【#1】ベトナムで1番きれいな海/コンダオ諸島 ~空港レポ/行き方と交通手段~
ディレイは日常茶飯事
天気予報を気にしながら、指折り数える出発日。
行く前からもう、旅は楽しいものだ。
出発前日、ベトナム航空から2時間遅延すると連絡が来た。
ベトナムで飛行機の遅延は当たり前。
ベトナム航空ならば遅延しても数時間程度で済む場合が多いが、ベトジェットは数時間ならマシ、ひどい時は7~8時間程遅延したり日付をまたいでしまうようなケースもある。日本間隔ではそれはもう遅延ではなく欠航・振替便の感覚だ…。
特に気象条件など分かりやすい原因があってもなくても頻発するので、余裕を持ったスケジュールにするのと随時更新情報を確認することが必須になる。
今回のようにまだ前日に連絡が来る分、空港でスタックしないだけマシだとは思いたいが、どうせ遅延するなら6時台の始発便で取れば良かったと若干後悔した。
タンソンニャット空港(国内線)
2024年4月28日快晴。
タンソンニャット空港まではタクシーで20分ほど。Grabで呼べば時間帯にもよるが15万ドン(¥910)くらいで行ける。
空港は国際線と国内線でターミナルビルが違う。
タクシーのドライバーには「International(国際線)」か「Domestic(国内線)」と言えば通じるので間違えないように気を付ける(まぁ10分~15分位歩けば移動は出来るが…)
実は国内線ターミナルに行くのは今回が初めて。
着いて驚いた。ターミナルビルの大きさは国際線とほぼ変わらない。
なんならタクシーレーンにカフェやマクドナルドまで入った大きなショッピングモールまであって国内線の方が便利だ。
中に入るとAからHまでのチェックインカウンターに大量の人!人!人!
ベトナムでは鉄道は1路線しかなく、とんでもなく時間がかかるため国内の移動はもっぱら飛行機移動がメイン。
だからか、まぁとにかく長蛇な列がそこかしこに。そしてその列は遅々として進まない。なぜ進まないのか分からないのがベトナムあるある。
下手すると1~2時間はかかってしまうので、事前オンラインチェックインはマストで行いたい。便や座席にもよるが、たいてい無料で行える。
スーツケースなどの預け荷物がある際はどっちみちカウンターに並ばなければならないが。
オンラインチェックインと言えば…
出張の多い相方の会社の同僚であるベトナム人のF君はオンラインチェックインが使えないらしい。
何故かを航空会社に問い合わせた所、F君と同姓同名の指名手配犯がいるからだって。別人だって説明してもシステム都合上なのか改善してもらえずに困っている。ひどい話だ。
チェックインが終わると2階にある待合ロビーに進むのだが、その前にIDと荷物チェックがある。国際線と同じように身分証と搭乗券をチェックされるので、パスポートを忘れないように要注意。
もう一つ注意したいのが「Baggage inspection」のモニター。
預け荷物に問題があった時はここに自分の名前が表示されるので、チェックインカウンターまで戻らなければならない。
私も前に国際線でうっかりモバイルバッテリーをスーツケースに入れたままにしてしまって戻ったことがある。
特に放送で呼ばれたりはしないし、仮に呼ばれてもベトナム語では分からないので自己責任できちんとモニターを確認する必要がある。
無事に審査カウンターを通過して待合ロビーへ。
広々とした空間に大量のベンチ。思っていたよりお店がたくさんある。レストランや売店、お土産屋に高級ブランドショップや免税店らしきものまで。ベトナムでは珍しい自動販売機もあった。
値段は軒並みお高めで、スーパーの2~5倍といった感じか。ペットボトルの水で23,000ドン(¥134くらい)、コーラで48,000ドン(¥280くらい)だった。
特にレストランはちょっとビックリするくらいの値段設定で気軽さはない。聞くところによると味もそれなりらしいので、空港内で飲食は避けた方が良さそうだ。
とはいえ、朝一の出発でディレイも発生している為もう昼近い。
コンダオに着いてからすぐには食べ物にありつける保証もないので軽く小腹に入れておきたい。
ひとしきり見て回った中でテイクアウトの軽食コーナーが比較的安めだったので、そこでバインミーを買い、つまみながら搭乗を待つことにした。
3時間30分遅れの搭乗
