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落選のあさは茶漬けで

昨日はバラシを終えてから打ち上げだった。
その前は衣装を着て、舞台に立っていた。
深夜に帰宅して、それでもパソコンを開いた。
BFC2の結果だけ見て眠ろうと思った。

予選通過の中にクモハの名前はなく
缶ビールを一本開けて、寝床に入った。
不思議と落胆はない。
むしろ感謝ばかりだ。

んんん?

正確に言えば、少しの落胆と安堵、それに感謝というところか。

1991年におめらすの夢を見て以来、
取り憑かれてそればかり書いていた。
書けなくなったこともある。
編集者に言われた言葉が理解できなくて
何年も悩んだ。

でも、おめらすは必ず復活した。
何しろ夢で指令が来るのだ。
逃げられない。

2010年の完全改稿を経て
もう一度、編集者に再コンタクト。

読んでもらえるところまでたどり着いた。
が、が、が
待ち時間が長く、ひじょ〜に長く
いくら寿命の長い土偶でも待ちきれず
原稿を送り返してもらい
自分でkindle出版した。

セルパブ作家、葉雲端(ようクモハ)の誕生。

売れる、売れないというより
なによりも「読んでもらいたかった」
そのために考えつくことはなんでもした。

デジタルでは読めない
という人のために
Zineを制作した。
ビジュアルで惹きつけたくて
イラストレーターと組んだ。

声からなら、届くのではないかと思い
朗読会を開いた。

やれることはやり尽くした時
Twitterに「ブンゲイファイトクラブ」の文字が流れてきた。

1回目はスルーした。

2回目
あ、またやるんだ
と思ったとき
頭の中で何かが瞬いた。

瞬きはちょうど投げかけられたテーマと響き合って掌編になった。

雨だれが落ちてくるように
その後
ひとつ書き
二つ目に取りかかり

気がついたら
ブンゲイファイトクラブ2と
阿賀北ノベルジャムに
同時に申し込んでいた。

今回本戦出場にならず
ホッとしている部分もある。
これで、まだまだ認知度の少ない
「阿賀北ノベルジャム」に全力で取りかかれるからだ。

もちろん、クモハの作品が
箸にも、棒にもかからなかった可能性は大いにあるわけで
それは否定しないが

何よりも
習作時代以来初めて
短編書いた!!!
癖のある短編作家たちが好きだった時のことを思い出した。

それに、誓っていうが
「ブンゲイファイトクラブ2」への応募無くして
「阿賀北ノベルジャム」への参加はなかった。

こじれて取れなかった
ワインの瓶の蓋を開けてくれたことに
感謝している。
さて、何が飛び出すか
楽しみだな。

落選の朝、茶漬けを食べながら
そう思った。


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