは楽しめなかった。
でも波音と潮風を感じながら変わっていく空の色を見ていられるのは十二分に贅沢な時間だ。
ぼーっと空を眺めていると、飛行機に乗ったのがまるで昨日のことのように感じられる。時間の密度が濃い。良い旅の証拠だ。

プールサイドからの夕景


残念なディナータイム

普段はあまりホテル内で夕食を取ることはないが、このホテルに関しては周辺に飲食店がないのでレストランに行くことにした。
車で15分ほどの距離に観光客に人気の海上海鮮レストランがあるらしいが、初日の移動で疲れていたので「近さは正義」だ。

1階のレストラン入り口 朝食会場も同じ場所

入り口から正面にバイキングコーナーがある。これは恐らく朝食用のコーナーだろう。左右にテーブルがあり、座席数はかなりある。
20:00頃に行ったが、ほとんど客がいなかった。それなりに宿泊者はいるはずだが皆外に食べに出ているのだろうか。

基本は4人掛けのテーブルセット

席につくとセッティングされたナプキンがハート型になっていた。手先の器用なベトナムらしいサービスにほっこりする。

メニューは料理の写真はないが、全てに英語表記があって見やすい。
伝家の宝刀Google翻訳も実はベトナム語だとかなり精度が低い。「月の世の夢」などという訳の分からない翻訳を出してきがちだが、英語だときちんと和訳になるのでどんな料理かが分かる。

一品料理とベジタリアンメニューに鍋など
パスタにサイドディッシュとデザート
ドリンクメニュー

ざっと見た感じではいわゆる洋食とベトナム料理のラインナップ。
そしてフライドポテトで¥1,000くらいのホテルプライス。なかなかにお高い。
そこまでの価格で食べたいと思うものが見当たらず、うなっているとデイリースペシャルという2人分のセットメニューを見つけた。
ベトナムコース(ASIAN DISH)と洋食コース(WESTERN DISH)の2種類があって、品数の少ない安いコースで40万ドン(¥2,300くらい)。
少ないと言ってもベトナムコースの内容は揚げ春巻と茹で野菜、豚バラの煮込み、豚ひき肉入りスープ、ごはん、果物にアイスティー。
この内容で飲み物付きで2人分はかなりお得感がある。やはりメニューは隅々まで確認すべきだ。満足のいく注文にほくほく顔の私だった。この時は…。

"SPECAL"となっているが恐らく"SPECIAL"だと思われる

ウィスキーグラスの様なコップに入ったお茶が運ばれて、チビチビ飲みながら待つこと10分。…20分。…30分。料理が何一つ出て来ない。
浮かれた旅気分で初日の感想などを語り合っていたが、徐々に会話も無くなる45分待ち。グラスの氷もとうに溶けてしまった。
あまりに遅すぎる。他の客は2組ほどしかいないというのに。オーダーが通っているか心配になる時間だ。
やや1時間になろうかというタイミングで、しびれを切らしてスタッフを呼び、あとどれくらいかかるのかを聞いてみた。
若いスタッフが「厨房に確認する」と戻っていった後で、マネージャーらしき女性が「申し訳ない。あと5分ほどで提供する」と説明にきた。
そうすると本当に5分で来たのだが、あまりのタイミングにもっと早くに聞いても「あと5分」で出てきたのではないかと邪推してしまった。

そしてその内容も…。言葉は悪いがとても貧相なもので、ホテルというよりまるでローカルレストランの様な内容だった。スープはぬるく、果物は変色している。
安いコースとはいえ、想像以下のビジュアルとこの料理を1時間も待ったのかという疲れで全く食事を楽しめず、残念なディナーとなってしまった。

夕食のコース

なんだかすっかりこのレストランに期待出来なくなってしまった。
翌朝のビュッフェも4つ星感はなく、いたって普通のベトナム料理が多めのラインナップ。焼きたてのオムレツやタコさんウインナーなどあるものの、昨晩の経験から期待値低く臨んでしまったせいかもあるのかもしれないが、食事に関してはあまり満足のいく滞在とはならなかった。

朝食ビュッフェ


高級ホテルというより、よさげな保養所

総括して、オーソンホテルの立地は素晴らしい。アクセスの不便さはあるものの、だからこその静けさと自然に囲まれた環境は他の場所では得難い。
混みあってもいない為、プールやビーチもプライベート感が高く楽しめる。
何よりビーチが良い。今回、コンダオの数か所でシュノーケリングをしたが環境や設備面を合わせるとここのビーチが1番楽しめる。

ただ全体的にラグジュアリーな”リゾートホテル”感は弱い。
だだっ広い設備に少なめのスタッフ。かゆいところに手が届くようなサービスは無く、各々が勝手に楽しむといった雰囲気だ。日本でいうところの4つ星ホテルではなく、ちょっと高級な国民宿舎、さながら”かんぽの宿”的な風合いといった感じ。

だが、料金的には満足できるホテルではある。
朝食付きで1人¥5,000程ならば、自然やビーチを楽しむために上記の点を踏まえた上で泊まるのは悪くない。
くれぐれも”高級4つ星ホテル”をイメージして行かないことがオーソンホテルを楽しむポイントだ。

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