バインミーを食べ、一通りフロアをパトロールし終えたが、予定時刻になっても一向に搭乗案内が始まらない。
搭乗口の案内を確認したら更に遅延していた。また1時間のディレイ。8:10のチケットを取ったはずなのに、結局搭乗開始は11:30に。
実はチケットを取る段から若干嫌な予感はしていた。
というのも、基本的にホーチミン発→コンダオ行きの飛行機は1時間に1本のペースであるものの、予約表示画面では15分おきや5分おきの便まであった。「本当に全部飛ぶのか~?」なんて冗談半分で言っていたが、やはり全部は飛ばないのか…。
11:30を過ぎて、ようやく搭乗開始。
搭乗カウンターを抜け、エスカレーターに乗って機体への移動バスに乗車。
乗った時になんとなく周りの人のチケットを見たら皆持ってるフライト時間が違う…。予約の時間がどうこうではなく、一定数乗客が集まったら飛ばすシステムなのか…謎だ。
そしてこのバスに満員詰め込まれてから15分ほど何のアナウンスも無くただ待機。そして何のアナウンスも無く急発進。スニーカーの両足で踏ん張ってなんとか耐えた。こういったサービス面もやはり日本とは大きく違うところだ。
乗り降りはスムーズにしたいと事前座席指定で最前席のA席を予約していたが、コンダオ行きは小さい飛行機なので乗り口が後方に付いていた。失敗。これもまた勉強だ。
だが最前席のおかげで足元が広かったのでゆったりと座れたのはよかった。
乗客はほぼ全員ベトナム人。私たちを含め外国人はほんの数人といった感じ。複数便の乗客がいるだけあって機内はほぼ満席だ。
離陸して10分ほど飛行するとブンタウの沿岸が見えてきた。ブンタウもホーチミン近郊のビーチリゾートらしいが、やはり街の河口沿岸は茶色い。
はたしてコンダオの海はどうだろうと不安と期待が入り混じる。
コンダオ空港に到着
真っ青な海上を飛ぶこと30分ほど。
遠くに見えた島影に近づきそのまま降下。ビーチを横目にランディング。
心配していた割に機体は揺れず、着陸もスムーズなもので上手なパイロットさんに感謝。
コンダオ空港はとても小さい。滑走路が1つだけ。
保安上の問題だろうか。機体から空港ビルまですぐそこなのに、ここでもバスに乗らなくてはいけない。乗車時間は1分にも満たない。
ターンテーブルは1基のみ。出入口も1か所のみ。離島感がある。
ターンテーブル前には無料のウォーターサーバーがあった。
空港1階にはタクシー会社のカウンターが2つと小さな売店が2つ。
ホテルの受付デスクが3つあった。
そしてさすがはSix senses!ちゃんと出入口で小綺麗なスタッフが笑顔でスタンバイしている。他にもいくつかのホテルが案内板を掲げて待機していた。
空港は島の東側にあり、市街地まで車で20分ほどとそれなりに離れている。
コンダオ(コンソン島)はほぼタクシーが走っておらず、Grabも使えない。バスもない。空港で出待ちをしているタクシーもいない。
なので通常はホテルなどの送迎に頼ることになる。
空港前の駐車場には送迎車がずらり待機。
ちゃんと車にホテル名が書いてあるか、スタッフが待機してくれているといいが、乗合バスで送迎となるとどれに乗ればいいのか分からなくて困りそうだ。実際困って立往生している人たちもいた。
自社で送迎バスを出しているような比較的大きめのホテルを取るか、事前にホテル側と送迎に関してメッセージできちんとやり取りしておくのが大事になる。
今回、ホテルは①Orson Hotel&Resort Con Dao(オーソン)をTripで、②The Secret Resort(シークレット)と③Garden House Con Dao(ガーデン)をAgodaで取ったのだが、この事前やり取りに差があった。
アプリの差か、それぞれのホテル対応の差なのか判別はできないが、①はメッセージを送っても直前まで返答がなく、結局当日まで送迎に来てくれるのか不明瞭なまま。
②③にかんしてはほぼ即時反応で返答があり、ストレスなくやり取りが出来た。
空港でバイクを借りる
さて、私たちはそんな送迎バスを横目にバイク移動だ。
滞在中に移動の為にどうせレンタルバイクをするなら、もう空港でバイクを借りてしまった方が自由度も高く楽しめるだろうと考えた。空港送迎もホテル指定の時間に合わせると中途半端な時間のロスが生じてしまうし。
