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竹の一斉開花現象に挑む300年計画

皆さんの近くにも竹藪があったり、食用としてタケノコを食べたり、とても身近な植物です。エジソン電球のフィラメントに京都のタケが使われた、なんてエピソードもありますね。僕は赤坂のGE日本支社へ伺った際にエントランスでそのタケが育てられているのを見たことがあります。日本には500種類以上のタケが生息しているそうです。代表的な種類としてはマダケ、ハチク、モウソウチクの3種類があります。

タケは通常、地下茎からタケノコが直接生えることでふえていく。次々とタケノコが生えることによって生息域を広げて竹藪となるが、これらの竹はすべて遺伝子が同一のクローンです。竹藪全体をひとつの生き物として見ることもできます。

そんなタケノコ方式で増えていくこの植物ですが、ごくまれに開花することがあります。たとえば真竹(マダケ)の場合、120年の周期で開花すると考えられています。しかも異なる地域にいる竹もシンクロしたように一斉に開花し、枯れてしまいます。直近では1960年頃に全国的に開花しています。その開花後マダケの竹林が一斉に枯死したため竹材が不足し、プラスチック製品が普及するきっかけになったといわれています。タケがなぜこのように極端に長い周期で開花するのか、120年はどうやってカウントするのか、謎に包まれています。例えば1960年の一斉開花では日本各地はもちろんのこと赤道直下インドネシアでも同じタイミングで現象が確認されています。考えられそうな温度や季節、日光でカウントしているのであれば日本と同じタイミングを取るのは不可能だと思われます。

ハチク(淡竹)も120年周期と考えられています。直近は1908年前後に開花したことがわかっています。そうすると次の開花ピークは2028年頃といわれてきましたが、竹林ごとに多少のズレがあるため、昨年くらいからチラホラと開花のニュースが届いています。昨年は千葉県大多喜町、今年は福井県鯖江市、富山県高岡市、愛知県のニュース記事が確認できます。本当に120年周期の一斉開花が見られるのか、一生に一度あるかないかの貴重な機会ですので注目して見守っていきたいと思います。

最後にモウソウチクです。これは67年周期と考えられています。「北の国から」でお馴染みの東大付属演習林では300年計画でモウソウチクの調査が進められています。ここでは1930年生まれの株が1997年に開花しています。みごと67年ですね。この株は京都府や埼玉県の演習林でも同時進行していて、同じ1997年の開花が確認されています。何かしらの仕組みで67年をカウントしていることも分かりました。次は2064年、2131年、と調査は続きます。日本の科学、特に基礎研究分野の衰退が叫ばれる今日この頃ですが、人知れず300年という遠大な計画を認める懐の深さもアリ、まんざら捨てたもんじゃないなと思いました。


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