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更新!「オーディオファイル書き出しについて」Ver2.0

前回、音楽制作においてのファイルのやりとり、お作法的な話をアップしたら自分が思ってた以上に多方面から反響があった。今回は何故この様なテキストを書こうと思ったかを話していきたい。

僕は普段レコーディングエンジニアと仕事をしている中で作曲家、編曲家、アーティスト、ミュージシャンはじめ、いろんな方からデータをいただく。そして、そのデータというのはいわゆるオーディオファイルというやつである。

どんなタイミングで貰うかというと、作曲家さんや編曲家さんがDAWというコンピューター上の音楽ソフトで曲作りをし、作った音をオーディオファイルに書き出し、その書き出したデータをもとににスタジオでミュージシャンを呼んで生楽器を録音したり、アーティストの歌を録ったり、もしくはそのままミックスしたりする流れで曲は完成していく。僕はそのスタジオで録音をする過程やミックス作業するタイミングで曲としてのオーディオファイルデータ受け取る訳である。

僕がアシスタント時代はまだこの様な流れはなく、スタジオにわざわざ沢山のシンセサイザーをマニピュレーターという職業の方が持ち込み、作曲家さんや編曲家さんが音を注文するとマニピュレーターさんが要望に沿った音を出し、それをエンジニアさんが適切なレベルでテープレコーダーに信号を送り、アシスタントがそのテープレコーダーをオペレートして音を積み重ねていく作業が一般的であったし、そうやって時間をかけて音楽を作るのが当たり前だったのだ。

時代が進みコンピューターの著しい発展と進化で高速化し、レコーダーがテープからコンピューター上のソフト、DAWへと変わっていったのだ。そうすると、スタジオでわざわざ音色を決めながらテープレコーダーに流し込んだ文化はなくなり、いつの間にか作曲家さん自らがシンセサイザーの音色を操り、DAWで作曲し、スタジオで使うオーディオデータを作る様になったのである。

それまで、スタジオでテープレコーダーに流し込んでいた時代はテープに録った音はキューシートと呼ばれる紙に何を録音したか、アシスタントが手書きで記していた。例えば、歪んだエレキギターならDist Gtr(ディストーションギターの略)などとテープを聴かなくても何が入っているか一目瞭然分かる様に記していたのである。しかしそれが先に話した時代と共にスタジオで流し込む作業が無くなり、作曲家さん、編曲家さん自ら書き出したオーディオファイルにネーミングするというものに取って代わったのである。


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そうなってくると、各スタジオのアシスタント同士で何となく共通の認識としてキューシートに書いていた音色のネーミング文化が薄れていった様に思う。「ある程度どんな楽器なのか分かれば良いだろ」という意見もあるが、スタジオでの作業はミュージシャンやアーティストを待たせることなくスムーズに行いたい。どんな音色なのか何度か聴かないと把握できないネーミングトラックや、テンポも不明、レベルオーバーしてるトラックや、クリックも入ってないことも増えてきた。それらのことがある程度「お作法」的に揃って入れば、余計な時間を使わないで済むし、待たせるだけで無く、音楽制作予算にも優しい。なにせ日本のスタジオ料金は1日に何十万もするからなのだ。

受け取る方のエンジニアさんのみならず、例えば渡す側が新人の作曲家&編曲家さんだった場合に、プロの現場へデータを渡す時にどうしたら良いか困ったりしないように、これを押さえておけば良いのでは?と思うものをテキストにしておいたら、皆んなHappyになるのではないかと思ったのだ。

もちろん、これが絶対ではないし「こっちのが便利」という意見もあって良いと思うので、僕が考えた「オーディファイルの書き出しについて」はまだこれからもバージョンアップしていくに違いない。

このテキストを読んで頂き、ある程度の「お作法」としての共通認識で音楽制作がスムーズになることを願って。


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