ということで、Google Mapで適当に探した地元のバイクショップにベトナム版のLINEであるZaloを使って事前にコンタクト。
「空港にバイク持ってきてくれる?」「いいよ!」と約束を取り付けた。
このバイク移動の為に荷物もなるべく削減してスーツケースではなく、いい大人たちがバックパックスタイルで乗り込んできたのだ。
「空港ゲート出た所で待ち合わせね」となっていたので、ゲートを徒歩で通過。他に徒歩で出ている人もいなく、呼び止められたらどうしようと緊張したものの何も言われずにスルー。
1か所しかないゲート、出たらすぐ会えるだろうと軽く考えていたが、誰もいない。というか道の両脇は木ばっかりで何もない。いくつかバイクや電動バギーが停まってはいるが、人影はなし。
Zaloで連絡するも「もういるよ」「すぐ行くよ」との返事。いや、どっちやねん!と軽く途方に暮れた。
カンカン照りの炎天下を少し歩いた所でローカルカフェを発見し、そこで待つことにすると親切なベトナム人兄ちゃんが片言英語で声を掛けてきてくれた。バイク店の人と電話で話してもらって、もう向かっているからこのカフェで落ち合うことを取り付けてもらった。
こうゆう時、ベトナム人は本当に優しい。
街でスマホ片手にオタオタしていたり、屋台で注文できずにマゴマゴしていると大抵声を掛けてきてくれる人がいる。もちろんぼったくりが多い場所での声掛けには注意が必要だが、基本的に善意の親切心で英語(もしくは日本語)で助けてくれるのが有難い。
欧米圏ではこうゆう経験はあまりない。タイや東南アジア特有の優しさか。
単純なもので、こうやって助けてもらう度にベトナムを、ベトナム人を少し好きになる。
なので、自分も日本で困っている外国人を見かけたら「あまり英語上手くないし…」と臆せず声を掛けたいと思う。ペイフォワードではないけれど。
少し待ってると道の奥から上下柄物ベトナムスタイルなオバちゃんが黄色いバイクで颯爽と現れた。
もしかして?と思ったらやっぱりそうだ。良かった!会えた~!と一安心。
ちゃんとヘルメットも2つ持ってきてくれた。
黄色いVision良いじゃないか。あまり見ない色合いだから目立って良い。
料金は1日15万ドンで計60万ドン(¥3,644くらい)。
4泊5日の利用なので実質1日分タダだった。
特にデポジット(保証金)やパスポートチェックも無く、その場で現金取っ払い。帰りは空港のゲート前に乗り捨てておいていいよ~という気軽さ。
なんにつけ適当にされる事が多いベトナムは、悪く捉えるといい加減で、良く捉えるとフレキシブルで自由だ。慣れてくるに従って良く捉えられる様になってくる。この”良い加減”がベトナムらしさなのだ。
乗り出し前に確認したらガソリンがほぼ入っていなかったので、オバちゃんに言うとその場でカフェの奥からボトルを持ってきて給油。
軒先給油はベトナムあるあるだが、現在はもう法律で禁止されてるらしい。
めっちゃグレーな所業だが、まぁ有難い。
親切に助けてくれたお兄ちゃんにチップを渡そうとしたけど固辞されたので、深々と感謝を伝えて、バイク屋のオバちゃんはどうやって市街地に帰るのか心配になりながらもいよいよ走り出す。
芳醇な島風に吹かれて走る
目的地は本日のホテルOrson Hotel & Resort Con dao。
このホテルは市街地から南西に離れた国立公園内にあるので、Google先生曰く、所要時間は約40分。
走り出してすぐに気づく。このバイク、スピードメーターが壊れている。
だがこれはベトナムバイクレンタルあるあるなので、あまり気にしない。
はなからそんなにスピードを出さなければいいだけなので。
気にするのはミラーが両サイドちゃんと付いてるか、ウインカーやライトはちゃんと付くか、シートカバーはちゃんと開けられるかってところだ。
あとキーホールカバーは閉めていいのかちゃんと聞かないと、閉めたあと開けられなくなって困った事があるので要確認。基本閉めないでっていつも言われる。
コンダオはバイクで走りやすいとは聞いていたが、本当だった。
まず交通量が少ない。たまに対向車がいる程度。
そして道がきれい。まっすぐな道に新しい舗装。
ホーチミンは中心部でもアスファルトが割れてたり、轍やひび割れ、デコボコしてる所があるのに、コンダオの道は本当にきれいで走りやすい。
