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リングラン叙事詩  外伝 語らいの途(みち)

ガルハース スレイアール王国国王
オーファス スレイアール王国騎士団大隊長
ルークス スレイアール王国魔導士長
ザジウルハス ザスアル公国公爵
カーン ザスアル公国聖騎士団長
ギリアム ザスアル公国商業監督長
アリエンゼス リーデランド王国女王
ローレイス ローレイス公国国王


ガルハース オーファス、支度は良いか。

オーファス はい、国王陛下。同行させる小隊も準備万端です。

ガルハース ルークス。しばらくの間デムニアを頼む。

ルークス もちろんです。オーファスさん、あの方と久しぶりの再会になるわけですか。

オーファス ルークス様。はい、その折にはあの方に本当にお世話になりました。改めて感謝を申し上げることができることは、このオーファスにとって誠に僥倖です。

ルークス そうですね。

ガルハース では、出発する。

ルークス 陛下。長旅になるでしょう。くれぐれも道中お気をつけて。

0)フシラズの森の入り口の近くにて

ガルハース この場所は・・・懐かしい。あれから随分と時が経ったな。

0)回想

ガルハース 貴様らか、モーリスタティアからの偵察者とは。ほう、人間3人とドワーフ1人。随分と珍しい組み合わせだ。そこにいるのがザスアルの聖騎士団の長か。傭兵になっているとは、随分とおちぶれたものだ。

アルフレッド カーンがザスアルの聖騎士団長だと・・・

カーン 貴様・・・

アルフレッド 貴様、何奴。

ガルハース 貴様ら如きに名乗る価値もないが、礼儀として教えてやろう。我が名はガルハース。スレイアール帝国の騎士だ…

ガルハース オーファス。一旦、ザスアル公国を目指す。

オーファス 承知いたしました。小隊!ザスアルの地を目指す。皆、遅れずに着いてこい!

ガルハース ザスアル公国…陛下への謁見が叶うな…

ザジウルハス スレイアールからガルハース国王直々に来訪されたとな。すぐに応接の間へ向かう。

0)応接の間

ガルハース ザジウルハス公、謁見が叶い光栄です。

ザジウルハス スレイアール国王、良くおいでくださった。最大限のもてなしをさせていただきたい。充分にくつろいで欲しい。

カーン 陛下、承知いたしました。衛兵、宴の用意を。それとギリアムにここへくるよう伝えてくれ。
衛兵 はっ!かしこまりました!

0)衛兵、応接の間から退室する

カーン ガルハース!久しぶりだな!元気そうじゃないか!

ガルハース ああ、ザスアルの再興への尽力さすがだな。

カーン まあな、ザジウルハスの人望は中々だ。ザスアルの民も安心して暮らしている。

ザジウルハス この国の再興は余の命に代えても成し遂げること。民の献身には感謝しかない。

カーン ここには俺たちしかいない。もっとくだけていこう。

ガルハース しかし…陛下の前で

ザジウルハス カーンよ。確かにそうであるな。ガルハース、本当に良く来てくれた。ありがとう。

ガルハース いえ、こちらこそ。陛下、お元気そうで何よりです。

0)ギリアムin

ギリアム 忙しいのになんのようだ!入るぞ。

0)扉を開ける

ガルハース おお、ギリアム!

ギリアム なんじゃ、ガルハースではないか?何をしにきたんじゃ?

カーン 馬鹿野郎、リーデランドへ行く途中にわざわざ寄ってくれたんだ、少しは愛想良くしろ。

ギリアム ふん、来てくれと頼んだ覚えはないわい。

ガルハース 相変わらずだな(笑)

カール 嬉しいくせに、照れ隠しもそれくらいにしろ、ドワーフ。

ギリアム なんだと。

ザジウルハス 二人ともそれくらいにしてくれ。この二人はいつもこうでかなわん。

ガルハース 安心した。皆変わらんな、いや、その眼力。強くなったな二人とも。

カーン まあな。

ギリアム ふん、で、今日は休んでいくのか。

ガルハース ああ、部下も労ってやりたい。いいだろうか。

ザジウルハス もちろんだ、大歓迎である。

ギリアム わかった。盛大な宴が必要じゃな。

ガルハース かたじけない。

ギリアム なに、客人のもてなしくらい軽いもんじゃ。楽しんでいくがいい。では。

0)ギリアム、退出

カーン 今日は浴びるほど飲んで楽しむとするか。酌のひとつでもしてやる

ガルハース ああ、相伴に預かろう。

0)宴の席

ザジウルハス 本日はスレイアール国王が我が国に来訪いただいた。皆のもの、大いに楽しもうではないか。

0)会場から歓声

ガルハース スレイアールより立ち寄らせていただいた。ガルハースである。このような盛大なもてなし深く感謝申し上げる。スレイアール騎士団よ。ザスアルのもてなし、心から感謝して楽しんでくれ。

0)宴も終わり、出発の朝

ギリアム もう少しぐらいゆっくりしておればいいものを。

ガルハース 大変ありがたいが、早くリーデランドへ向かいたい。許せ。

カーン お?寂しくなったか?

