秋になると東京芸術大学作曲科では歌曲演奏審査が行われていた。
ある学生は、
田村隆一の「詩集1999」 の詩にのせて歌曲を書いた。手作業で書いた後、楽譜制作ソフトのプラグインで音列を抜き出して前奏後奏にしたり、ベルクの「抒情組曲」の総音程音列を用いたり、DNAを模した完全4度協和音程の組み替えによる12音技法を用いて、
歌曲演奏審査のために
”全音符と二分音符”のピアノ伴奏からなる
「白い譜面」を頑張って書き上げた。
K先生が、その学生の発表曲の表紙をめくった途端(舌打ち)、そして振り返って。
K先生「君、音が漏れてくるからドア閉めてきて」
(( 譜面が白いぞ〜 ))(心の声)
学生「了解です!」 (( 笑 ))
Mさんは不可をつけるし、近藤譲さんは抗議したそうだし。
温情かわからないが、他の先生は良い点をつけてくれたそうなので進級はできた。
すったもんだの末、教官室でハイフン( - )とアンダーバー( _ )の区別がつかない助手とメールアドレス登録の手続き後。
振り返ったら夏田昌和さんがいて、優しく微笑みかけられたのは彼の記憶に残っている。