空港から市街地までの道はずっと海岸線。
上から見る海は茶色くない。濃紺からエメラルドグリーン、白い砂浜へのグラデーション。そして走り出して気づく。空気がきれいだ。久しぶりの自然の香り。海、緑、花、土。それらが風の匂いとなって鼻腔をくすぐる。
空港到着から今まで、緊張感で気が付かなかった。
早くも今回の旅先をコンダオにして良かったと、胸いっぱいに自然を吸い込んだ。
半島回りにぐるっと山中を走る。山の緑と海の青しかない。ホーチミンには山がないので、期待していた海と同じくらい視界にあふれる緑に癒される。
途中でコンダオで1番の高級ホテルSix sensesと2番手のPoulo Condleの入り口を通り過ぎた。両者ともすごく小さなエントランスで、その奥にとてつもなくラグジュアリーな空間があるようには見えなかった。
空港から15分くらいしたあたりで、ようやく街の端に到達したらしい。建物やお店が出てきた。カフェやアイス屋がある。道幅も広くなり、両サイドにカラフルな旗が立っている。
青空にビビットカラーな旗たちが南国気分を盛り上げてくれている所に「Beach」の文字が。どうやらここは「Bai Lo Voi」というビーチらしい。
我慢できずにビーチに寄り道。バイクで砂浜ギリギリまで入っていけた。
時刻は14:00くらい。松林の奥に真っ白な砂浜。
クリスタルに透明度の高い海。
そして誰もいない。こんなにきれいなビーチが貸切とは。
喜び勇んで海に足を入れて驚いた。これはまるで足湯だ…。
「ベトナム人は夕方以降しか海遊びしない」というのは有名な話。
なるほどその理由がよく分かった。これは無理だ。ぬるいを通り越してもはや熱い。温泉&サウナ巡りで鍛えた体感で40℃くらいはある。
こんな中で泳いだらすぐのぼせてしまう。というか、魚たちはどうしているんだ。死んじゃわないのかってくらいのお湯だ。
海遊びはまた夕方以降にするとして移動を再開。
コンダオの市街地は思っていたより栄えていてお店やカフェもある。
たしかに外国人が入りやすい欧米的なショップは少ないけども、ローカルショップもキレイ目な所ならば入りやすい。
フェリーターミナル前のカフェで
ちょうど目的地のホテルまでの中間地点にフェリーターミナルがあった。
ホーチミンから車で2~3時間ほど南下したブンタウという所からコンダオまでフェリーが出ている。
船旅も魅力的ではあったが、この船は便数が少なく(一日一便朝のみ?)4~5時間かかるらしいので今回は飛行機にした。
最近新設された新港らしく、近代的で立派な建物だ。
ターミナルを眺めながら、その前のカフェで小休憩することに。
ローカルのドリンクショップに入る時の目安はまずは清潔感。作業場がきれいかどうか、店員さんに清潔感があるかどうか。そして何よりお客さんが入っているかが大事。
常に高温多湿のベトナム。食材は基本常温保存なので傷みやすい。
食べ物屋もそうだが、回転率の高い所の方が素材も安心なのだ。
ベトナムでお茶といえば「Tra tac(チャータック)」。
金柑の果汁入り紅茶。どこのドリンクショップにもあって、街中のどこででも買える。金柑の爽やかな酸味がのど越し良く、ベトナムの気候にベストマッチ。
ただ普通に頼むとかなりの量の砂糖が入れられるので「less sugar(砂糖少なめ」か「No sugar(砂糖なし)」と言うのがオススメ。←この英語は大抵通じる。ちなみにベトナム語では「khong duong(コン ドゥオン)」と言う。
もう一つはイチゴのスムージー「Shin to(シントー)」にしたが、これは失敗した。
フルーツ大国ベトナムはフルーツジュースがどれも安くて美味しいが、イチゴのようにベトナムであまり取れないものは果物じゃなくて既製品のジャムやシロップで作られるのでフレッシュではなくあまり美味しくない。
店先に積んである果物の中から選ぶのが間違いないんだな、と勉強になった。
海を見ながら島風に吹かれて小休止。
くつろぐ地元民たちにまじってスカッ晴れの青空を眺めていると旅に来た実感がふつふつと湧いてきた。心が完全にオフモードになったようだ。
穏やかで、それでいてワクワクとした高揚感がある。
ここでゆっくりとしたい気持ちに後ろ髪を引かれながら、ホテルを目指すために重い腰を上げることにした。