ギリアム ば、馬鹿者!ただもっと宴で飲み明かしたいだけじゃ!

ガルハース ギリアム、貴公の優しさ。変わらんな。

ギリアム ええい、早く行かんか!

ザジウルハス 道中の安全を祈念しておる。アリエンゼス女王にくれぐれもよろしく伝えてくれ。

0)リーデランドへの道中

オーファス 陛下。

ガルハース ん?

オーファス 私はあれほど嬉しいそうに笑う陛下を初めて拝見いたしました。

ガルハース ああ、彼らは私の唯一無二の友人。こうして再会ができたことは心から嬉しいものだな。

オーファス ザジウルハス陛下を拝顔出来、私も嬉しゅうございます。

ガルハース 今ザスアルは勢いを持って復興している。スレイアールとしても、さらに力を合わせていきたく。貴殿も頼むぞ。

オーファス 御意。

ガルハース 皆のものの様子はどうだ?

オーファス 昨日の宴で充分英気を養ったようです。皆の面構え、立派なスレイアールの戦士たちです。

ガルハース 心強いな。では先を急ぐぞ。まずはリーデランド王国へ向かう。先の大戦では大変な心労を与えてしまった。心からお詫びをしたい。

0)リーデランド西の砦
 砦の向かってのオーファスの口上

オーファス (大きな声で)我々はスレイアール王国のものである!スレイアール国王陛下と共にリーデランド王国へと入国したい!開門願う!

0)門が開く

オーファス (大きな声で)開門、感謝する。(普通の声で)陛下、私が先導いたします故、お気をつけてお通りください。

ガルハース ああ、すまない。この砦を快く通してくれるとはな。アリエンゼス女王からの信頼を得られたことは何より嬉しいものだ。

オーファス この砦を決して攻めずに部隊を引く英断には、このオーファス心から感服いたします。

ガルハース 貴殿もモーリスタティア北の砦での一件はしっかり聴き及んでいる。我が意向を汲んだ行動。感謝する。

オーファス 誠に勿体無いお言葉。陛下の御心を思えば当然のことかと思います。

0)リーデランド謁見の間

ガルハース お初にお目にかかります、アリエンゼス女王陛下。

アリエンゼス スレイアールの国王自ら来訪いただくのは光栄の極み、遠路はるばるようこそおいでくださった。

ガルハース 先の大戦においてのご無礼を切にお詫び申し上げたい。

アリエンゼス うむ。しかしながら、忠誠心を持ちながらも自身の将来を顧みず、戦いを望まず、騎士としての振る舞い。我がリーデランドでも貴公の行動に敬意を持つ者も多い。

ガルハース 身に余ること。誠に僥倖(ぎょうこう)であります。

アリエンゼス ザンスロン公との戦いで大きく負傷したとお聞きしておる。その後はいかがか。

ガルハース 幸いにして、もう完治いたしました。剛毅な人物とは、あのような方を示すのでありましょう。心を見透かされたことを、最近のように感じる次第です。

アリエンゼス あれからザンスロン公も後進に王の座を譲ったと聞く。そして一人の傭兵として各地で活躍していると聴き及んでいる。誠ににあの方らしい。フフフ。

ガルハース 先のモーリスタティア北の砦での指揮を担ったローレイス殿にもお会いしたいと申している臣下がおります。

アリエンゼス ローレイス公には我が国の旧南の砦を中心とした一帯の領土を割譲し、今はローレイス公国の王として、我が盟友となっていただいた。

ガルハース そうでありましたか。なにぶんスレイアールは辺境の地。リングランの情報にはいささか疎いところがあり、誠に失礼いたしました。

アリエンゼス いやいや、今後は我が国からも貴国へと使いの者を派遣し、国交を盛んにしていきたいと考えている。是非よろしくお願いしたい。

ガルハース 大変光栄なことです。我が国の民も大いに喜ぶでしょう。深く感謝申し上げます。

アリエンゼス スレイアール国王陛下。今宵は宴の席を設けたい。どうだろうか。

ガルハース 大変ありがたいこと。我が臣下も長旅で疲れも出ております故、心からの厚遇(こうぐう)に感謝の念が絶えません。

アリエンゼス 我が国には湯治ができる場所もある。ゆっくりと疲れを癒してくれ。それにしても貴公の騎士道は素晴らしい。どうだろう、しばらく滞在していただき、我が国の騎士団の鍛錬の様子をお目通しいただけないだろうか。

ガルハース もちろん喜んで。リングラン最強と誉れ高き騎士団の姿を拝見できるとは有り難きこと。

アリエンゼス そうか。臣下もさぞ喜ぶであろう。リングラン最強の騎士と謳われた貴公に勇姿を見ていただけるのは、余としても最上の喜び。心から感謝する。参謀よ、宴の用意を。今宵は大いにリングランの安寧を語り明かそう。

0)来客の間

オーファス そうでしたか。あのローレイス殿、いやローレイス公が。

ガルハース そうだな。リーデランドを出立したら、ローレイス公国へ向かうとするか。私も一度ローレイス公とは言葉を交わしてみたい。

オーファス 陛下、皆のものにも伝えて参ります。

ガルハース その前に、せっかくアリエンゼス女王陛下の心遣い、部下に労いの時間を与えてやれ。

オーファス はっ!

0)湯治の場

オーファス スレイアールでは味わえない体験ができるのは本当にありがたいな。

ガルハース 失礼するぞ。

オーファス 陛下!?

ガルハース 何をそんなに驚いておる。私だって、せっかくの心遣いを受けるのも当然だ。

オーファス まさか、陛下と湯に浸かれる日が来るとは全く想像もしておりませんでした。

ガルハース そう、畏(かしこ)まるな。我が国の民にも、この心地よさを感じさせてやりたいものだな。

オーファス はい。部下のものの一様に感激しておりました。

ガルハース このオアシスのようには出来んが、似たようなことがスレイアールでもできるようにするにはどうすれば良いだろうか。ルークスに相談してみるか。

オーファス 魔導士長殿であれば、何かお考えいただけるかもしれませんな。

ガルハース ああ。私は友人に恵まれたな。これまでではとても考えられなかったことだ。

0)しばらくの間

ガルハース では、そろそろ宴の時間だな。皆にも用意するよう、伝えてくれ。

オーファス かしこまりました。

0)応接の間

アリエンゼス 今日は遠方より、騎士王が我が国を訪問していただいた。ささやかではあるが、楽しんで欲しい。

ガルハース 大変感謝申し上げる。我が国はこのリーデランド王国と深い友好関係を築き、リングランの安寧のために、邁進していきたい所存である。どうかよろしくお願いしたい。

アリエンゼス スレイアール国王陛下。私も同じ心持ちだ。くれぐれもよろしく頼む。して、しばらくこの国で休んでいただいた後はどうされる。

ガルハース ローレイス公の建国を初めて伺うことができた。実は臣下のもので、ローレイス公に多大なる世話になったものがいる。是非挨拶もさせていただきたいと思う。

アリエンゼス おお、そうか。ローレイス公も大層喜ぶことであろう。是非そうしていただきたい。もしよろしければ、その話をゆっくり聞かせてはいただけないか。

ガルハース もちろんです。その臣下はファーランドでの大戦の際に・・・

0)宴の席も終わる

アリエンゼス 大変嬉しい話を聞かせていただいた。それにしても貴公も私も良い臣下に恵まれたものだ。

ガルハース 臣下あっての王。豊かな道を進めていく責務をひしひしと感じる次第。これまで語らせていただき、女王陛下の慈しみを感じることが出来ました。心から感謝申し上げる。

アリエンゼス 私も貴公の騎士としてのその信念、しかと感じさせていただいた。我が国の騎士団のあの気勢の上がり方、隣国との友好が深まることでさらに強い関係を築いていきたい。此度(こたび)は大変感謝したい。

ガルハース では。

アリエンゼス では。

ガルハース・アリエンゼス リングランに光あれ!

0)翌朝

アリエンゼス では、道中ご無事で。参謀よ。ローレイス公国までの護衛を命ずる。頼むぞ。

ガルハース 我が臣下への心遣い、心から感謝する。では、皆のもの、ローレイス公国へ向けて出立する。オーファス、リーデランド王国の護衛のものと、足並みを揃えていくように。

オーファス はい!承知いたしました。

アリエンゼス(N)やはり、騎士の中の騎士。感服した。

0)リーデランド王国国境

オーファス 陛下、国境まで到着したようです。

ガルハース そうか。リーデランド王国の皆。道中の護衛、感謝する。女王陛下へも我らが無事ローレイス公国へ辿り着いた旨伝えてくれ。

0)リーデランド護衛団帰国、国境のローレイス公国国境駐屯地

オーファス 国境駐屯地には、リーデランドの護衛隊のものが国境を越える手筈を整えていただいたようです。

ガルハース そうか。では、このまま王城へ真っ直ぐ進むとする。

オーファス はっ!

0)ローレイス公国正門、オーファスの口上

オーファス (大きな声で)我々はスレイアール王国のものである!ガルハース国王陛下と共にローレイス公国へと入国したい!開門願う!

0)王の間

ローレイス 何、あのガルハース、いや今やスレイアール王国国王か。すぐに入城できるようにいたせ。私は応接の間へ向かう。

0)応接の間

ローレイス スレイアール国王陛下。遠路はるばるの我が国への訪問、こころから歓迎する。

ガルハース ローレイス国王陛下。お目にかかれて光栄です。失礼ながら紹介をしたい臣下がおるのですか、よろしいでしょうか。

ローレイス 紹介、承知した。

ガルハース 感謝いたします。オーファスよ前へ。

オーフォス ローレイス国王陛下。再度お目にかかれて光栄です。

ローレイス 其方は・・・。

オーファス はい。モーリスタティア北の砦で投降とした騎士団のものです。

0)回想

ローレイス 何、スレイアールの騎士の1人が単独でやってきただと。しかも武装もせずに。して、文書にはなんと。「我々はガルハース様へ忠誠を誓った身。このような卑劣極まる戦いに参戦することはガルハース様の本意ではない。どうか、我々の投降をお許しいただきたい」・・・。私にこの状況下で、この願いを信じろというのか。しかし、ザンスロン公がいったガルハースの意志は騎士として申し分ないと。ザンスロン公も自身を傭兵と言いながら、その志は騎士とも言えるほど高い。その直属の部下たちだ。それに、西の砦での一件もある。ええい、ここはガルハースと志(こころざし)を共にする騎士たちをかくまえ。投降してくる騎士は残らずだ。

0)回想おわり


ローレイス やはりそうであったか。なんと懐かしい。

オーファス 覚えていていただき、恐悦至極。此の平静の時代にこうしてお会いでるるとは誠に僥倖の至り。心から感謝申し上げます。

ガルハース 我が臣下を覚えていていていただき、大変感謝申し上げる。

ローレイス あの大戦での騎士としての振る舞いを見せる貴公の臣下の姿。忘れるはずもない。本当によく来てくれた。それにしても、我が国へ訪れていただいたということは、リーデランドにも?

ガルハース アリエンゼス女王陛下とは、随分と語り明かさせていただいた。両国の友好関係を強固なものにし、人的交流も盛んにしていきたいと話したところです。

ローレイス そうか。もしよろしければ、この国でも宴席を設け、ゆっくりしていただきたい。どうだろう。

ガルハース 大変ありがたい。ローレイス国王陛下、もしよろしければ、こちらのオーファスも同席させていただくことはお許しいただけないだろうか。

オーファス 陛下。それは恐れ多いこと。私は部下のものと・・・。

ローレイス 何を言っている。もはや戦乱の世ではない。貴殿とも色々と語り合いたい。

オーファス ありがたきお言葉。心から感謝いたします。ローレイス国王陛下。

ローレイス 国王陛下というのは、その辺りでやめてくれ。どうも国王と言われるのにまだ慣れないものでな。

ローレイス(N)そう、一国の王とはなっても、女王陛下への忠誠の気持ちは少しも変わらん。しかし、盟友と言われる誉れ。ただ感極まるものだ。

ガルハース ローレイス公。貴公の心のうち、私のものと変わらぬやもしれません。是非、時を忘れるほど語り合せていただきたい。

ローレイス そうと決まれば、早速宴の用意をさせよう。オーファス殿もよろしく頼む。

ガルハース(N)ザジウルハス陛下。いつか、心から盟友としてそのお名前をお呼びできるよう、スレイアール王国の繁栄とリングランの安寧のために尽くし、陛下の御心に近づけるよう努めて参ります。

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